ソニーグループは11月1日、2022年度第2四半期の連結業績を発表した。売上高は前年同期比16%(3,825億円)増の2兆7,519億円、営業利益は同8%(256億円)増の3,440億円となり、第2四半期及び上半期の実績として、いずれも過去最高を更新した。

  • PlayStation 5(PS5)の2022年度第2四半期の生産台数は650万台超。「計画を上回るペースで進捗している」

  • ソニー副社長 兼 CFOの十時裕樹氏

⾳楽分野や、デジカメ・モバイル用のイメージセンサーなどのイメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野が大幅な増収となり、売上高アップに貢献。さらに為替の影響もあり、「上期は絶好調といってもいい」(十時氏)という業績を収めたデジタルカメラなど、AV機器を含むエンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S)分野、ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野、映画分野も⼤幅増収を記録した。前年同期の為替レートを適用した場合は約1%の増収。いっぽうで、⾦融分野は大幅な減収減益となっている。

2022年度第2四半期の税引前利益は、同22%(627億円)増の3,458億円。純利益は同24%(509億円)増の2,640億円。

  • ソニーグループ 2022年度第2四半期連結業績

  • 2022年度第2四半期 セグメント別業績

G&NS分野では、アドオンコンテンツを含む自社制作以外のソフトの販売減少があったものの、為替の影響による増収効果(939億円増)で、売上高は前年同期比12%(753億円)増の7,207億円となった。

同分野の営業利益は、同49%(405億円)の大幅減益となる421億円。上記の販売減少に加え、ゲームソフト開発費の増加、Bungie,などの買収にともなう費⽤の計上、さらにコストの米ドル建て比率が高いことによる為替の悪影響も響いた。

2022年度のG&NS分野の見通しは、売上高を100億円上方修正。為替の影響やPlayStation 5(PS5)ハードウェアの価格改定によるハードウェアの増収をプラスの要因としてあげている。営業利益は300億円(12%)下方修正した。

  • G&NS分野の2022年度第2四半期業績と、2022年度見通し(7月比)

十時氏は、PS5ハードウェアの生産について「部材供給やロジスティックスの制約が大幅に緩和され、当四半期の生産台数は650万台を超え、計画を上回るペースで進捗している」とコメント。

米国小売店における2022年9月の実売状況として、10万台の入荷から完売までの平均所要時間が17.5時間と「PS5に対するユーザーの需要が引き続き強い」 (十時氏)との認識を示し、「この強い需要に答えるべく、年末調整に向けた供給の前倒しを全力で進めており、通期販売台数についても1,800万台からの上積みを目指す」とした。

PS5ハードウェアの販売台数については、2022年度第2四半期の出荷台数が全世界で330万台となったことを補足資料の中で明らかにしている。なお、十時氏は「(先日の)PS5の値上げが需要に影響することはないのか?」という報道陣の質問に答えるかたちで、「PS5の値上げによって需要が減衰する事実はないものの、引き続き市場を注意深く見守る」と回答している。

2022年度のソニーグループ通期業績見通しについては、売上高は7月時点比で1%(1,000億円)増の11兆6,000億円を見込む。営業利益は同5%(500億円)プラスの1兆1,600億円、純利益は同5%(400億円)プラスの8,400億円を見込んでいる。

なお、十時氏はG&NS分野の業績見通しについて、「2四半期連続となる大幅な営業利益の下方修正を行ったことは最大の反省点だ。CFOとして重く受け止めている。業績見通しの精度向上を大きな課題と捉え、今後その改善に努めていく」と発言。

一方、グループ全体としては「当上半期においては事業環境の大きな変化に対し、各事業が迅速に対処することができたと考えている。加えて、音楽分野やI&SS分野がこれまで進めてきた投資の成果によって、G&NS分野の不調をカバー。為替が大きく変動する中、各事業のコスト構造の違いがその影響をバランスさせているなど、多様な事業ポートフォリオがグループ全体の収益を安定させ、レジリエンスを高めていると捉えている」とした。

「2023年度にかけては、(世界経済が失速するリスクが一段と高まる状況下において)事業環境がもう一段厳しくなることを想定し、各事業でこれに備えた対応をさらに進めていく。また、これらの課題にしっかりと向き合っていくと共に、長期的な成長の実現に向けた施策にも着実に取り組む」(十時氏)。