ソニーが発表したハイエンドスマートフォン「Xperia 1 IV」。望遠側のカメラに光学ズームを搭載し、3つのカメラで高速センサーを採用したことで、AFや連写性能を向上させるなど、順当な機能向上を果たしています。
発売はまだ先の6月上旬以降ですが、今回、カメラ撮影が可能な実機が公開されましたので、撮影した画像を含めた実機のインプレッションをお届けします。ただし、現時点で試用できたのは評価機のため、発売時の画質とは異なる可能性があります。ご承知おきください。
Xperia 1 IVは、35mm判換算時16mm、24mm、85-125mmという3つのカメラを搭載したスマートフォンです。前モデルに比べて望遠カメラが70/105mmの切り替え式から光学ズームに変更されました。
85mmといえばポートレートでもよく使われる焦点距離で、それを狙って開発したといいます。開放F値はF2.3~F2.8で、Xperia 1 IIIと同等。ズームレンズとして考えれば比較的明るめでしょう。
ズームレンジは1.4倍程度なので、Xperia 1 IIIの焦点切り替え式で途中をデジタルズームにした場合と比べても、それほど急激な画質の向上は考えにくいところ。ソニーによれば、光学ズームによって特に動画での画質向上が見込めると話しています。
実際に撮影してみると、センサーサイズの大きいメインカメラの画質は従来通り満足できそうなレベル。レンズの実焦点距離も変わらないので、画質は従来と同等でしょう。
望遠カメラは、レンズの実焦点距離を見る限り、Xperia 1 IIIの105mm側と、本機の望遠端の125mmが、同じ14.5mmとなっています。Xperia 1 IVの望遠カメラのセンサーは小型化しているため、実焦点距離が同じでも35mm判換算焦点距離は伸びるため、このような形になったのでしょう。ソニー側によれば、高速センサーのスペックと求める焦点距離を考えてこうした形になったそうです。
画質に関しては、まだ評価版なので厳密にはコメントしませんが、静止画ではあまり大きな差はないように感じます。ただ、特に16、24、85mmという焦点距離は、見慣れているせいか従来よりも扱いやすく感じます。
実際に動画の画質が向上しているのであれば、16~375mmまでのシームレスズームもあってより利便性が高そうです。動画のシームレスズームは、レンズ切り替え時のカクツキが大きめ。これは、レンズが縦に並ぶXperia 1 IVの構造上、完全に補正するのは難しいとのことです。その辺りは、iPhoneのような構造の方が補正はしやすいそうです。
レンズ切り替えによって色味の変化がありますが、その影響を最小限にするようにハードウェアレベルで工夫していると言います。いずれにしてもズーミングに伴うカクツキはありますが、1回の撮影で超広角から望遠まで撮影できるという点はメリットでしょう。
新しいアプリ「Videography Pro」も魅力。Xperia 1 IIIまでは、カメラアプリ「Photography Pro」アプリのベーシックモードで動画撮影ができましたが、Photo Proのカメラ機能に比べて単純な撮影しかできませんでした。逆に、動画専用アプリの「Cinematography Pro」は、プロ向けすぎて、一般用途には過剰。
そこで搭載されたVideography Proアプリは、Photography Proのようなちょっと凝った撮影が出くる動画アプリとして重宝しそうです。Photography Proでも、動画を撮影したいときはベーシックモードに切り替えて動画モードに切り替えるという二度手間があるので、アプリを起動しなおすPhotography ProとVideography Proの使い分けとどちらが面倒かと言われると微妙な印象でした。
現時点で画質評価はできませんが、望遠レンズの刷新とセンサーの高速化は特徴的な機能で、特に動画を重視したい人には、新アプリVideo Proを含めて、利便性の高い製品になりそうだと感じました。