シャープからミドルクラスのスマートフォン「AQUOS sense7」が登場しました。上位モデルの「AQUOS sense7 plus」と合わせてNTTドコモ/KDDI(au)/ソフトバンク/楽天モバイルの全キャリアをカバーし、さらにオープンマーケット(SIMフリー)モデルも用意される、自由度の高いスマートフォンです。
上位モデル譲りのデザイン
「AQUOS sense7」のデザインは、ハイエンドの「AQUOS R7」を踏襲していて、背面の横方向の中央にカメラを配置。さすがに1型の大型センサーを搭載する「AQUOS R7」ほどの存在感ではありませんが、円形のカメラが鎮座しています。
メインカメラとは別に超広角カメラが向かって左側に配置されています。「AQUOS R7」も測距用ですがカメラがあり、これも同様にメインカメラの左側にあるので、そのスタイルは似ています。「AQUOS R7」の弟分もしくは子供、という感じの外観です。
大きな違いとしては、側面の指紋センサーの存在が挙げられます。「AQUOS R7」は画面内センサーでしたが、「AQUOS sense7」には側面の指紋センサーが搭載されています。一般的には電源ボタンと一体化されることが多い指紋センサーですが、「AQUOS sense7」では独立しています。
SoCはSnapdragon 695 5G。メモリ6GB/ストレージ128GBを搭載します。スペックとしてはミドルクラスということで、パフォーマンス面ではそれほど高性能とは言えませんが、普段の利用で困ることはほとんどありません。
ゲームや動画編集といった部分では差が出ますが、そういった用途を考えていない人であれば、それほど問題にはならないでしょう。ブラウザ/SNS/写真撮影といった機能は快適に動作します。
ベンチマークテストしてみると、同じSnapdragon 695を搭載した「OPPO Reno7 A」と比較してほぼ違いはありません。スペックとしては典型的なミドルクラススマホという感じでしょう。
ベンチマーク | AQUOS sense7 | OPPO Reno7 A | |
---|---|---|---|
3Dmark | Wild Life | 1,215 | 1,214 |
GeekBench | Single-Core | 667 | 689 |
Multi-Core | 1,903 | 1,980 | |
GFXBench | マンハッタン3.1 | 1,851 | 1,792 |
マンハッタン3.1オフスクリーン | 2,139 | 2,128 | |
Aztec Ruins OpenGL High Tier | 760.7 | 737.4 | |
Aztec Ruins Vulkan High Tier | 771.2 | 755.5 | |
GeekBench ML | CPU | 228 | 224 |
GPU | 551 | 515 | |
NNAPI | 365 | 366 |
上位モデル譲りのカメラ機能
上位モデル譲りなのはデザインだけではなく、カメラ機能も上位モデルの機能を踏襲しています。さすがにAQUOS R7のような1インチセンサーではありませんが、前モデルの1/2型から1/1.55型へと大型化したセンサーは、5030万画素の高画素センサーとなっています。
1型センサーの「AQUOS R7」の4,720万画素より高画素ですが、センサーサイズが小さくなって画素数が多くなったので画質は低下します。そのため、ピクセルビニングによって4画素を1画素として使うことで、ピクセルピッチを稼いで画質を確保しています。レンズのF値はF1.9。
超広角カメラは有効画素数800万画素センサーで、レンズのF値はF2.4。画質面では普通のスマホカメラという印象です。
メインカメラの画質は、上位モデルの経験を生かしたのか、ミドルクラスとはいえ悪くない画質です。像面位相差AFで高速なピント合わせもあり、シャッター音も上位モデル譲りの短く小さいもので目立ちにくく、全体としてカメラの完成度は高めです。
HDRモードをオンにするとシーンによって撮影後に画像処理に時間がかかるというのは上位モデルでも同じですが、正直普段はオフにしておいた方がいいと感じます。オフにしたとしても、「AQUOS sense7」は明部から暗部までバランスよく描写してくれます。強くHDRをかけたいというシーンでなければ、普段はオフでいいでしょう。
画質エンジンのProPix4を搭載しており、見た目通りでクリアな画質。特に少し露出を下げるとリアルさが増します。夜景モードでは、上位モデルと同様にJPEG変換する前のRAWデータの時点でレイヤー合成処理を行うそうですが、実際に十分な明るさで描写されます。画像処理がきつめでノイズ処理の影響が出ているので、等倍で再生すると厳しい描写ですが、スマートフォン画面で見る分にはうまく処理されています。
ハイエンドに比べれば価格を抑えたミドルクラスですが、カメラとしては使い勝手のいいものに仕上がっています。難点としては望遠カメラがない点でしょう。画質面では期待できませんが、デジタルズームは8倍まで対応しています。
SoCの性能の問題か、動画性能は控えめです。最高解像度はフルHDで、60fpsまでの撮影が可能ですが、その場合は手ブレ補正が効かなくなります。実用的には30fpsなので、滑らかさがやや足りません。手ブレ補正はアクションカメラほどではありませんがそれなりによく効きます。画角は狭くなりますが、手持ちで走り回るようなことをしなければ十分でしょう。
他に背景ぼかし機能を搭載したポートレート、ナイトモード、タイムラプスなどの撮影機能を搭載。ピクセルビニングを解除してフル画素で撮影するモードはないようです。
全体としては、ハイエンドほどではありませんが、日々の記録をする用途としては問題のないレベルでしょう。シャッター音は消せませんが、だいぶ静かになっているのは嬉しいところです。
コンパクトで持ちやすさは良好
上位モデルの「AQUOS R7」と比べると、約H152×W70×D8.0mm、約158gというサイズは、長さで9mm、幅で7mm、厚みで1.3mmコンパクトになり、重さは50g軽くなっています。
その分、画面は6.1型FHD+(2,432×1,080)になっていて、6.6型WUXGA+(2,730×1,260)に比べて小型化。70mmというサイズは片手でも持ちやすいギリギリのサイズで、比較的快適に利用できます。コンパクトといっても6.1型とそれなりに大きく、利便性は高いと感じます。
動画視聴性能を向上させるために、上位モデルの「AQUOS sense7 plus」はディスプレイやスピーカーが強化されています。そのためゲーム性能はplusモデルの方が高そうですが、パフォーマンス自体は変わらないため、ゲームや動画視聴を重視しなければ、「AQUOS sense7」でも十分でしょう。
全体として、性能は抑えつつ使い勝手の部分で工夫をして、普段遣いに適したスマートフォンになっています。カメラ性能も十分なスペックで、写りも良く、気軽に持ち歩いて撮影できるスマートフォンでしょう。