日本電信電話(NTT)、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)、エヌ・ティ・ティ・コムウェア(NTTコムウェア)は11月30日、脚立などの物体認識と作業者の姿勢推定AIを組み合わせて作業者の危険状態を判定する、マルチAIを活用した電気通信設備工事の安全向上に関する実地検証を行ったことを発表した。同検証は2021年6月から2021年10月まで実施したものだ。

  • 危険状態を検知するAIと監視画面のイメージ

安心安全な職場づくりは企業における重要な取り組みであるが、現場の安全対策は経験値や目視に頼る部分も多く、安全対策の高度化と効率化が求められる。そこで同検証では、NTTコムウェアが展開するDX(デジタルトランスフォーメーション)ソリューション「SmartMainTech」を活用して、危険作業や危険状態を検知するマルチAIの開発を進めるとともに、安全監視員の業務をより詳細な作業分析や適切な安全指導にシフトさせることを目指したという。

脚立作業において危険状態とされるものとして、身を乗り出した作業や天板に乗っての作業、頭の真上の作業などがある。検証では、実際の作業内容を撮影した映像をAI解析エンジンにかけ、これらの危険状態の検出可否について検証を行ったほか、検出状況を画面上に表示する仕組みの開発と検証にも取り組んだ。

  • 脚立作業における危険状態の例(安全に配慮して撮影)

検証の結果、特定の作業においては危険状態の約8割の検出に成功したとのことだ。安全監視員がすべての動画を閲覧し危険状態を目視で抽出していた場合と比較すると、約6割の稼働削減が可能であることが確認できたとしている。

今回検証した技術の特徴は、危険な姿勢を独自判定ロジックで検出可能な点である。撮影した映像から人間の骨格情報を取得し、ポーズを推定することで危険状態を検出する。また、検出したポーズと脚立などの物体との相互関係から、危険状態を複合的に判断するマルチAIも搭載している。