バルミューダは2月10日、 2022年12月期 本決算説明会をオンラインで実施。売上高は微減の175億9,500万円(対前年比4.3%減)でしたが、営業利益は7,500万円(同95.1%減)と黒字ではあるものの大きく減少。2023年度は売上高も微減を予想しており、代表取締役社長の寺尾玄氏は「がんばりどころ」と語りました。

  • 2022年9月に発売した新型トースター「BALMUDA The Toaster Pro」

営業利益が対前年比で約95%減の7,500万円となったことについて、寺尾社長は「意地で黒字にしたような形」と表現。記録的な円安の直撃で売上原価率が業績予想を大きく上回る、8.8ポイントの上昇となったことで、かなり強い影響を受けたと述べました。

  • オンライン決算説明会で昨期を振り返り、今期の見通しを語る寺尾玄社長

2022年11月8日の第3四半期決算説明会では業績予想を下方修正しており、そこでの売上高予想は184億1,000万円でした。

寺尾社長は「当時は精度の高い予測値を出したつもりでしたが、最終的には175億9,500万円と8億円以上の差が出てしまいました」と説明。この要因として、円安だけでなく物価や光熱費の高騰、コロナ禍の推移などが重なり、家電が一番売れる年末商戦で想定できない規模で伸び悩んだと分析し、2022年の一年を総括して「非常に厳しい一年でした」と振り返りました。

  • バルミューダの2022年12月期業績サマリー(連結)

製品カテゴリー別で見ると、空調関連やキッチン関連は伸びており、韓国を中心とする海外での売上が好調でした。空調関連は特に加湿器が伸び、キッチン関連は2022年下期に投入した新型トースター「BALMUDA The Toaster Pro」が予想以上の健闘。国内市場での冷え込みをカバーしました。

  • 業績サマリーの製品カテゴリー別売上高。エアコン関連とキッチン関連

  • 2022年12月発売の炊飯器「BALMUDA The Gohan」新モデル

2021年11月に「BALMUDA Phone」を投入した携帯端末関連は、2022年は残数の納品に終わったことで、28億4,700万円から8億6,800万円への落ち込み。

2022年8月には新型スマートフォンの設計は完了していたそうですが、為替が大きく動いて原価の見通しが立たず製品化は中止となりました。現在はこれとは異なる新しい端末を計画しており、準備していた製品は「幻の2号機」としてお蔵入り。「このストップは昨年(2022年)の結果だけでなく、今期の前半にも重く効いてきています」と寺尾社長。

  • 2021年11月に発売した約4.9インチ画面のスマートフォン「BALMUDA Phone」

  • 業績サマリーの製品カテゴリー別売上高。携帯端末関連とその他

おもな販管費の推移については、試験研究費も広告宣伝費も大きく縮小。特に試験研究費は、2021年4Qに3億4,100万円を投資していたところ、2022年4Qは8,600万円へと大きく圧縮されました。寺尾社長はもっと研究開発にはお金をかけたかったが抑え込まざるを得なかったと振り返ります。

売上高・営業利益・売上総利益率・販管費率推移で2022年や2021年と比較すると、売上総利益率は2021年末で38.8%あったものが、2022年末は25.8%まで下がっています。寺尾社長は「久しぶりに前年の売上高を下回り、ここが本当に会社としてのがんばりどころ」としました。

  • 売上高・営業利益・売上総利益率・販管費率推移

2023年度の見通しについては、「イエナカ需要の反動」「物価上昇による生活防衛意識の強まり」「円安による仕入れコストの高止まり」という3つの要素を指摘。

家電市場全体があまり良好な環境になく、中でも高級感を売りにするバルミューダ製品は、「消費者が積極的に購入する理由が以前に比べて弱まっている」としました。このため、2023年度も引き続き厳しい事業環境となり、売上減・営業利益微増の計画を着地点と予想しています。

寺尾社長は「昨年(2022年)の今ごろは1ドル110円台半ばから120円台をビジネスモデルにしており、一時150円まで円安が進んで130円台に戻ったとはいえ、我々にとっては130円台でもとんでもなく悪い為替モデル」と、外部要因の厳しさに触れます。

そのうえで、「事業なのでこういう時期もあるとは思っていますが、だからといってただ我慢しているだけで状況が好転するとは考えていません。為替レートがここまで変わったことを踏まえて、開発の構造を変え、新しいビジネスモデルを作っていきます」と述べました。

本当に厳しい環境のときだからこそ、自社の強みや弱みを客観的にとらえ、本当にやりたいことが何なのか追求して懸命に打ち込まないとがんばる姿勢が続かないとし、「バルミューダの強みはデザインとエンジニアリング。全社が一丸となり、いまこそ誠実に、真摯に、仕事をしなければならないと考えています」と結びました。