J.D. パワー ジャパンは9月27日、7月下旬~8月上旬に実施した携帯電話サービスの顧客満足度調査の結果を発表した。
総合満足度は上昇、オンライン専用ブランド/プランで高い満足度
調査は「大手キャリア」「バリューキャリア」「MVNO」「オンライン専用ブランド/プラン」の4部門で実施。この1年間、2021年10月にNTTドコモで、2022年7月にauで、それぞれ大規模な通信障害の発生があったが、業界全体の総合満足度は前年比7ポイントの向上となった。
部門別にみると、大手キャリアは総合満足度と同じく7ポイントの向上。ファクターとしては「各種費用」ファクター、中でも「料金プランのわかりやすさ」が向上しているという。バリューキャリア部門は前年比マイナス9ポイントで評価ダウン。MVNO部門の総合評価は前年比プラス6ポイントで、「通信品質」ファクター、とくに「通信の速度」が顕著な向上。多くのMVNO事業者で通信品質の改善・向上が進んでいることが推察されるとしている。オンライン専用ブランド/プラン部門は前年比プラス2ポイントと微増だが、4部門のうちもっとも高い満足度を維持している。
ただし、通信障害の影響か、調査対象とした15ブランド中6ブランドで「通信品質」ファクターが前年比マイナス10ポイントを超える大きな低下となっているという。総合満足度を構成するファクターとしても、2022年の調査ではこれまでもっとも大きく影響していた「各種費用」にかわり、「通信品質」の影響度が最大となっているそうだ。
満足度低下にもっとも影響するのは「スマホ決済を利用できなかった」経験
今回の調査では、通信障害で困ったシーンについても調べている。「家族や友人・知人と連絡が取れなかった」(13%)、「SNS(Facebook、Twitter、Instagram等)での投稿/閲覧ができなかった」(11%)、「ニュースや天気予報を見ることができなかった」(11%)、「会計時にスマホ決済が利用できなかった」(9%)などの答えがあがったが、このうちでもっとも満足度の低下に大きく影響していたといえるのが「会計時にスマホ決済が利用できなかった」経験だという。
各部門のランキング
4部門それぞれのランキングは以下のようになった。
大手キャリア部門
大手移動体通信事業者のメインブランドであるau/docomo/SoftBankの「大手キャリア部門」では、「通信品質」「サービスメニュー」「手続き・サポート対応」の3ファクターで最高評価だったdocomoが603ポイントで首位。2位は「各種費用」「提供端末」の2ファクターで最高評価のSoftBank(591ポイント)。auは584ポイントで3位。
バリューキャリア部門
“大手移動体通信事業者のサブブランドまたは準大手移動体通信事業者の携帯電話サービス”と定義された「バリューキャリア部門」は、楽天モバイル/UQ mobile/Y!mobileが対象。ここでは、Y!mobileが650ポイントで首位を獲得。ファクター別でも「通信品質」「サービスメニュー」「手続き・サポート対応」「提供端末」で最高評価となっている。2位は僅差の644ポイントでUQ mobile。3位の楽天モバイルは少し離された606ポイントだが、「各種費用」ファクターでは最高評価だ。
MVNO部門
仮想移動体通信事業者による携帯電話サービスの「MVNO部門」では、イオンモバイル/BIGLOBEモバイル/IIJmio/J:COMモバイル/mineo/OCNモバイル ONEの6ブランドを対象に調査。1位はIIJmioの669ポイントで、「通信品質」ファクターで最高評価。2位のイオンモバイル(665ポイント)は「各種費用」「手続き・サポート対応」の2ファクター、3位のmineo(661ポイント)は「サービスメニュー」ファクターで最高評価となっている。
オンライン専用ブランド/プラン部門
大手移動体通信事業者が2021年より提供を開始した、オンラインのみで手続き・サポートを基本とする携帯電話サービスを対象とするのが「オンライン専用ブランド/プラン部門」。対象となるのは、ahamo/LINEMO/povoの3ブランドだ。首位のLINEMOは686ポイント、「通信品質」「各種費用」「サービスメニュー」「手続き・サポート対応」の4ファクターで最高評価。2位はpovoの664ポイント、3位はahamoの662ポイントという結果だった。
調査概要
- 実施期間:2022年7月下旬~8月上旬
- 調査方法:インターネット調査
- 調査対象:スマートフォンを利用している人(18歳~74歳)
- 調査回答者数 大手キャリア部門:9,500人、バリューキャリア部門:3,900人、MVNO部門:3,000人、オンライン専用ブランド/プラン部門:2,300人
総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターのユーザー評価を基に1,000ポイントを満点として総合満足度スコアを算出した。総合満足度を構成するファクターとその影響度は、「通信品質」(28%)、「各種費用」(26%)、「サービスメニュー」(20%)、「手続き・サポート対応」(13%)、「提供端末」(13%)となっている。