待望の「PlayStation 5(PS5)」がついに発売された。進化したゲーム体験のための新機能が盛り沢山だが、メディアプレーヤーとしての機能も充実しており、見逃せない。そこで今回は、PS5のAV(オーディオ・ビジュアル)関連の機能に注目して紹介する。
筆者はソニーストアの第1弾抽選に当選し、Ultra HD Blu-rayドライブを備えたPS5(型番:CFI-1000A01、税別49,980円)を購入することができた。外観を写真でお伝えしたときにも軽く触れたが、あえてディスクドライブ搭載モデルを選んだのは、4KブルーレイことUltra HD Blu-ray(UHD BD)の再生を試してみたかったからだ。
発売日と前後して、さまざまなPS5のAV機能が各メディアで紹介されている。筆者もUHD BDや映像配信サービス利用時の映像/音声出力の挙動などで気になるところがいくつかあり、実機で試しつつ、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)広報に問い合わせてみた。
いろいろ調べていくと、PS5の“メディアプレーヤーとしての完成度”は、個人的にはまだ完全ではない印象だ。ただ、従来のPS4のように、PS5も今後本体ソフトウェアが更新され、AV機能も強化されるものと思われる。まずは発売時点でできることを、実際に試した結果とSIEからの回答を踏まえてまとめてみよう。
4K/HDRテレビなのに「HDRが使えない」!? HDMI設定を見直した
PS5のホーム画面には、メインとなる「ゲーム」タブと、ディスクプレーヤー、NetflixやSpotifyといったストリーミングサービスのアプリをまとめた「メディア」タブが用意されている。ストリーミングサービスの使い方に関しては、基本的にはPS4と変わらない。手持ちのPS4からデータを引き継ぎ、PlayStation Networkにログインした状態では、各サービスにあらためてログインし直す手間すら省かれていた。
ディスクドライブを備えたPS5であれば、市販の4K Ultra HD Blu-rayソフトや通常(2D)のBlu-rayソフト、DVDソフトを再生可能だ。BDレコーダーでテレビ番組を録画してダビングしたBD-RE(50GB)も再生可能(4K番組を録画したディスクは手持ちがなく試せていない)。BD再生時は1.5倍の音声付き早見再生ができた。
不満がないわけではなく、ディスク再生時はドライブの発する騒音がそれなりにあってうるさい。また、ディスクを出すときは本体のイジェクトボタンを押さないといけないので、メニュー画面から排出できるようになるとありがたいのだが……。
なお、PS5は3D立体視の出力には非対応なので、3D Blu-rayは再生できない。また、PS4と同じく音楽CDの再生はできず、SACDも認識されなかった。
筆者はまず、東芝の4K有機ELテレビ「REGZA 55X920」にPS5付属のHDMIケーブルでつないでUHD BDソフトを再生してみようと思ったのだが、ここでいきなりつまづいてしまった。4K/HDR対応のテレビなのに、「HDRに対応していないテレビ」と認識されてしまい、映画でもゲームでも以下の写真のようなメッセージが必ず表示されたのだ。
これは筆者のテレビ設定の問題だった。X920の設定で「外部入力設定」>「HDMI モード選択」と進み、「通常モード」を「高速信号モード」に変えることで解決。無事に4K HDRの映像を楽しめるようになった。
これまではX920でHDR映像を普通に再生できていたので、解決方法を探すために手間取った。PS5とテレビをつなぐHDMIケーブルを手持ちの18Gbps対応のものに替えたり、テレビ側のHDR設定項目を探したりしたりと数時間をムダにしてしまった……以前、別の問題でテレビの設定をいったん初期化したことで、HDMIのモード設定にも影響したのかもしれない。
ネット上を見ていると、PS5のHDR出力が上手くいかないという同様の声をいくつか見かけた。筆者とは事情が異なるかもしれないが、他にも同じような問題にぶつかったユーザーはいるようだ。テレビメーカー各社で設定項目や表記が異なるので、こういった問題が発生したときはまず、HDMI関連の設定を確認してみてほしい。
ちなみにPS5が対応するHDR方式は、UHD BD再生に必須の「HDR10」のみ。HDRには他にも、放送などで使われるHLG(ハイブリッドログガンマ)や、互換性や柔軟性を高めた「HDR10+」、ドルビーが提供する「Dolby Vision」といった規格も用意されているが、SIEによるとHLG、HDR10+、Dolby Visionにはすべて非対応とのことだった。
PS5は発売時点で4K/120pの高速表示に対応しており、将来の機能強化で最大8K解像度の映像出力にも対応予定だ。ただし、こういった高い描画性能を生かせるHDMI 2.1規格に対応したテレビやゲーミングモニターの選択肢は、現状ではほとんどない。
ソニーは8K BRAVIA「KJ-85Z9H」が、今後のソフトウェア更新にて、HDMI 2.1規格でサポートする「4K 120p」「8K 60p」に対応する予定と公表している。Z9H以外のBRAVIAは、4K120pや8K信号には非対応で、ソフトウェア更新による対応予定もないそうだ。
8Kテレビに力を入れているシャープは、AQUOSサポートページで「AQUOS 8K」と次世代ゲーム機の動作確認状況を公開している。それによると、8K映像と4K 120p入力に対応するのは「CX1」「BW1」「AX1」「AW1」シリーズの計8製品で、各機種が備えているHDMI入力の6番目のみ、これらの信号の入力が可能とのこと。
HDMI 2.1対応という意味では、LGエレクトロニクスのNano Cell(ナノセル)パネルを搭載した最新世代のテレビがあり、実際に製品紹介ページでもHDMI 2.1対応を謳っている。ただし執筆時点では、これらのテレビがPS5をサポートするという公式情報は見当たらなかった。いずれにしても、PS5のためにテレビやディスプレイを新調しようと検討している人は、事前によく情報収集することをオススメする。