Maker Faire Tokyo 2022が開催されました。「世にないものは自分で作る」というMakerのお祭りです。前編に続いて、後編では多彩は出展をダイジェストでお届けします。以下、カッコ内のブース番号をもとに、詳しい説明などは公式ページの出展者紹介をぜひご覧になってみてください。

公道走行可能な電動モビリティも!

モビリティで面白かったのは「デゴチ」(B-01-06)です。世界最小の電動バイクを作ろうということで、サイズ最優先で作ったそうです。公道走行可能なのでナンバーも保安装置も着いています。

実際に屋外デモで試乗させていただきましたが、加速しすぎるとウイリーして尻もち付きそうですし、小さくて体重移動が難しかったです。がんばって8の字走行までしました

  • フレームは中国製バイクの流用。サイドの黒いパーツは「予備バッテリーとしてマキタのバッテリーを付けられる」とのことでした

  • 「後ろのキャスターはウイリーバー代わり?」と尋ねたところ、テスト走行でウイリーしてテールランプ破損が相次ぎ、テールランプのガードとして取り付けたそうです。前輪を金具で引っ掛けると運搬しやすくなるというメリットもあるみたい

【動画】「よくナンバー取れたなぁ」という気もしますが、日ごろバイクに乗っている人は上手に走っていました
(音声が流れます。ご注意ください)

【動画】でも小さいので走行自体はかなり難しく、乗り慣れてない女子高生は苦労していました。……アッ!
(音声が流れます。ご注意ください)

筆者はテクノロジー大好きなので、美術系はあまり見て回れなかったのですが、技術とアイディアは「太田志保」(D-01-02)と「コンデンサー盆栽家元 へぎ」(D-01-01)が光っていました。

  • 内部に照明を入れることで螺鈿細工を際立たせている、「太田志保」(D-01-02)の螺鈿行灯。光っている右奥の最新作はサイコーに気合入ってます

  • 「仕事柄コンデンサーやジオラマのパーツが多くあった」と語るのは、電解コンデンサーを鉢に例えて盆栽にしてしまった「コンデンサー盆栽家元 へぎ」(D-01-01)

  • 「価格は購入者が決めてください」と販売していました

ほかにも面白いものがたくさん! 丸一日かけても全部をくまなく見るのは難しいのです。もし来年(2023年)に行かれるなら、開場直後から訪れることをおすすめします(2023年もリアル開催できるよ祈ってます)。

  • 「ムウラの写真屋さん」(I-01-09)は、アナログカメラにもExifを付けたい――ということで、照度計の代わりに写真の基板を取り付け、シャッターを押すとスマホにデータを送信。「Exifと言えば場所情報ですが、そのデータは?」「(記録先の)スマホGPS使ってます」

  • AIによる画像判定は定番ですが、これは焙煎前のコーヒー豆(生豆)から不良豆を判別して取り除く装置。2つのカメラで両面の画像を認識して、不良品を弾き飛ばします。「ぜひ売ってほしい!」という来場者がいましたが、「(心臓部の)Jetson nanoが入手困難なんです」とのこと

【動画】コーヒー豆を選別するデモ。コーヒー豆の表面をカメラ撮影して画像認識という手順なので、両面を判定するために途中でひっくり返して2回撮影しています。不良豆の排除は横からエアで飛ばすことで対応していました
(音声が流れます。ご注意ください)

  • 「自宅ゲーセンプロジェクトMini」(I-05-05)の新作は、PS2(PlayStation 2)をテーブル型筐体にしたもの。テーブルガラスはジャンクのスキャナから取り出したものだそうで、きれいにまとまっていました

  • テーブルを開けてもらうと、中身はこんな感じ

  • 「工作記録帳」(I-01-04)のコマッピング。写真だと分かりやすいのですが、コマに反射フィルムが貼ってあり、コマが回転している状況と場所をカメラで確認し、プロジェクターでエフェクト画面を追加しています

  • ボトルシップのように瓶の中に電子工作を入れているのは「O'Baka Project」(I-02-06)。口から入る程度にまとめたパーツをボトル内で半田付けするのは大変そう

例年出展されている方々も、リファインは続きます。また、人気は博したものの展示でうまく動かなかったことから、以前よりも動きを減らした出展もありました。

  • 常連の「SPARE-TRACK crafts」(I-04-06)のカクホタル。今年はボード間をつなぐ光るケーブルと、写真中央の音が鳴るブロックが新作です

【動画】カクホタルのメロディデモ。1日目は「分」が変わるところから分岐していたので撮影チャンスが少なかったのですが、2日目は10秒ごとに組み直されていました
(音声が流れます。ご注意ください)

  • 一昨年(2020年)、ドリンク缶を開けるメカとコミカルなロボットの動きで話題となった「山田社長」(H-01-04)。メカの調整が難しいということで、とりあえず接客ロボだけを作成。まだ半完成状態のようです

  • 横から見ると靴までこだわっているのですが、正面からでは分からない!

【動画】ロボの接客風景は相変わらずコミカルで注目度も高めでしたが、ギリギリまで調整しているようで、2日目は動きに変化がありました
(音声が流れます。ご注意ください)

Maker Faire Tokyoには子ども向けの展示もありますし、体験型のセミナーも豊富。「自作カー」を競うNerdy Derbyはコロナ禍の影響で2022年もありませんでしたが、保護者目線でコメントしてくれた来場者いわく「一日中ブースに張り付いたままなので、あまりお金がかからず親としてもラク」とのこと。

  • プログラミング教育もすでに学校に取り入れられたこともあり、前回ほど規模が大きくなかったのですが、「子どもプログラミング喫茶」(A-01-03)も気が付くと満席

  • 「baby toiのアートデザインラボ」(A-01)の「あつまれ!子ども記者 - みんなで“メイカー新聞”をつくろう」コーナー。写真は2日目のもので、けっこう集まっていました

  • 作るのは無理でも分解なら! という「分解ワークショップ」(M-02-01)。写真は2日目ですが、1日目は多くの人がスキャナを分解していました

  • 分解可能なブツが並んでいます

そして、イベントを支えるスポンサー

Maker Faireを支えているのはスポンサーです。今年も多くのスポンサーが出展しており、印象的だったのはマクニカ。マクニカのスポンサーブースは空っぽで、ハンズオンゾーンの対応に全集中していました。

  • スイッチサイエンスは例年通り物販ですが、mirco:bitコンテストの作品発表も。ただし半導体不足の影響でmirco:bitの販売はありませんでした。残念!

  • オーム社はMaker向けを中心に書籍の販売

  • FUTURE LIFE FACTORY(パナソニック)は作品の展示と、スイッチサイエンスで販売している製品の組み立て支援

  • ソニーはSPRESENSE製品(ボードコンピュータ)の展示が中心。なかなか製品が出ないと以前ヤキモキしていましたが、今ではラインナップが充実しています

  • ソニーらしく、イメージセンサーを使ったライブデモ。高感度なHDRカメラでは鮮明に映りますし、これで30fpsを出せるとのこと

KSYブースは「通販分からコツコツRaspberry PIを集めた」として、RasBerry PIを特価販売。Raspberry Pi ZERO 2 Wだけは「(いつ売り出すか分からない)ゲリラ販売」でした。過去に時間指定で販売したところ、長蛇の列ができてしまったことの反省だと思います。数も十分あったようで、2日目の午後になっても全商品の販売をしていて、価格もさることながらMaker向けの対応に驚かされました。

  • 「撮影禁止」と書いてありますが、価格を見せないことを条件に撮影許可いただきました。2日目の午後3時時点でも残っていたので、非常にうれしい!

キオクシアはSSDを主体に展示。東芝の時代は「Flash Airの同人誌」を配布していましたが、今回はSSDの同人誌Vol.2を配布。「あれ? Vol.1はいつ配布?」と思って聞いたところ、Maker Faire Tokyo 2021がオンラインオンリーになったことから、秋葉原で配布していたそうです。

  • キオクシアは各種SSDに加えて、作るSSDを展示。ほかにMIDI録音のSSDが展示されていました

  • かつて「FlashAir Doujinshi」というものをMaker Faireで配布していたのですが、FlashAirはすでにサポート終了。ということで新たに「SSD Doujinshi」を配布。Vol.1はPDF版で読めます

  • 「Ax Robotix」(S-05-01)は、睡眠の品質改善に取り組む製品を開発するスタートアップ。写真の「Pixx」は、枕の高さ(3カ所)を自動的に変える装置。体験はしなかったのですが、ファーストキャビン市ヶ谷で実証実験中のようです

  • Mouserはコンテストの来場者審査を実施。個人的に一番気に入ったのは「お金を入れると時間が巻き戻る時計」(優勝ではなかったそうです)

次回のMaker Faire Tokyo 2023は、2023年10月14日・15日の開催を予定しています。今から楽しみです。時間と予算と都合があえば東京以外のMaker Faireもレポートしたいと思います。