扇風機は風を身体に当てて涼をとる家電。風が当たらないと体感温度が上がります。「扇風機の風が人の動きに付いてくればいいのに……」と思ったことがある人もいるかもしれません。

今回、シロカがまさに「風が人に追従する」扇風機を発表しました。5月10日に発売予定の「人認識センサー付き DC扇風機 めくばりファン(SF-HC151)」(以下、めくばりファン)です。この扇風機は人を認識して自動追尾で首振りして、さらにリモコンを使わずハンドサイン操作もできます。ワクワクする扇風機、シロカを訪れて試用機を体験してきました。

  • シロカショールームにて、マイナビニュース +Digitalの林編集長と実機を体験。見た目は普通のリビング用扇風機に見えますが……

  • 本体カラーはホワイトとダークグレーの2色で価格は22,880円。標準サイズは幅31×奥行31×高さ88cm、パイプを一部外して高さ64cmのショートサイズでも使えます。標準サイズ時の重さは3.8kgです

個人を認識して風が追従する「ひとりじめ」モード

前述のように、めくばりファンは人の動きにあわせて首振りできる扇風機。ポール部分に画像カメラを内蔵し、人の位置を認識するだけでなく、複数人から個人を識別したり、手の動きを認識したりします。

  • 本体のポール中央のあるのが「ひとセンサー」用カメラ。カメラは床上40cm部に約25°の上向き角度で配置されており、床水平から上下各25°の視野角があります。カメラの左右視野角は左右各30°ですが、首振り時にカメラも回転することで左右の視野角は合計で最大120°になります

  • 青いシート範囲がカメラの最大左右視野角の120°です。ひとセンサーが認識する距離は人の身長よって変わりますが、メーカーが推奨する距離は1~3m。これは「肩から顔の形」で人を認識しているためです

めくばりファンの風(首振り)が人に追従するのは「ひとりじめ」というモードです。ひとりじめモードを有効にすると、最初に首振りをして人を探索。認識後は自動的にその人に向かって首の角度が追従します。面白いのは、めくばりファンがちゃんと個人を認識してくれるところ。林編集長がひとりじめモードを体験しているとき、筆者がカメラの認識範囲に乱入しても、ずっと林編集長だけを追従していました。

【動画】ひとりじめモードによる動きを体験。首振りの動きはかなりゆっくりですが、遅れながらもしっかり追従しています。動きがゆっくりなのは、勢いよく動くと台座がガタつくから

首振りの動きはかなりゆっくりなので、人の動きと同時に移動とはいきません。とはいえ数秒遅れながらも確実に風が付いてくるので、仕事の間にコーヒーを淹れて一息つくといった、ちょっとした移動には力を発揮してくれそうです。

無駄のない最小限の首振りができる「やまわけ」モード

ひとセンサーによる機能として、2人以上の人間を認識して人から人へと首振りをする「やまわけ」という運転モードも搭載しています。

通常の「首振り」モードは左右120°で首を振りますが、やまわけモードは「人と人」の最小限の首振りだけ。その代わり、従来の同等モデル「DC音声操作サーキュレーター扇風機 ポチタマ扇」にあったような首振りモードの角度設定(120/75/30°)は省かれました。

【動画】ソファーに座って「やまわけ」モードを体験。首振りの角度がわかりやすいように、動画はそれぞれのモードで約5秒後から5倍速で再生しています

実際に体験してみると、左右120°の標準首振りだと、めくばりファンの首が端から端まで移動するのに約15秒かかりましたが、やまわけモードでソファーの端と端に座ったときは端から端まで約7秒。半分以下の時間でした。

おおまかにいって、標準の首振りモードよりも約2倍の風が自分に送風されます。やまわけモードで2人がくっついて座ると、首振りまでの時間は3秒とさらに短くなりました。やまわけモードは「できるだけ長く涼しい風に当たりたい」というニーズに応えてくれそうです。

リモコンを探す必要なし、ハンドサインを使った操作

多くの扇風機にはリモコンが付属していますが、いざリモコンを使おうとしたときリモコンが見つからなかったり、リモコンが遠くにあったり……というシチュエーションはあるあるです。めくばりファンはカメラを使った「ハンドサイン」操作に対応しており、リモコンにまつわるちょっとした不便を解消してくれます。

  • めくばりファンのリモコンと本体受信部。扇風機を使わない季節は、リモコンを台座内部に収納できるようになっています

  • 台座の操作パネル

ハンドサインの種類(手の形)は「まる」「ちょき」「ぱー」の3つ。めくばりファンに向けて指で「OK(まる)」マークを作ると、停止中なら電源オン。運転中なら風量(8段階)がアップし、最大風量の次は最小風量へと巡回します。

電源をオフにしたいときは「ぱー」、首振りのオン・オフ切り替えは「ちょき」で設定します。残念ながら「ひとりじめ」や「やまわけ」モードはハンドジェスチャーなし。シロカによると、3つ以上の手の形を覚えさせると誤認識することが多かったからとのことでした。

【動画】めくばりファンをハンドサインで操作してみました(音声が流れます。ご注意ください)

ハンドサインを試してみると、「手」という複雑な形を認識するにも関わらず、認識率はかなり良好。予想以上にすばやい反応でした。ただし、めくばりファンの内蔵カメラは人の「肩から顔」付近を認識するため、顔付近で手を動かさないと反応しないこともありました。また、カメラの範囲に人のポスターやテレビなどがあると、その人影に反応してしまうこともあるそうです。

シロカには音声操作ができる「DC音声操作 サーキュレーター扇風機 シロカのポチタマ扇」という既存製品がありますが、ハンドサインなら音がしないので子どもが昼寝するときなどに起こさず操作ができそうです(ハンドサイン認識時にピッという音はしますが)。

ここではカメラ機能を中心に紹介してきましたが、めくばりファンはシロカ独自の「ふわビューン技術」に対応。なめらかで直進性の高い風と、静音性の高さを両立しています。モーターは細かく安定した出力ができる、長寿命な国産DCブラシレスモーターを採用。扇風機としての基本性能も高いでしょう。

体験してみて、「ひとりじめ」も「やまわけ」モードは実用的で便利。個人的には、自分について首振りをしてくれる「ひとりじめ」モードに、ペットが自分を見守ってくれるようなかわいらしさを感じて「癒やされる」ところに大きく惹かれました。