京都大学(京大)などは、NaClに代表される岩塩型構造とCaF2に代表される蛍石型構造という2つの無機固体における基本構造の共存と制御を達成したことを発表した。
同成果は京都大学大学院工学研究科の加藤大地 助教、阿部竜 同教授、陰山洋 同教授、東京工業大学理学院化学系の八島正知 教授、藤井孝太郎 同助教、大阪大学大学院工学研究科の佐伯昭紀 教授、東北大学大学院工学研究科の高村仁 教授、及川格 助教らの共同研究グループによるもの。詳細は、国際学術誌「Advanced Functional Materials」(オンライン版)に掲載された。
これまでの研究では、2つの基本構造をベースに、さまざまな層状物質が開発されてきた。例えば高温超電導材料として知られるLa2CUO4は岩塩層のLa2O2層とCuO2層で構成されているほか、水分解光触媒として知られるBi2YO4Clは、蛍石層Bi2YO4層とCl層で構成されていることが知られている。
今回の研究で用いられた酸塩化物光触媒Bi12O17Cl2は可視光応答型光触媒として多数の研究成果が報告されているが、1983年に報告されて以降、結晶構造は未解明のままであったという。
そこで、研究チームではさまざまな手法を組み合わせた構造解析を実施。その結果、波打ったBi6O8.5層を確認したほか、岩塩構造(蛍石+岩塩ブロック)であるBiO2.25と蛍石構造(蛍石ブロック)であるBi2O2が共存していることも確認したとする。これまで両者の構造が共存している材料は発見されていなかったという。