シャープは9月1日、過熱水蒸気オーブンレンジ「ヘルシオ」シリーズの新製品となる「AX-XA30」「AX-UA30」を発表しました。両製品ともオープン価格で、推定市場価格は最上位モデルのAX-XA30が206,000円前後、コンパクトなAX-UA30は93,000円前後です。
もともと高機能なヘルシオシリーズですが、新モデルは温め直しや解凍機能がさらに進化。プレス向けの内覧会に参加して、新機能や調理した料理の味をチェックしてきました。
冷めたオカズをできたての美味しさに「復元」
新型の2モデルは、いずれも食材を美味しく温める「ヘルシオあたため(おいしさ復元)」機能を新たに搭載しました。「ヘルシオあたため(おいしさ復元)」とは、冷めてしまった惣菜などを温め直す機能のこと。
一般的なオーブンレンジは「自動温めなおし」機能に電子レンジ加熱を使いますが、ヘルシオあたためメニューは選んだ食材にあわせて過熱水蒸気と水蒸気を組み合わせて、最適な方法で加熱します。こうすることで、一度は冷めてしまった料理も、まるで作り立ての味を再現できるとのこと。調理後に時間がたって乾燥してしまった料理も、作り立てのしっとりとした美味しさに復元するそうです。
フラッグシップとなるAX-XA30のヘルシオあたためメニューは、揚げ物、蒸し物、パン、焼き物という4メニューを装備。一方のAX-UA30は、揚げ物とパンの2メニューのみ対応です。
ちなみに、ヘルシオは以前のモデルも温め直し機能はありましたが、「あたため・下ごしらえ・解凍」メニューの下にまとまっていました。今回の新モデルでは、温め直し機能を独立させて「ヘルシオあたため(おいしさ復元)」ボタンを操作パネルのトップ画面に持ってきています。
また、従来モデルの温め直し機能は、揚げ物、蒸し物、パンという3種類でした。新モデルでは、チキンソテーや焼き魚といった「焼き物」の温め直しが追加されています。
過熱水蒸気の力で失敗なく短時間で解凍できるように
もうひとつ注目したい新機能が「食べごろ解凍」です。従来のヘルシオも解凍機能はありましたが、基本的に冷凍肉や冷凍魚といった限定した食材にしか対応していませんでした。また、電子レンジとスチームを組み合わせた加熱方法によって解凍していたため、食材がイレギュラーな形状をしていると煮えてしまう失敗が起こることも……。
新しい「食べごろ解凍」は肉や魚といった食材だけではなく、調理後に冷凍した料理も解凍できます。コロナ禍のなかで惣菜などのお取り寄せが人気となっていいますが、塊のローストビーフなどは冷蔵庫で解凍すると半日以上かかることもありますね。しかし「急いで食べたいから」と電子レンジで加熱解凍すると、火が通りすぎて味が落ちたりします。
そこで「食べごろ解凍」では、電子レンジ機能は使いません。水の力だけで冷凍食品を解凍します。水蒸気が食材に触れると気体から水に変化しますが、このとき潜熱と呼ばれる熱が発生。この潜熱を利用して食材を加熱しすぎることなく、すばやく解凍できるのです。ただし、冷凍食材をまわりから溶かすため、ローストビーフなら解凍に約20分と、解凍時間は電子レンジより長くかかります。
落ち着いた「バイブレーション仕上げ」で珍しいブラウン色もラインナップ
新モデルでは本体デザインも変わりました。フラッグシップのAX-XA30で特徴的なのが、本体表面塗装の一部に「バイブレーション仕上げ」を採用していること。金属はピカピカに磨くことで鏡のような光沢が出ますが、バイブレーション仕上げはあえて凸凹研磨することで反射を抑えた落ち着いた質感を演出しています。
今回の新モデル、筆者がとくに気に入ったのは「食べごろ解凍」機能。コロナ禍で食材や冷凍食品のお取り寄せが増えているいま、食べごろ解凍の恩恵を受ける家庭は多いと思います。
現在は手家電メーカーの大半が過熱水蒸気オーブンレンジを発売していますが、ほとんどの製品が過熱水蒸気だけではなく、電子レンジなどを併用して加熱する仕様です。シャープのヘルシオシリーズだけは、庫内の密閉性を高めることで本当に「水だけ」で調理できる珍しい過熱水蒸気調理オーブンレンジです。水だけで解凍することで失敗をなくす「食べごろ解凍」は、ヘルシオならではの機能といえます。