仕事中に何杯もお茶を飲む筆者にとって、マグカップは頼れる相棒。そんなマグカップに湯沸かし・煮炊きの機能を搭載したのが、エレコムの「Cook Mug(クックマグ)」です。

  • エレコムが2月中旬に発売したマグカップ型の電気鍋「クックマグ」を使ってみました。本体カラー(全3色)のうち、さわやかなグリーンをチョイス

    エレコムが2月中旬に発売したマグカップ型の電気鍋「クックマグ」(店頭実勢価格:5,000円前後)を使ってみました。本体カラー(全3色)のうち、さわやかなグリーンをチョイス

湯沸かしだけでなくスープまで作れる機能性から、一時SNS上で話題となっていたこのクックマグ。その使い勝手を見てみることにしました。

シンプルなマグカップに「しっぽ」が生えた電熱調理器

エレコムはPC・スマホの周辺機器のイメージが強いメーカーですが、2022年からキッチン家電の分野に参入。今回レビューするクックマグ、それ以前にクラウドファンディングで先行販売した「HOT DISH(ホットディッシュ)」は、食器と調理家電を一体化したコンセプトと、シンプルなデザインが共通しています。

  • クックマグのパッケージには「調理ができるマグカップ」とのキャッチコピー

    クックマグのパッケージには「調理ができるマグカップ」とのキャッチコピー

  • パッケージ裏側にはおすすめレシピが。後ほどこのレシピを参考に調理してみます

    パッケージ裏側にはおすすめレシピが。後ほどこのレシピを参考に調理してみます

クックマグ本体はシンプルな金属製のマグカップ。樹脂素材の持ち手がくの字に折れ曲がっているのがユニーク。本体下部の小さなアイコンはタッチパネルになっていて、調理コースの選択ができます。

  • 左のやかんのアイコンが「Boilモード」、右のお鍋のアイコンが「Stewモード」。湯沸かしと煮込みでモードが分かれていて使い分ける設計です

    左のやかんのアイコンが「Boilモード」、右のお鍋のアイコンが「Stewモード」。湯沸かしと煮込みでモードが分かれていて使い分ける設計です

本体側面のやかんアイコンは、湯沸かし用の「Boilモード」。45℃/60℃/100℃の3段階から、沸かしたいお湯の温度を選択します。お鍋のアイコンは煮込む「Stewモード」で、沸とう後に煮込む時間を10分/40分/70分から選びます。

本体裏側には、電気ケトルにも貼ってあるような警告・注意のラベルと電源コードの差込口。ここへ来てようやく、なるほどこれは家電なんだなと実感がわきました。

  • 電源コードの差込口にはシリコンキャップつき

    電源コードの差込口にはシリコンキャップつき

電源コードは、ノートPCのACアダプターなどでたまに見かける3ピンのコネクタに近いかたちのケーブル。本体はマグカップと変わりない形なので、そこから太めのケーブルがしっぽのように飛び出しているのは、見慣れるまで不思議な感じでした。

  • 電源コードはしっかりした太さ

    電源コードはしっかりした太さ

  • 台座などはなく、クックマグに直接コネクタを差し込みます

    台座などはなく、クックマグに直接コネクタを差し込みます

湯沸かしは1杯約9分、飲み口には要注意

まずはお湯を沸かしてお茶を飲んでみました。クックマグの「Boilモード」は、45℃/60℃/100℃といった3段階から好みの温度を選択して、お湯を沸かせます。

加熱終了後は自動的に最大8時間まで保温モードになり、45℃設定では45℃をキープ、60℃/100℃設定では60℃に保温されます。仕事中にわざわざ手を止めて保温に切り替えなくても、お湯が冷めないのはありがたいですね。

  • フタにパッキンはなくシンプルな作り。蒸気口こそありますが、紅茶のティーバッグを蒸らすのには十分でした

    フタにパッキンはなくシンプルな作り。蒸気口こそありますが、紅茶のティーバッグを蒸らすのには十分でした

  • カップの内側には、Boil/Stew各モードの最大水量の目盛りがあります

    カップの内側には、Boil/Stew各モードの最大水量の目盛りがあります

操作はアイコンをタッチするだけ。使いたいモードのLEDが光ったらそこで操作を止めると、5秒後に決定扱いとなり、加熱が始まります。

 

操作はとってもシンプルで、使いたいモードのアイコンをタッチするだけ

Boilモードの最大量(350ml)の水を100℃まで沸かしたところ、完了のアラームが鳴るまでにかかった時間は約9分。クックマグの定格消費電力は275Wで、さすがに電気ケトルと同等のスピードは出ませんが、手の届くところに置いて待つ時間としては許容範囲と感じました。

ひとつ気を付けたいのが、クックマグの本体、特に口が当たるフチの部分は、沸とう直後に触るとものすごく熱いということ。製品名が「マグカップ型電気鍋」なので本体が熱くなるのは想定していましたが、飲み口の銀色の部分がピンポイントでアツアツになるのには最初とまどいました(※公式サイトや説明書に、沸かしてすぐ飲まないよう注意書きあり)。

注意書きの通り、1~2分待っていれば口をつけてもやけどしない程度に冷めます。筆者は長年の(あまりよくない)習慣として、お茶を淹れてすぐマグカップから飲もうとするクセがあるため、クックマグでお茶を淹れるときはスマホで2分タイマーをかけ、フチが冷めてから飲むようにしていました。

  • 牛乳を沸とうさせずワンタッチで温め、そのまま飲めます

    牛乳を沸とうさせずワンタッチで温め、そのまま飲めます

ちなみに筆者のお気に入りの使い方は、Boilモード(60℃設定)で牛乳を温めること。電子レンジで温めるよりムラなく、ほどよい温度になっておいしい!食器に直接加熱しているため、保温を切った後もやや冷めにくい印象です。

また、Boilモードを45℃あるいは65℃で使うとクックマグのフチはあまり熱くならず、安心して使えました。牛乳のほかにもペットボトルのお茶飲料などを温めるのにちょうど良く、席を離れずお手軽にホット飲料が飲めるのは便利です。

  • Boilモード(100℃)でフリーズドライの味噌汁にもトライ。マグにフタがあるおかげか、具もしっかり戻っていました

    Boilモード(100℃)でフリーズドライの味噌汁にもトライ。マグにフタがあるおかげか、具もしっかり戻っていました

小さいけれど電気鍋!根菜もしっかり煮える

続いて、Stewモードによる煮込み料理にチャレンジ。クックマグのパッケージに記載のレシピから、「鶏と根菜の雑炊(参鶏湯風)」を作ってみました。

具であるさつまいもと大根、小松菜、しいたけ、鶏肉は1~2cmほどの大きさに細かく切ります。いつもの自炊ではここまで細々と具材を切ったりしないので、ミニチュア料理とまではいきませんが、おままごとのようなワクワク感がありました。

  • 左上がさつまいもと大根、右上がご飯、左下が鶏肉、右下が小松菜としいたけ。ごく少ない量の野菜や肉を刻むのは、ちょっとしたおままごと感がありました

    左上がさつまいもと大根、右上がご飯、左下が鶏肉、右下が小松菜としいたけ。ごく少ない量の野菜や肉を刻むのは、ちょっとしたおままごと感がありました

材料の準備ができたら、野菜、肉、ご飯の順にクックマグの中に材料を投入。鶏がらスープを入れてから、水を容器の内側の「Stew」の線まで入れたらタイマーを10分にセットして終了です。

  • 材料を野菜、肉、ご飯の順番に重ねて入れます

    材料を野菜、肉、ご飯の順番に重ねて入れます

Stewモードのタイマーは、「沸とうした後に煮込む時間の長さ」を設定するので、沸かすお湯の温度を決めるBoilモードとは考え方が異なります。鶏と根菜の雑炊(参鶏湯風)はStewモードの中では一番短い「10分」の設定で、沸とう前の加熱時間を含めると、所用時間は約50分でした。

時間こそかかりますが、仕上がった雑炊を見ると、電気鍋としての能力はしっかりあるのだなと実感。生のさつまいもや大根もやわらかく煮えていて、お手軽ながら確かに参鶏湯のような味わいでした。

  • 完成した鶏と根菜の雑炊(参鶏湯風)。芯まで煮えたさつまいもの黄色が目を引きます

    完成した鶏と根菜の雑炊(参鶏湯風)。芯まで煮えたさつまいもの黄色が目を引きます

電気鍋としての実力は十分、お手入れ性のアップデートに期待

クックマグはコンパクトな本体ながら、煮炊きの性能も十分備わっていました。それだけに、気になるのがお手入れ性。実は、クックマグは丸洗いできない仕様なのです。洗い方への問い合わせが多いのか、エレコムはTwitter上で、蛇口をクックマグの中に差し込んですすぐテクニックを公開しています。

筆者の家庭の水栓は動画に登場する物と違ってスワン型で、運悪くこのテクは真似できず……。使ったあとは外側を固く絞ったキッチンペーパーでぬれ拭きし、内側はスポンジと台所用中性洗剤で洗ってからそっと水ですすぎました。

本格的な煮炊きにも対応できるパワーがあるからこそ、もしも後継機種が出るなら、ぜひ丸洗いに対応してほしいところ。さまざまな煮込み料理に対応するポテンシャルがあるだけに、お手入れ性の進化に期待です。

一通りの機能を使ってみて、クックマグは「オフィスの席から給湯室が遠い人」や「自分の部屋でこっそり夜食を楽しみたい人」と相性がよさそう。自分の席や部屋から離れずに、スープや温かいお茶が飲めるのはなかなか快適。生活スタイルにフィットすれば、またとない相棒となる可能性を秘めたキッチン家電でした。

  • 自宅のテレワークスペースにクックマグを置いて、家族に隠れてカップヌードル(お椀用)をペロリ。いつもの場所が秘密基地になったようでした

    自宅のテレワークスペースにクックマグを置いて、家族に隠れてカップヌードル(お椀用)をペロリ。いつもの場所が秘密基地になったようでした