クリエイティブメディアは、安定したオーディオ再生や高音質伝送を実現するaptX Adaptiveコーデック対応のBluetoothオーディオトランスミッター「BT-W4」を、5月26日に直販限定で発売した。直販価格は6,800円。

  • BT-W4

  • BT-W4本体(左)と、付属のアナログマイク(右)

USB-Cポートを搭載したPlayStation 5やNintendo Switchなどのゲーム機、PCやMacのUSB端子に取り付け、手持ちのBluetooth対応イヤホン/ヘッドホンなどと組み合わせて使えるドングル。付属のUSB-C to A変換アダプタで、USB-A搭載のPlayStation 4などにも取り付けられる。

  • PlayStation 5に接続したところ

  • Nintendo Switchと組み合わせたイメージ

ワイヤレス接続の状態やデータ量に応じて、音声データの伝送レートを自動的に変化させる可変ビットレートのaptX Adaptiveコーデックをサポート。通信状態が良好な場合は、同コーデックに対応する機器へ最大48kHz/24bitの高音質伝送が行える。電波状態が悪化した場合は、ビットレートを下げて音切れを低減し、音質を維持しながら安定した伝送を行う。ほかにもSBCとaptXをサポートしている。

既存の「BT-W3」(2020年発売/直販4,378円)は併売する。主な違いとして、BT-W3は高音質なaptX HDと低遅延なaptX LLをサポートしていたが、BT-W4ではaptX Adaptiveに置き換わり、aptX HD/aptX LLには非対応となった。Bluetoothのバージョンは5.2で、通信距離は見通し約50mに強化(BT-W3はBluetooth 5.0準拠、見通し約30mまで)。A2DP/AVRCP/HFPの各プロファイルをサポートし、音声通話にも対応する点は共通だ。

  • BT-W4(左)とBT-W3(右)。対応コーデックやBluetooth周りの細かな仕様が異なるが、サイズはほぼ同じ。BT-W4には「X」のロゴが大きく印字されている

BT-W4では最大4つの機器とペアリングでき、本体のボタンを押すことで、ペアリング済みで接続待機状態になっている機器を順次切り替えられる。なお、BT-W3は本体ボタンを押して手動で任意のコーデックに変更できたが、BT-W4では接続した機器がサポートする最適なコーデックを自動的に選ぶ仕様になり、手動で変更できなくなった。

新たにPC用ソフト「Creativeアプリ」に対応。Sound BlasterオーディオエンハンスメントのAcoustic Engineでオーディオのカスタマイズをしたり、イコライザーで音質調整したりできるようになった。PC上でのペアリングや接続切り替えの操作にも対応する。

PS5/4のコントローラーなどに差し込んで使える3.5mm 4極アナログマイクを同梱。Nintendo Switchの一部のタイトルがサポートしているゲーム内ボイスチャット機能を使う場合、ゲーム音声がモノラルで再生されてしまうためにHFP機能を無効化する必要があり、従来のBT-W3ではファームウェアをPCから書き替える複雑な作業が必要だった。BT-W4ではその手間を省き、CreativeアプリからHFP機能を無効化できるようになっている。

  • 付属の3.5mm 4極アナログマイクをPS5のコントローラーに取り付けるイメージ

  • BT-W4の製品内容。左上がUSB-C to A変換アダプタ

SwitchやPS5のゲーム音声を手軽にワイヤレス化

  • BT-W4に、aptX Adaptive対応のゼンハイザー 完全ワイヤレスイヤホン「CX Plus True Wireless」を組み合わせたところ

短時間だがBT-W4を試用できたので、インプレッションをお伝えする。指でつまめるコンパクトサイズで、外観やサイズはBT-W3とほぼ変わらないが、aptX対応を表すと思われる「X」のロゴが大きく印字されているので、ひと目でBT-W4とBT-W3を見分けられる。

対応機器に接続するだけで使えるプラグ&プレイ仕様で、BT-W4をPS5やSwitchなどに取り付けるとすぐにペアリングモードに移行し、LEDが青色に点滅。続いて手持ちのBluetoothイヤホンをペアリングモードにして、ペアリングできた旨のアナウンスが流れるまでしばらく待つ。

今回は、手持ちのPS5やNintendo SwitchにBT-W4を取り付け、aptX Adaptiveコーデックをサポートするゼンハイザーの完全ワイヤレスイヤホン「CX Plus True Wireless」を組み合わせてゲームを遊んでみた。BT-W4のLEDが紫に光っていたので、aptX Adaptiveで正常に接続できていたようだ(ちなみに緑点灯はaptX、青点灯はSBCで接続されていることを表す)。

Switchの場合、本体システムバージョン13.0.0以降でBluetoothオーディオに対応しているが、遅延が大きなSBCコーデックのみしか使えず、Bluetoothオーディオのマイク入力にも非対応なので、実はあまり活用できるシーンがない。Switch本体とのSBC接続時はあらゆる音が薄っぺらく、ただ鳴っているだけのように聞こえるのも惜しい。

その点、BT-W4とaptX Adaptive対応イヤホンを組み合わせてRPGを遊んでみると、とにかく音が良くて、ついのめり込んでしまう。BGMなどのゲーム内音源が元々持っている音の広がり感や立体感が自然に再現され、キャラクターのボイスやバトル時の衝撃、爆破シーンなどのサウンドエフェクトにも厚みが増すので、ゲーム内の世界により深く没入できて楽しい。リッチなサウンド体験はゲームに必要不可欠な要素だと改めて実感した。

ゲームプレイ時の音の遅延もほぼ感じられず、よほどシビアなタイミングが求められるゲームでなければ十分に実用的といえる。Switch本体側のバッテリー消費量がやや早く感じられたのと、ABEMAのような動画アプリではリップシンクのわずかなズレが気になったが、このあたりは環境によるかもしれない。

PS5でもアクションゲームを遊んでみたが、こちらもほとんど遅延は気にならず、ワイヤレスで快適なプレイが楽しめた。PS5ならではのTempest 3Dオーディオは利用できないので、純正の「PULSE 3D ワイヤレスヘッドセット」などに譲る部分はあるが、すでにaptX Adaptive対応のBluetoothイヤホンを持っていて、それをPS5で活用したい人にとってBT-W4は重宝するだろう。