アユートは、Astell&Kernの持ち運べるプレーヤー一体型高出力ヘッドホンアンプに、真空管アンプモードを含む“トリプルアンプシステム”を導入した「ACRO CA1000T」を2月18日に発売する。価格は36万9,980円。カラーはRich Gray。

  • ACRO CA1000T

持ち運び可能なデジタルオーディオプレーヤー(DAP)内蔵ヘッドホンアンプ「ACRO CA1000」(2022年発売)の基本的な機能や性能を継承。DACチップは従来の「ES9068AS」4基から刷新しており、ESS製の「ES9039MPRO」をデジタルオーディオプレーヤーとして世界で初めて採用した製品と謳っている。1月に海外発表しており、今回国内での発売日や価格、正式な仕様が決まったかたちだ。

  • 製品概要

  • 利用イメージ

ACRO CA1000Tの詳細

「All-In-One Head-Fi Audio System」をスローガンに掲げ、どこでも最高の音を楽しみたい人をターゲットに完成させた、オールインワンのHead-Fiオーディオシステム。強力なヘッドホンアンプと、独自のTERATON ALPHAテクノロジーを搭載し、内蔵バッテリーで約11時間音楽を聴ける。別途用意したオーディオ機器やスピーカーとの接続性を高め、ネットワークオーディオ再生や音楽ストリーミングを手軽に楽しめるように設計しているのも特徴だ。

  • 上面

DAC部に、ESSの最新フラッグシップ8ch DAC「ES9039MPRO」をデュアルDAC構成で初搭載。最高768kHz/32bitまでのPCMとDSD512(22.4MHz)のネイティブ再生をサポートする。また、ステレオハードウェアMQAレンダラーを内蔵し、MQA 16Xのフルデコードをサポート。光デジタルでのMQA音源の入出力も可能にしている。

  • ブロック図

  • TERATON ALPHAテクノロジーの概要

CA1000Tの大きな特徴が、真空管アンプモードを含む「トリプルアンプシステム」だ。Astell&Kernのハイレゾプレーヤー「A&ultima SP2000T」(2021年発売)で初めて導入したシステムだが、CA1000Tではデュアルトライオード真空管「KORG Nutube」を2基使ったデュアルTubeによるフルバランス回路を構築。

通常のオペアンプ(OP-AMP)モード、真空管アンプ(TUBE-AMP)モードに加え、その両方を使用したハイブリッドアンプ(HYBRID-AMP)モードから好きなモードを選んで、好みの音で音楽を聴ける。真空管デバイス特有のマイクロフォニックノイズを最小限に抑える特殊な設計も採用した。

ほかにも、トラック間で一貫した再生音量レベルを維持するリプレイゲインや、ヘッドホンで聴取時もスピーカーに近い効果(音像)を実現する「クロスフィード」機能も装備する。

  • フルバランス回路構成

  • 利用イメージ(CA1000T以外の製品は別売)

AKプレーヤーのオーディオブロックには、さまざまなノイズや電磁波の影響を防ぐためにシールド缶を採用している。CA1000Tでは既存のシールド缶に導電性の高い高純度銀を塗布し、デジタル信号とアナログ信号を物理的に分離。これにより、高いオーディオ性能とシールドを追求している。

ヘッドホンアンプ部は、最大15Vrmsの超高出力を実現。3.5mm、6.35mmのアンバランス出力と、2.5mm、4.4mmのバランス出力を搭載し、高感度イヤホンから駆動しづらいヘッドホンまであらゆるイヤホン/ヘッドホンを駆動できるよう、4段階のゲイン設定が選べる。

また、ミニXLR端子(3pin/ステレオ)を新たに搭載し、バランスライン出力に対応する。そのほか、4.4mm5極バランス入力や、光/同軸デジタル、USBといったデジタル入出力、アナログRCAのライン出力も備える。

  • 背面

  • ミニXLR端子のピンアサイン

デュアルバンドWi-Fi(2.4GHz/5GHz対応)を装備。音楽ストリーミングサービスの楽曲を再生したり、同じネットワーク上にあるPCやスマートフォン、FTPプログラムなどを使ってワイヤレスでファイル転送できる「AK File Drop」を利用したりできる。

Bluetooth 5.0にも準拠し、高音質コーデックのaptX HDとLDACをサポート。CA1000TをBluetoothレシーバーとして使う「BT Sink」機能が利用できる。ストレージ容量は256GBで、最大1TBまでのmicroSDカードが使える。今後のファームウェアアップデートで、Roon Readyもサポートする予定だ。

本体の外装については、従来のCA1000をほぼ踏襲。アルミニウム製で、上部に4.1型/720×1,280ドットのタッチ操作対応スクリーンを備え、最大60度まで自由に角度を調整できる。側面には大型のボリュームホイールも装備する。

CA1000との違いとしてダークカラーを採用し、CA1000よりもインパクトのあるデザイン美を表現。さらにアッパーライティングガラスは真空管アンプ動作時、ガラス越しに輝くアンプのイメージをエッチングで表現するとともに、アンプモードの現在の状態を分かりやすく把握できるようにした。

容量10,100mAhのバッテリーで、約11時間音楽を再生できる(44.1kHz/16bitのFLACを低ゲイン設定のアンバランス出力で音量40で聞いた場合。画面はオフ)。9V/3AのUSB PD 2.0充電をサポートするほか、バッテリー寿命を延ばすのに役立つバッテリー保護モード機能も備えている。この機能を有効にすると、最大85%まで充電してから停止し、80%以下になると再び充電を開始、最大85%まで充電するという仕組みを採り入れた。

本体サイズは104.9×155.8×45mm(幅×奥行き×高さ)で、従来のCA1000よりも奥行きが長くなっている(CA1000は148.8mm)。重さも約980gに増えた(従来は約919g)。USB Type-Cケーブルや画面保護シートなどが付属する。