デジタルカメラやスマートフォン、アップル製品など、さまざまなジャンルを専門とするライターやカメラマンのみなさんに「2021年に買ってよかった、胸を張って人に薦められるナンバーワンのデジタル機器や家電」を挙げていただきました。さらに、専門領域ではないが買ってよかったと感じたアイテム、または「これは買って失敗、大後悔…」だと感じたがっかりアイテムもプラスアルファで紹介してもらいます。今回は、アップル製品やオーディオ機器に詳しいライターの山本敦さんです。

趣味の時間を静かに、楽しく彩ってくれるヤマハのサイレントギター

2021年は、パンデミックからのステイ・アット・ホームライフが秋ぐらいまで続いたため、家にいながら趣味の時間に楽しめるアイテムに投資をしました。

買って「よかったモノ」は、ヤマハのサイレントギター「SLG200N」(実売価格は65,000円前後)です。4月ごろに都内の楽器店に通い、何度か試奏をさせてもらってから購入を決めました。

  • ヤマハのサイレントギター「SLG200N」。ヘッドホン出力からゼンハイザーの「HD 560S」に接続して演奏を楽しんでいます

私は、下手ながらもギターを弾く心得が少しあったので、エレキとアコギを1台ずつ家に置いていました。ところが、ここ数年間は忙しさにかまけてあまりギターを弾かなくなりました。大きな音を鳴らすことにも気が引けていたのだと思います。そこで、サイレントギターなら周囲に迷惑も掛けず、楽しく弾けるのではないかと考えてサイレントギターを購入したところ、見事ハマりました。

弦楽器はアンプにつながずに爪で弾くだけでも小さく音が鳴ってしまうので、より静かに弾けるナイロン弦のクラシックギタータイプにしました。ヤマハは、本機の静音性能について「一般的なクラシックギターの約10%の音量で楽しめる」と説明しています。

本体にチューナー機能を内蔵しているので調弦はもちろん、ドロップチューニングへの変更も素速くできます。ネックや指板のフィールもふつうのギターとほぼ変わりません。クラシックギターに使うべきではないかもしれませんが、筆者はカポタストを容赦なくガシっと巻いたりもしています。

空洞のボディがないため、“ハコ鳴り”成分の響き感はやや淡泊ですが、そのぶんクラシックギターを演奏する感覚でエレアコに近いシャープなメロディを紡げるのがこのギターの持ち味といえます。アンプだけでなく有線タイプのヘッドホンに出力できる端子も搭載しているので、今はヘッドホン・イヤホンの音質を評価・レビューする際のリファレンスとしてもこのギターを活用しています。

本体にストラップを装着して、シングルカッタウェイのエレキを持つような感覚で立ちながら弾くこともできます。本格的にギターの演奏を楽しんだり、ライブで腕前を披露できるぐらいの方々にも、ヤマハのサイレントギターはおすすめです。

iPhoneで楽しむゲームにコントローラーは要らなかった…

買って「ガッカリしたモノ」は、GameSirのBluetooth対応ゲームコントローラー「G4 Pro」(実売価格は5,000円前後)です。アップルのゲームサブスクリプションサービス、Apple Arcadeで「ファンタジアン」の配信が始まった春に、あわててオンラインストアから購入しました。

  • iPhoneによるタッチ操作に慣れた時に、ふと気が付いたら要らなくなっていたGameSirのBluetooth対応ゲームコントローラー「G4 Pro」

本機は、さまざまなモバイル&PCのOSやゲーミングプラットフォームへのユニバーサル対応をうたっています。左右に搭載する非対称のローターモーターや6軸ジャイロセンサーにより、レスポンスの良い操作感とバイブレーションによるリアルな没入体験を引き出してくれるコントローラーです。サイズは、PS5のDualSenseワイヤレスコントローラーとほぼ同じぐらいです。

実は、本機についてはガッカリしたというよりも、ファンタジアンのゲームのUIが見事にiPhoneの画面タッチ&スワイプ操作に最適化されていたので、「買ったけど要らなかった…」というアイテムに成り下がってしまいました。レオアのスラッシュ系の斬撃、キーナやシャルルの戦闘魔法、エズの飛び道具のように複数の的に対して一斉にダメージを与えられるスキルを、iPhoneの画面をウニウニといじりながら「エイミング(=狙いを定める)して放つ!」時の快感が、ワイヤレスコントローラーによる操作だと半減してしまうのです。

本機を買った当時は、6.7インチのiPhone 12 Pro Maxをメインのスマホにしていたので、コントローラーのホルダーに装着するとやはり重くてアンバランスに感じられました。

Apple TV 4Kとテレビをつないで、大きな画面でファンタジアンをプレイしたくなった時にG4 Proを引っ張り出すこともありますが、結局ゲームの「後編」もiPhoneでプレイしてしまいました。Apple ArcadeのゲームはiPhone/iPadの画面タッチ操作でプレイするのが一番、ということを学ばせてもらった買い物です。