既報の通り、12月13日から全世界でRadeon RX 7900 XT/XTXが発売になる。実は筆者の手元にも既に評価用ボードが到着しており、性能の評価も行っているのだが、取り急ぎまずは製品のご紹介をお届けしたい。

  • 新世代Radeonがやってきた! 今回は「Radeon RX 7900 XT」と「Radeon RX 7900 XTX」のリファレンスカードを入手

    新世代Radeonがやってきた! 今回は「Radeon RX 7900 XT」と「Radeon RX 7900 XTX」のリファレンスカードを入手

まずは座学

解説記事その1及びその2では、Reference Cardそのものの説明は殆どしていないのだが、12月13日の製品発表時はまずこのReference Cardに沿った製品がAIBメーカーから投入され、これに後追いする形で各社独自のデザインに基づく製品が投入される予定である。という事で、まずはそのReference Cardの説明をご紹介したい。

ラインナップそのものはNVIDIAのGeForce RTX 4080/4090に近く、「よく似た」デザインであるが、実はそれぞれ異なるボードとなっている(Photo01)。基板そのものは14層、電源は20-Phaseと中々重厚な構成。GDDR6チップも12個配されており、本来なら結構基板上がガチャガチャしている筈なのだが、意外とすっきりしているのは電源周りの設計がだいぶ進んだためだろうか?(Photo02)。

  • Photo01: 一見すると同じカードに見えるのだが、見比べてみて頂くと微妙に異なっているのが判るかと思う。

  • Photo02: これはRadeon RX 7900 XTXのもので、7900 XTはGDDR6チップが10個に減っている筈。ただ基板そのものは共通と思われる。

カードの内部構造はこんな感じ。Vapor Chamber(ヒートスプレッダに当たるもの)はチップとGDDR6チップ、更に電源用のMOSFETもまとめて放熱する様になっている。ちなみにTIMの材質に関しては今回説明は無かった。またファン(Photo04)はかなり静かで、負荷が少ないときは完全にファンが停止していたし、開店中も動作音は全く気にならないレベルであった(単に周りがうるさかっただけ、という可能性も否定は出来ないが)。これ(Photo05)についてはまぁ言うべきこともあまりないが、こちらでも書いたようにPCI-SIGは別に12VHPWRコネクタの利用中止を呼び掛けている訳ではないので、長期的には12VHPWRコネクタにシフトしてゆく可能性は低くない。ただ現時点ではまだ従来の8pinコネクタの方が便利であろう。

  • Photo03: 「分解は不可」と言われたので、AMDの展開イメージでご紹介を。Vapor Chamberが10%容量アップとされているが、これはRadeon RX 6000シリーズのReference Cardと比較して、ということだろうか?

  • Photo04: 一番下の"fan intake temperature sensor"は、ただそれを確認できる方法が無かった(少なくともGPU-Zは未対応。Radeon Setting画面でもそれらしいものが見つからなかった)。内部的に数値を利用しているだけなのかもしれない。

ところでカードの具体的な寸法の違いがこちら(Photo05)。Radeon RX 7900 XTXの方はXTに比べて11mm長く、10mm背が高い。一回り大きい、というほどの違いでは無いが、よく似ていても実は別のデザインである。ちなみにGeForce RTX 4080と比較したのがこちら(Photo07)。まぁGeForce RTX 4080に比べればずっとすっきりしているのは間違いない。

  • Photo05: 既に電源メーカーからは、モジュラ式電源に直接装着できる12VHPWRケーブルが発売されているので、必ずしもドングルが必要という訳ではない、とちょっと重箱の隅をつついてみたり。言いたいことは判るが、ややしつこい気はする。

  • Photo06: 長さはRadeon RX 6900 XT/6950 XT(285mm)と同程度だが、高さは102mmだったのが113mm/123mmとちょっと背が高くなっており、それもあってちょっと大きく感じる。ケースによってはカバーと干渉する場合があるかも。

  • Photo07: GeForce RTX 4080のFounder Editionは、やはり3slot厚が強烈であって、それに比べるとRadeon系の2.5slot厚が薄く感じてしまうが、これを薄く感じるのもちょっとヤバい気はする。

評価機材

では届いた機材をご紹介したい。まずはハイエンドのRadeon RX 7900 XTX。パッケージそのものは黒基調の非常に大人しいものである(Photo08)。が、蓋を開けるとカードが持ち上がるギミック付きである(Photo09)。カードそのものの寸法はPhoto06で示した通り。重量は実測値で1812.7gだった(Photo10)。背面はフルカバードとなっているが、ケーブルなどの干渉を防ぐ意味でもこれは好感が持てる(Photo11)。

  • Photo08: カードそのものもワンポイントで赤が入る以外は黒基調で、大人しさがマッチしている格好。

  • Photo09: 蓋と連動する形でカードの裏に仕込まれたフラップがカードを持ち上げる様になっている。ただカードが重いので、結果蓋が妙に重い事になり、「あれ、何か壊してる?」とちょっとビビッてしまった。ちなみにこのギミックはRadeon RX 7900 XTも共通。

  • Photo10: 「CEOの握力で握りつぶした」デザインは、流石に踏襲できなかった模様。Radeon RX 7900 XTXは、この中央のファンの上部に"RADEON"ロゴが入る。

  • Photo11: もっともその分重量が増してるわけではあるのだが。赤の三角はデザイン上のもので、別に何か意味がある訳ではなさそう。

厚みは先にも説明があったように2.5slot厚(50mm)に抑えられている(Photo12)。上部は8pin×2の補助電源コネクタ以外はこれも全部ヒートシンクで埋まっている格好(Photo13)。

厚みはともかく、カードエッジから大きくはみ出すのは、それなりに横幅のあるケースが必要な感じ(Photo14)。上面の赤のストライプがRadeonの赤を主張している感じだ(Photo15,16)。

  • Photo12: ほぼ全面に渡ってヒートシンクが配されている。

  • Photo13: カードの角が丸く落とされているのがデザイン上のアクセントになっているように思う。

  • Photo14: コネクタそのものはHDMI×1、DisplayPort×2、USB Type-C×1。ただし同時3出力まで。

  • Photo15: ちなみに透かして見ても反対側は見えなかった。ヒートシンクの構造をもう少しちゃんとバラして見てみたかったところ。

  • Photo16: 底面はファン用のコネクタ以外全部ヒートシンクに覆われている。

次はRadeon RX 7900 XT(Photo17~24)であるが、やはり一回り小さい。どのくらい小さいか、を見比べるべく並べてみたのがこちら(Photo25~27)。確かにGeForce RTX 4080/4090よりはコンパクトであるが、特にRadeon RX 7900 XTXのサイズはそれなりに大きい。まぁハイエンドカードであるから、このあたりは仕方がないだろう。

  • Photo17: パッケージそのものはXTXと同じ大きさで、内部のギミックも同じだが、寸法の違いに対応してきちんとXTのサイズになっているあたりは手が込んでいる。

  • Photo18: 高さがやや低いため、中央のファンの上にあったRADEONロゴが省かれているのが判る。ちなみに重量は1507.8g(実測値)。XTXよりは軽いが、それでも結構な重さである。

  • Photo19: 裏面はXTXと似ているが、見比べると判るが別デザイン。こちらは流石にRADEONロゴが見える(ので、縦型ケースに収めればちゃんと見える)。

  • Photo20: このアングルだとそれなりに重厚感がある。というか重量1.5Kgの時点で間違いなく重量級ではある。

  • Photo21: 角の切り落とし方がちょっと違っており、やや角ばった印象。このアングルで初めて、中央のファンの真上にRADEONロゴが入っているのが判る(真横からだと見えない)。

  • Photo22: 出力はXTXと同じく。カードエッジからは10mmちょいはみ出しているだけなので、こちらは大抵のケースに収まりそうである。

  • Photo23: このアングルだとRADEONロゴが明確に。赤いワンポイントが後ろにずれている様に思えるが、実はXTXと同じ場所である。補助電源は8pin×2。

  • Photo24: ファン用のケーブルが1本で済んでいるのもXTXとの違いの一つ。

  • Photo25: 奥がXTX、手前がXTである。

  • Photo26: こうして並べると、XTXがいかに背が高いか判る(下がXTX)。

  • Photo27: 赤のストライプの位置そのものは同じ。基板の長さもほぼ同じに見える。XTXは基板をはみ出す形でヒートシンク(というか、Vapor Chamber)が配されている様だ。

今回はあくまでも製品紹介ということで、性能などのレポートはもう少しお待ちいただきたい。