シャープから「AQUOS」ブランドのスマートフォン新製品として、「AQUOS R8」「AQUOS R8 pro」「AQUOS wish3」の3製品が発表されました。それぞれ機種によってNTTドコモやKDDI、ソフトバンク、楽天モバイルから発売されます。
中でも注目は、やはり「AQUOS R8」シリーズ。今回は「AQUOS R8」と「AQUOS R8 pro」という2モデルになりました。前モデル「AQUOS R7」の直接的な後継機種は「AQUOS R8 pro」で、1型のセンサーを搭載した強力なカメラ機能が特徴です。「AQUOS R8」は、ハイエンドながら気軽に使えるコストパフォーマンスを求めたモデルとなっています。
カメラの違いで選べる「R8」と「R8 pro」
両モデルの最大の違いはカメラです。「AQUOS R7」の後継機種となる「AQUOS R8 pro」は、有効画素数4,720万画素の1型センサーを搭載。今回もライカとの協業は継続し、焦点距離19mm(35mm判換算時)、F1.9の「SUMMICRON 1:1.9/19 ASPH.」レンズを搭載します。
「AQUOS R8」は、どちらかというと「AQUOS sense」シリーズからのステップアップを想定したもので、有効画素数5,030万画素のセンサーと焦点距離23mm F1.9レンズを搭載した広角カメラと、同1,300万画素で17mm F2.3の超広角カメラのデュアルカメラになっています。このレンズは2つの焦点距離を合わせて「HEKTOR 1:1.9-2.3/17-23 ASPH.」というライカ銘が与えられています。
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「R8 pro」は1型センサーを搭載。レンズは当然ライカのSUMMICRON
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「R8」は1/1.55型センサー。ピクセルビニングで高画質化を図っています。レンズは超広角カメラも合わせてHEKTOR銘となっています
「AQUOS R7」と「AQUOS R8 pro」、「AQUOS sense7」と「AQUOS R8」の広角カメラは、それぞれ基本的にハードウェアのスペックが共通していますが、新しいSnapdragon 8 Gen 2のISPによるカメラ性能の強化、また「R8」ではライカとの協業による画質改善といった違いがあります。「R8」の画質についてシャープは、「カメラ画質は『sense7』とは別物。ハイエンドと遜色のない、問題ない画質」とアピールしています。
「R8 pro」では、新たに「14chスペクトルセンサー」を搭載しています。これは環境光の色を測定するセンサーにおいて、R/G/Bの3chよりも細かくスペクトルを分割して, さらに各波長の状態を詳細に把握するもの。600種類以上の光源を判定して、正確な色を認識することができるそうです。これによってホワイトバランスがより正確になって、その場の雰囲気を残した色味で撮影できるとしています。
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「R8 pro」には14chスペクトルセンサーを搭載。より安定したホワイトバランスを実現します
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ホワイトバランスのイメージ。温かみのある光の中で撮影した写真が、従来だと青みがかってしまったところ、よりその場の雰囲気を残した色味になるそうです
実際のデモでは、電球のオレンジの光に対して「R7」ではかなり強くかかっていたホワイトバランス調整が抑えめになり、電球の雰囲気を残した色味になっていました。このデモは開発機のため、もう少し調整する可能性があるとのことでしたが、個人的には良好な結果に見えました。
Snapdragon 8 Gen 2のパワーを生かした撮影機能も強化。犬と猫に対応したペット認識によって、ペットの体/顔/瞳にAFを瞬時に合わせることが可能になっています。ペットの動きは不規則で予測がつきづらく、鼻から瞳までの距離が人間の顔よりも長いので、ペットに特化したこうした仕組みは重要でしょう。
夜景モードに星空や花火の専用モードも追加されました。ピントを無限遠にし、暗部を抑えて夜の闇を表現しつつ、連写合成の際に星の動きでブレないようにして、それぞれのシーンに特化した撮影設定にしてくれます。花火モードは、手持ちで気軽に撮れることを重視したそうで、長時間露光による花火の軌跡を描くというより、花火が開いた瞬間を手持ちできれいに収める、という用途のようです。
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星空モードのデモ。実際に星空を撮影しているのではなく、暗いブース内に貼った星空の写真をスマホで撮影した疑似的な星空撮影の結果です。この写真では分かりにくいかもしれませんが、右の「R8 pro」の方がより鮮やかです
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画面右の青いアイコンが夜景モードのアイコン。これをタッチすると通常のナイトモードと花火モード、星空モードを切り替えられます
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暗いブース内で、壁に映し出された花火の映像(右)を「AQUOS R8 pro」の花火モードで撮影している(左)ところ。かなり分かりにくい写真ですが、このように手持ちで簡単に花火を撮影できる機能となっているようです
他に、食事モードでデザート用の専用モードがあったり、日の出/日の入りの光と色を最適に表現できたりと、さらなる表現力向上が図られているそうです。
「R7」では、HDRモードで連写すると1枚目しかHDRが効かなかったのに対し、連写合成速度が向上したことで、2枚目以降もHDRが効くようになったのもポイント。動き回る子供やペットを連写で撮影しようとして、ベストショットが白トビしてしまった――というような失敗がなくなりそうです。
レンズ周囲のリングから放熱をする特許出願済みという設計も面白い所。スマートフォンの熱源としてSoCとセンサーがあり、両者を近くに配置した上で熱の通り道としてカメラリングを活用しているそうで、通常では手が触れないカメラ周辺で放熱するので、手持ちで熱くならないというメリットもあるようです。
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レンズ周囲のリングを放熱板とする新設計
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カメラとSoCを近接させて熱源をまとめて放熱しているそうです
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熱をカメラリング側に誘導する設計
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中央が「R8 pro」のカメラリング。左が「R7」のカメラリングで、比べるとそのサイズの違いがよく分かります
レンズフィルターに対応したケースを、ケースメーカーと協力して提供するというのも面白い試み。エレコムとLooCoから、それぞれ49mmと39mmのフィルター径にあわせたケースが登場します。エレコムのものはフィルターのアダプター部分が取り外せる仕組み。LooCoのものはカメラリングに両面テープでマグネットを貼り付けて、そこにアダプターをマグネットで装着します。これに合わせたケースも販売する予定とのことですが、ケースなしの単体でもフィルターが使えます。
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エレコムのフィルター対応スマホケース。アダプター部分は外すことができます
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LooCoのフィルターアダプター。レンズ周囲のシルバーの部分だけを両面テープで貼り付け、アダプターはマグネットで装着する仕組みなので、普段は簡単に取り外しておけます
両社のアダプターのサイズが違うため、エレコムのケースを使いつつ、LooCoのアダプターを使えば2種類のフィルターが使えるということになります。PLフィルターやNDフィルターなどを装着し、多彩な表現ができるようになるのが面白いポイントです。
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LooCoのアダプターに実際にフィルターを装着したところ
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エレコムのケースのアダプター部を取り外し、LooCoのアダプターを装着したところ。このように併用できます
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ケンコーのNDフィルターを使ってシャッタースピードを遅くし、シルキーな水の流れを表現した作例
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マルミのクロスフィルターでイルミネーションを華やかに
カメラのハードウェアが異なる「AQUOS R8」と「AQUOS R8 pro」ですが、ソフトウェア部分の性能は同等で、画質にこだわる「R8 pro」と、コスパに優れる「R8」という使い分け。特に「AQUOS R8」は「頑張ったなと思われる価格帯」(同社)になるそうなので、手に取りやすいハイエンド端末としても注目できそうです。