C4 LAN実行委員会代表の小林さんにインタビュー

「C4 LAN GARAGE #2」の会場にて、C4 LAN実行委員会の代表を務める小林泰平さんにインタビューを行いました。「C4 LAN GARAGE」開催の経緯や、「C4 LAN」を取り巻く環境の変化について、そして静岡で開催が決定している次回の「C4 LAN 2023 SPRING」についてお話をうかがっています。

  • C4 LAN実行委員会代表 小林泰平さん

――「C4 LAN」からのスピンアウトイベント「C4 LAN GARAGE」について、改めて開催の経緯を教えていただけますか?

小林泰平さん(以下、小林):もともとLANパーティの開催には、会場で事前に工事が必要で、かつ期間中は24時間開場していることもあり、通常のeスポーツイベントに比べて3倍も4倍もコストがかかるんです。なので、これまで業者さんや会場さんに、いろんなお願いや交渉をしながらやってきました。

そうしたなか、自分たちで最大限できることを考えたときに、自社の建物を使ってLANパーティをやってみるのはどうかという話になったんです。CyACは、2004年からeスポーツの関連事業をやってきて、オフライン大会などをここで開催していたこともあるので、素地はありました。

大型LANパーティの「C4 LAN」では、現在BYOC席のチケットは25,000円ですが、「C4 LAN GARAGE」では15,000円です。LANパーティのおもしろさは、とにかく来て体感してもらわないと伝わらないですから、できるだけハードルを低く、参加しやすいものを開催したいという思いもありました。

みなさんLANパーティと聞くと、ずらっと席が並んでステージがある大きな会場をイメージされると思いますが、もともと始まりの形はこれなんですよ。LANパーティのオリジナルに近い空気を味わうには、一番のイベントだと思います。

――コロナ禍での開催方法として、小規模なLANパーティを企画されたのかと思っていたのですが、そうではなかったんですね。

小林:コロナもまったく関係ないとは言えませんが、それよりも確実に定期開催できる場所が欲しかったという理由が大きいです。何かあったとしても、ここであれば定期的に開催できる。そういう場所ができたことが、私を含むスタッフにとって、心の余裕につながりました。

自社の建物なので、いろいろなことを試せる実験の場でもあります。実際に、コロナ禍でも開催できる方法を模索するために、テストで少人数のLANパーティを行ったりもしました。あとは単に、今はあまり使わなくなっている倉庫を有効活用しようという、会社としての背景もありますね。

復活を祝った前回から、改善を重ねながらの定期開催へ

――前回「C4 LAN GARAGE」を初めて開催した際、参加者の皆さんからはどういった反応がありましたか?

小林:前回の「C4 LAN GARAGE #1」は、コロナによる中止や延期を経て、やっと開催できたタイミングだったので、内容に対してよりも「久しぶりのLANパーティだ!」という反応が一番大きかったです。関係者の方々からもお花をたくさんいただいて、「C4 LAN」の復活をお祝いする華やかな雰囲気での開催でした。

――前回と比べて、今回の開催で内容が変化している部分はありますか?

小林:前回はスポンサーがついていませんでしたが、今回はいくつかの企業さんにスポンサーとしてご協力いただいて、参加者の皆さんへのお土産が増えたり、サービスが向上したりしています。

会場の見栄えも、前回の反省から、壁や天井の壁紙をすべて自分たちで貼り直しました。あと、前回は机のサイズが大きすぎたので、180センチから150センチに小さくなっています。これは、今後もっと人が増えたときに向けた対策ですね。

――今回、席数はどれくらい用意されていますか?

小林:用意したのが63席で、そのうち45~50席弱が埋まっています。満席にすることが目的ではないので、ちょうどいいくらいかなと思いますね。もちろん完売すれば実績的にはうれしいですが、そうなると参加したいのにできない人が出てきてしまうので。もともと40席くらいが埋まるだろうと想定して、少し余裕を持った席数を用意しています。

  • 「C4 LAN GARAGE #2」の開場前。スタンバイされた63席が並ぶ

コロナで振り出しに戻った今、再び楽しさを広めていく

――最近では、ゲーム配信やeスポーツシーンの盛り上がりもますます加速していますが、「C4 LAN」にも、そうした盛り上がりの影響はありますか?

小林:それについては、正直に言うとわからないですね。もし、引き続きベルサール高田馬場で開催していたら、何か影響を感じる部分もあったかもしれません。ですが、大型の「C4 LAN」が復活して、いきなり会場が静岡に移ったので、何がどう影響したかわからないんです。

コロナ禍でゲーム配信がすごく盛り上がって、配信者の人たちが、ちゃんとそれを仕事として食べていけるようになりましたよね。もともと「C4 LAN」に遊びに来てくれていた人たちで、有名になった人もたくさんいます。そういう意味では、オフラインが中心の僕らとしては、純粋にうらやましいなと思います(笑)。

――コロナ禍でオンラインのゲーム配信が盛り上がった一方、オフラインの「C4 LAN」としては、開催できなかった期間の影響が大きいということですね。

小林:そうです。ゲーム配信の盛り上がりに関係なく、コロナの打撃はかなり大きかったですね。定期的に開催を続けてきて、参加者も徐々に増えてきていたのに、その流れがバッサリと断ち切られてしまった。2年も経つと、LANパーティの存在が、ものすごく過去のものになってしまうんですよ。

なので、前回開催した静岡の「C4 LAN」では、LANパーティのようなオフ会的なものは、下火になったという認識で再スタートしました。この2年間で多くの人が、オンラインで完結するもので楽しむことに慣れてしまったからです。

LANパーティの開催を始めた当初の2016年にも、すでに「なぜわざわざオフラインの場に集まるの?」という空気がありました。なので、振り出しに戻ったような感覚があります。そんななか、来てくださっているコアな方々の存在は本当にありがたいですが、また一つひとつ、オフラインで集まる楽しさを広めていかなければならないと思っています。

――もともと「C4 LAN」は、海外の大型LANパーティ「DreamHack」などの影響を受けているとお聞きしました。2023年5月に「DreamHack Japan」の開催が発表されましたが、これについてはいかがですか?

小林:本家とも言える「DreamHack」の話題を出してもらえるのは、光栄なことです。これまで海外のLANパーティをいろいろと見てきましたが、「DreamHack」が日本にやって来たらどうなるのか、やはりすごく興味があります。

国内では前例がないなか、ずっと孤軍奮闘でやってきましたから。そこに海外でのノウハウを持った大手の会社さんが来て、ドンと大きく開催したら、どんな反応になるんだろうと思います。僕はよく「C4 LAN」のことを日本型LANパーティと呼んでいますが、この日本という特殊な市場で、どんな風に開催するのかとても気になりますね。

「DreamHack Japan」をきっかけに、LANパーティの認知度が上がれば、それは我々にとってもいいことしかありません。なので、すごく期待していますし、運営目線でもいろいろ勉強させていただきたいと思っています。

静岡に会場を移した最大の理由は、1,000席実現のため

――次回の「C4 LAN」は、引き続きツインメッセ静岡での開催が発表されています。なぜ「C4 LAN」が静岡に移ったのか、改めて理由を教えてください。

小林:これは簡単な話で、僕らが目指す1,000席が実現できる会場が、都内にはないからです。高田馬場ベルサールだと、すし詰めで800席が限界なんですね。それで、いろいろな会場を探していて、次はGメッセ群馬での開催が決まっていたのですが、コロナの影響で上手くいかなくなってしまいました。

そんななか、ツインメッセ静岡での話が急に決まって、短期間で一気に開催まで持っていったという経緯があります。地方で開催するために静岡に移ったわけではなく、あくまで1,000席を確保できる広さの会場を探し求めた結果です。

静岡市やツインメッセ静岡の方々は、「C4 LANを静岡で育てていこう」と言ってくださっています。ツインメッセ静岡では、全国区のイベントが今2つ開催されていて、1つは爬虫類展示即売会、もう1つがプラモデルなど模型玩具の見本市です。

「C4 LAN」をこれらに匹敵するようなイベントに育てて、静岡市の三大イベントにしようと言っていただいています。それを聞いて、僕らとしても「がんばらなければ」と、いい意味で緊張感を持たせてもらっています。

――前回の「C4 LAN」に行かせていただいて、地方での開催やBYOC席の価格見直しなど、参加のハードルが少し高くなったことが気になりました。

小林:ゲームイベントの入場料って無料だったり、安く設定されていたりすることが多いですよね。ですが、先ほどお伝えしたように、LANパーティは設備のコストがものすごくかかります。なので、チケット代を安くしようとすると、参加者の皆さんではなく、スポンサー企業さんの方を向いて仕事をすることになります。

ありがたいことに今、スポンサー企業の方々は「私たちに何かできることはないですか」と、とても協力的に関わってくださっています。でも、スポンサーフィーを上げるとなれば、それだけ企業さんに負担がかかってしまう。会場や設備、席など主なところがチケット代で成り立っていれば、僕たちはスポンサー企業の方々に負担をかけずに、参加者の皆さんに向き合うことができるわけです。

それに、ギリギリの価格に設定してしまうと、サービスを向上させられないし、割引をすることもできません。なので、今は妥当な価格になっていると思います。まだ具体的にはお伝えできないのですが、次回の開催に向けて、より参加していただきやすくなる施策も考えています。

  • ツインメッセ静岡で開催された、前回の「C4 LAN 2022 SUMMER」の様子

――1,000席をいつ達成するかという、時期の目標はありますか?

小林:コロナがなければ、すでに達成できている予定でした。高田馬場ベルサールで480席まで来ていて、Gメッセ群馬では600席を用意しようとしていたんですね。それがもし売れたら、その年末には1,000席を用意しようとしていました。しかし、コロナで計画が全部つぶれてしまったんです。またコツコツ増やしていく段階ですね。

1,000席を目指すのは、僕が言っているだけで、本当にそれがいいのかどうかもよくわからないんです。でも、達成したらやっぱり「1,000席だ!」ってみんな盛り上がると思うんですよ。もしかしたら、ただその光景が見たいだけなのかもしれません(笑)。とにかくその光景を、参加者の皆さんと一緒につくり上げたいんです。

それに、業者さんにも会場さんにも、たくさんご迷惑をおかけして、協力してもらってばかりなので、早く1,000席を達成して、僕たちから何かお返ししたいという思いもあります。それは、例えば地域の振興につなげるとか、どんな形でもいいんです。そのためにも、「目指せ1,000席」なんですよ。

――それでは最後に、「C4 LAN」に参加されている皆さんや、「C4 LAN」に興味がある方に向けて、メッセージをお願いします。

まず、参加いただいている皆さんには、「みんなで一緒に1,000席を目指そう!」と伝えたいです。そして、「C4 LAN」に興味があって、参加してみたいなと思っている方には、最初は席を買わなくてもいいので、一度見に来てこの空気を体感してほしいですね。

1時間で帰っても全然構わないので、まずは友達と一緒に来てもらうのがおすすめです。それから、ウェルカムなコミュニティがたくさん参加しているので、「何のゲームやってるんですか?」とか「よかったらそのゲーム教えてください」と、参加者の方に声を掛けていただくといいですね。

最初はちょっとハードルが高く感じるかもしれませんが、そうやって声を掛けてもらうと、より「C4 LAN」の雰囲気を体験できるんじゃないかと思います。次回に向けて新しい施策もいろいろと考えていますので、ぜひ一度「C4 LAN」へ遊びに来てください。

2023年4月28日~30日「C4 LAN 2023 SPRING」開催

次回の「C4 LAN 2023 SPRING」は、2023年4月28日(金)から4月30日(日)までの3日間、ツインメッセ静岡にて開催。「C4 LAN」の本開催にあたる大型LANパーティーで、BYOC席だけでなく、ステージイベントや各種ブースなど、多くのコンテンツが展開されます。

チケット販売などの情報は、「C4 LAN」公式Twitterなどから随時発表されます。次回の開催に向けて、さまざまな施策が検討されているとのことなので、期待とともに続報を待ちましょう!

・日時:2023年4月28日(金)~4月30日(日)※期間中は無休止開催
・場所:ツインメッセ静岡
・主催:C4 LAN 実行委員会(ニチカレ株式会社)