Nintendo Switchでワイヤレスイヤホンを使いたい。そんなニーズに応えて、各社からBluetoothアダプターが発売されています。PC用サウンドカード「Sound Blaster」で知られる老舗、クリエイティブメディアからもUSB-CのBluetoothアダプター「BT-W3」が登場し、手ごろな価格で注目を集めています。さっそく使い勝手を試してみました。

  • クリエイティブメディア BT-W3

    クリエイティブメディア「BT-W3」(中央)をNintendo Switchに接続して使ってみた

Nintendo Switchユーザーならご存じのように、Switchは本体内蔵のスピーカーもしくはステレオミニジャックから音声を出力するため、イヤホンやヘッドホンを使いたくても有線の製品が必要です。手持ちでゲームプレイ中は「イヤホンのケーブルがわずらわしい!」と感じてしまうことが少なくありません。

弊誌ではこれまでにも、名の知れたメーカーのSwitch向けBluetoothアダプターをいくつか紹介してきました。今回紹介するクリエイティブの「BT-W3」は、直販3,980円(税別)とお手ごろで買いやすい価格になっており、老舗メーカーなので安心して入手できるところも注目ポイントです。

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    BT-W3のパッケージ

BT-W3はUSB Type-C端子を備えており、Switchと直結できます。従来機種(BT-W2)の端子はUSB Type-Aでしたが、端子が刷新されており、これまでのようにUSB-C変換アダプターを用意してBT-W2をアダプター経由でSwitchに挿す手間が省けます。

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    USB Type-C端子を備える

Bluetooth 5.0に準拠し、コーデックはSBC、aptXに加えて低遅延なaptX Low Latency(aptX LL)、高音質なaptX HDをサポート。本体のボタンでペアリング操作が行えます。aptX LL対応のワイヤレスイヤホンやワイヤレスヘッドホンと組み合わせると、映像と音のズレがかなり抑えられ、快適なゲームプレイが楽しめました。

BT-W3のLED発光色で、今使われているコーデックが把握できるようになっています。接続中、LEDは穏やかに光り続け、市販品のBluetoothアダプターで見かけるようなチカチカ点滅はしません。光すら気になるというときも、USB-Cなので裏返してつなげばLEDは見えなくなります。

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    Bluetoothオーディオコーデックによって、本体LEDの発光色が変わる。左からaptX Low Latency(白)、aptX HD(黄)、aptX(緑)、SBC(青)

ちなみにBT-W3にはUSB-A変換アダプターが付属しており、Nintendo Switchをドックに乗せてTVモードで遊ぶときは、ドックのUSB端子にBT-W3をアダプタ経由で接続すれば、ワイヤレスでゲームサウンドが楽しめます。また、PCやPlayStation 4などのBluetoothアダプターとして使うこともできます。

ほかにも3.5mmミニのアナログマイクが付属し、ワイヤレスイヤホンを使いながらSwitchやPS4でボイスチャットを楽しめます。ただし、Switchの一部タイトルがサポートしているゲーム内ボイスチャットでこのマイクを使うときは、あらかじめBT-W3のファームウェアをPCで書き替える必要があります。PCの操作に慣れている人であれば問題なく設定できそうですが、Webサイトの説明を読むとライトユーザーにはややこしく感じられるのでは、と少し気になりました。

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    BT-W3の付属品。左上が本体で、右下がUSB-A変換アダプター、右上が.5mmミニのアナログマイク

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    Nintendo Switchのドックに、BT-W3をUSB-A変換アダプター経由で挿したところ

Switchのゲームサウンドをワイヤレスで楽しめるBT-W3ですが、快適にゲームを楽しむには手持ちのワイヤレスイヤホン/ヘッドホンがaptX LLコーデックをサポートしているかどうか、が非常に重要です。

比較的ユーザーが多いと思われる、アップルの完全ワイヤレスイヤホン「AirPods」や「AirPods Pro」は、製品仕様にはコーデックが書かれていませんが、iPhoneと組み合わせることを想定しているのでAACまでの対応となるようです。AACは低遅延コーデックではなく、BT-W3もAACはサポートしていないようなので、ゲームを遊ぶときは映像と音のズレが気になるでしょう。

aptX LL対応でお手ごろなワイヤレスイヤホンとしては、エレコム「LBT-RH1000」シリーズ(実売:税込3,850円)や、重低音を強化したGrandBass「LBT-GB41」シリーズ(同:税込5,370円)などが挙げられます。

手持ちの有線イヤホンを使いたいなら、FiiO Electronics製のBluetoothヘッドホンアンプ「BTR3K」(実売:税別9,000円前後)などの選択肢がいくつかあります。MMCX端子リケーブル対応のイヤホンであれば、Bluetooth機能とMMCX端子を備えたシュアのケーブル「RMCE-BT2」(同:税込13,350円)がオススメです。

完全ワイヤレスイヤホンではaptX LL対応機種が少なく、ゼンハイザーから発売されていた「MOMENTUM True Wireless」が対応していましたが、現行モデルの「MOMENTUM True Wireless 2」(実売:税別36,300円前後)はaptX LLには非対応となっています。aptX LL対応で手ごろな完全ワイヤレスが増えてくれると嬉しいのですが……。

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    BT-W3をつないで音量を変更すると、Switch本体の画面右上に表示される音量変更バーに「USB」の表記が出る

耳を塞がずに音を聴かせてくれる、シャープの「AQUOSサウンドパートナー AN-SS2」(実売:税込17,500円前後)はテレビの音を遅延なく楽しめる製品で、もちろんaptX LL対応です。テレビにつないだ付属のBluetooth送信機と組み合わせて使うよう作られていますが、シャープから借りたAN-SS2の試用機とBT-W3をペアリングしてみたところ、直接接続して使えました。

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    シャープの「AQUOSサウンドパートナー AN-SS2」を、Nintendo Switchに挿したBT-W3とペアリングしてみた

AN-SS2は肩に乗せて使うウェアラブルスピーカーなので、当然周囲の音も聞こえますが、新機能「クリアボイス機能」をオンにすると、ゲームキャラの声がはっきり聞き取れました。イヤホンやヘッドホンだと周囲の音が聞こえず、ついゲームに没頭してしまいがちですが、ゲームに熱中しやすい人や家族がいる人には、AN-SS2が良い選択肢となりそうです。

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    AN-SS2の「クリアボイス機能」をオンにすると、ゲームキャラの声がはっきり聞き取れる

筆者はすでにシュアの有線イヤホン「SE215 SPE」を持っていたこともあり、同社のBluetoothケーブル「RMCE-BT2」を買い足してSE215 SPEのイヤホン部を装着し、BT-W3とペアリングして遊ぶことにしました。TVモードでもドックに挿せば(USB-Cを採用した利点はなくなってしまいますが)ワイヤレスイヤホンが使えるので、夜など周囲の迷惑にならないように遊ぶときに便利です。

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    シュアのリケーブルできる有線イヤホン「SE215 SPE」をBluetoothケーブル「RMCE-BT2」に装着

昨今の情勢を受けて今は自宅で過ごすことが多いですし、Switchを持ち出す機会もそれほどないのですが、外でSwitchとBT-W3を使うときは気になりそうな点もあります。BT-W3本体は小さめのUSBメモリサイズとはいえ、Switchからはみ出すかたちになるので、どこかにぶつけてコネクタが折れないよう気をつけないといけません。また、Switch用に用意した手持ちのケースと干渉してしまう点も気がかりです。

とはいえ、音質の良さや音ズレのなさに関しては、試用中はまったく問題ありませんでした。手ごろな価格で買いやすいところも好印象です。ワイヤレスでSwitchのゲームを楽しもうと考えている人には「BT-W3」がオススメです。