人気漫画「ドラゴンボール」のオフィシャルサイトにて、作中に登場するキャラクター・フリーザが最高のリーダーなのか、専門家を呼んで検証した記事を公開した。これがネットで「思いの外真面目に考察してるw」と注目を集めている。
ドラゴンボールに登場するフリーザは「宇宙の帝王」として恐れられる宇宙人。有名なキャラクターなので、ご存知の方は多いかと思われるが、作中では卓越した統率力に加えて、誰に対しても敬語を使い、部下を「さん」付けで呼ぶなど丁寧なコミュニケーションも印象に残り、ネットではたびたび「理想の上司」として名前が挙がることがある。
例えば実際に、人材採用支援などを手がける会社・ジンジブが現役高校生を対象に「理想の上司」に関するアンケート調査を実施したことがあるが、フリーザは見事1位に輝いていた。ちなみに高評価の理由としては「悪いキャラで描かれているが、部下に対しての丁寧な言葉や気遣いがちゃんとできるから」や、「しっかりと褒めるところは褒めるから」などが挙がっていた。
今回、ドラゴンボール公式が公開した記事では、人材開発・組織開発の専門家である立教大学の中原淳教授に依頼し、ナメック星での発言や行動から、フリーザが本当に理想の上司なのかを検証した。
例えば、作中でフリーザは部下を動かすとき、スピーディかつ明確に指示を出し、部下が疑問を持てば命令の根拠を丁寧に述べている。この行動に中原教授は「人に動いてもらうために大事なことは、『指示が明確であること』『朝令暮改がないこと』『ロジカルに説明すること』。フリーザのコミュニケーションは、これらの要素を満たしている。また、『短い言葉で言い切る』指示は、経験の浅い部下でも動きやすいのではないでしょうか。」と分析している。
また、フリーザは部下や敵に対しても落ち着いた「敬語」を使うのだが、これは「リーダーとメンバーの関係性をなるべくフラットにし、おのおのの自発的な働きを促すボトムアップ型のマネジメントのようにも感じられる」(中原教授)という。
このほか、ドラゴンボールを7個集めてきたギニュー隊長に対して、具体的な褒めポイントを伝えた上で、賛辞と感謝の言葉を贈るなど部下の功績を称えるシーンがあり、中原教授は「フリーザさんの褒め方は『SBI型』と呼ばれるもので、『Situation(状況:どういう状況での)』『Behavior(行動:どういう行動が)』『Impact(影響:どう良かったのか?)』をしっかり言葉にできている点が特徴。それに、褒めるべきときに部下を褒めておくと、逆に『叱る』『ダメ出しをする』などの“ネガティブフィードバック”も伝わりやすくなる」と考察している。
中原教授の評価では「あくまでフリーザさんの言動を表面的に解釈するなら、『素晴らしい上司』と言えるかもしれない」とのこと。一方で、逆らうと殺してしまうといった極端な行為について「彼のマネジメントの根底にはマキャヴェリズム(権謀術数主義、目的を達成するためには手段を選ばないこと)のような考え方がある。こういった破壊的なリーダーシップは、短期的には通用し、部下たちは恐怖のあまり、邪悪なリーダーに従ってしまう。それでも、中長期的に見ればそんな組織は長続きしない」とも。
公開された記事ではこのほかにも、フリーザの発言や行動から「フリーザのリーダー性」について深く検証しているので、ぜひ一読してほしい。
ネット上では「読者は当然フリーザに殺されるワケはないから、そこを無視して良いとするならやっぱ理想の上司だな」「いきなり消されるけどね」「思いの外真面目に考察してるw」などの声が寄せられた。