5月19日ごろから、一部報道で「NTTドコモが2025年度までに全国のドコモショップの3割にあたる約700店舗を閉店するのではないか」という話が上がっている。本件について、NTTドコモに電話取材を行った。
結論からいえば、時代の流れを汲んでオンラインでの販売やサポートの比率を高めていく方針ではあるが、対面窓口を必要とするユーザーの存在も認めており、実店舗の大幅削減を目標としてはいないという。また、キャリアショップはドコモ自身ではなく代理店が運営していることから、ビジネスの構造上、そもそも閉鎖店舗数や閉店率のような数値を設定する立場にはないとした。
販売や手続きのデジタルシフトを進める方針そのものは、2021年10月に発表された「新ドコモグループ中期戦略」の中でも「販売チャネルの変革」という項目で示されていた。
この中期戦略では、オンライン手続きの推進や各拠点でのDX活用によって業務の効率化を図るとしている一方、ドコモショップについては単なる販売店から「ICTサポート拠点」にシフトすると説明されている。たとえば、総務省の「利用者向けデジタル活用支援推進事業」の一環として一部店舗で実施されたオンライン行政手続の使い方指導などは、自社の商品・サービスに限らない街のデジタルサポート拠点としての存在価値が現れた例といえる。
積極的に店舗数の削減を働きかける意図はないとする一方で、オンライン販売に比重を置いて実店舗の役割を変えていけば、結果として「サポート拠点としてのドコモショップ」に見合った数や規模にする必要は生じるだろう。
そういった意味では今後数年の流れとしては店舗数が減少方向に進むことは間違いなく、5月12日の決算会見では井伊基之社長も「エリアごとに適切な店舗数、店舗規模にする」と説明していた。大規模な動きとなれば雇用の維持も課題となるが、オンライン対応要員への転換など、ショップの在り方の変化に合わせた働き方の整備も並行して進めているという。