最近のスマホって大きいですよね。6インチ以上が当たり前。アスペクト比が違うのは置いておいて、「ファブレット」という言葉はあっという間に死語となりました。今回レビューするのは、そんなスマホの大型化に完全に逆行する、「ギュッ!」と握り込める小型&細身が特徴のAndroidスマートフォン「Mode1 GRIP」(ビーアップ製)です。

  • プラススタイルが取り扱う小型Androidスマートフォン「Mode1 GRIP」。実売価格は22,000円

スペックはエントリークラス、おサイフケータイ非対応は残念

Mode1 GRIPは、OSに「Android 11」、プロセッサーに「Helio P70」(オクタコア、2.1GHz×4+2.0GHz×4)を採用。メモリーは4GB、ストレージは64GBを搭載しています。ストレージ容量はちょっと心許ないですが、microSDメモリーカードを装着可能で、最大256GBを搭載できます。

ディスプレイは約5インチHD+液晶(1440×576ドット、310ppi、2.35:1)。輝度、色域、コントラスト比などは公表されていません。

  • 約5インチのディスプレイのアスペクト比は2.35:1。かなり縦長な印象を受けます。今回借用したのはスタイリッシュホワイト

カメラは、約4,800万画素標準カメラ(F2.8)と約800万画素広角カメラ(F2.4)を背面に、約2,500万画素カメラ(F2.0)を前面に搭載しています。

インターフェースはUSB Type-C(USB2.0)。通信機能は4G/3G/2G、Wi-Fi 5(11ac)、Bluetooth 4.2 LE、NFC A/B、赤外線をサポートしています。

  • 本体上部にはマイク、赤外線発光部、本体下部にはマイク、USB Type-C端子、スピーカー、ストラップホールを用意

  • 本体右側面にはボリュームボタンと指紋認証センサー、本体左側面には電源ボタンとカードトレイを配置

前述のとおり、本体サイズは約56×138×10mm、重量は約140g。ボディーはIP65の防水・防塵性能を備えています。内蔵バッテリーは2,620mAhで、5Wのワイヤレス充電に対応。カラーはアーバングレイとスタイリッシュホワイトの2色展開です。

  • カードトレイにはnanoSIMカード2枚、またはnanoSIMカード1枚とmicroSDメモリーカード1枚を装着可能

サイズに既視感があったのですが、旧ソニーモバイルの「Xperia ray SO-03C」が結構近いですね。高さはちょっと長めですが、幅、厚みは誤差範囲です。

  • Mode1 GRIP…約56×138×10mm、約140g
  • Xperia ray SO-03C…約53×111×9.4mm、約100g

スペック的に残念なのは、おサイフケータイには非対応なこと。小型軽量を生かして軽快に持ち運べる本製品だからこそ、1台持ちで運用できるようにFeliCa機能を搭載してほしかったところです。

  • パッケージには、本体以外にクリアケース、USBケーブル、SIMピン、USB Type-C端子用フタ、クイックマニュアル、取り扱い説明書、保証書が同梱されています

  • クリアケースはハードタイプ。装着はかなり固めです

  • マニュアルや製品公式サイトに記載はないのですが、USB Type-C端子用のフタが同梱されていました。このフタを装着しなくても、IP65の防水・防塵性能は確保されます

コンパクトボディーの操作性はいかに?

Mode1 GRIPのサイズ感は、手の中にすっぽり収まるの一言に尽きます。最近の6インチ越えのスマホは、特に片手でフリック入力をすると落としてしまうような不安感がありますが、本製品はしっかりホールドした状態で、持ち替えることなくすべてのボタンに指が届きます。安心して片手操作できる端末です。

  • フリック入力にはちょうどいいサイズ。片手ですべてのボタンに無理なく指が届きます

一方、ソフトウェアQWERTYキーボードでの入力はかなり厳しいと感じました。ちょっと気を抜くと、隣のボタンを押してしまいます。筆者は日本語をフリック、英語をQWERTYで入力していますが、もし本製品を入手したら英語もフリックで入力できるように練習する必要がありますね。

  • ソフトウェアQWERTYキーボードを親指入力するのは、かなり集中力を要求されます

コンパクトボディーは撮影も快適。人差し指と小指で軽々と支えられるので、不安なくシャッターボタンを押せます。電源ボタン二度押しでカメラアプリを起動して、サッと構えて素早く撮影が可能。気軽に撮影を楽しめるスマホと言えます。

  • 人差し指と小指で端末を支えて、不安なくシャッターボタンを押せます

パフォーマンスは割り切りが必要

パフォーマンスについては、「Geekbench 5」のMulti-Core Scoreで1303、「3DMark」のWild Lifeで732を記録しました。Snapdragon 888を搭載する「ROG Phone 5」はGeekbench 5のMulti-Core Scoreで3700、3DMarkのWild Lifeで5763を記録しているので、Mode1 GRIPはROG Phone 5に対してCPU性能は約35%、3Dグラフィックス性能は約13%ほどしかありません。

  • 「Geekbench 5」のSingle-Core Scoreは308、Multi-Core Scoreは1303、「3DMark」のWild Lifeは732

  • ベンチマーク実行中の背面の最大温度は31.4℃(室温21.9℃)

とはいっても、「PUBG mobile」などの3Dゲームでも、インストールや起動に時間はかかりますが、プレイ自体は可能。ブラウジング、動画視聴、SNSなどの利用であれば、処理速度に不満を感じることはないはずです。

  • デフォルトの画質設定をそのまま使えば「PUBG mobile」もスムーズに動作します。ただ、画面が小さいので、よほど器用でないと「ドン勝」は難しそうです

カメラは4800万画素に見合った解像感は感じられない

カメラ画質については、発色は比較的正確なのですが、やや露出が高い傾向が見られました。また4,800万画素の標準カメラで撮影した画像の解像度は9,216×5,184ドットと大きいのですが、それに見合った解像感を感じられません。

本製品の価格を考えれば納得できるレベルのカメラ画質ではありますが、4,800万画素というスペックに期待しすぎないほうがよいと思います。

  • 4800万画素標準カメラで撮影 イメージ情報: 9,216×5,184ドット (JPEG,YUV420,sRGB)、焦点距離: 3.93mm、シャッタースピード: 0.000313s (1/3195)、F値: f/2.8、ISO感度: 80、測光方式: Center weight

  • 4800万画素標準カメラで撮影(デジタルズーム4倍) イメージ情報: 9,216×5,184ドット (JPEG,YUV420,sRGB)、焦点距離: 3.93mm、シャッタースピード: 0.000136s (1/7353)、F値: f/2.8、ISO感度: 83、測光方式: Center weight

  • 4800万画素標準カメラで撮影 イメージ情報: 9,216×5,184ドット (JPEG,YUV420,sRGB)、焦点距離: 3.93mm、シャッタースピード: 0.010s (1/100)、F値: f/2.8、ISO感度: 149、測光方式: Center weight

  • 800万画素広角カメラで撮影 イメージ情報: 1920×1088ドット (JPEG,YUV420,sRGB)、焦点距離: 3.15mm、シャッタースピード: 0.050s (1/20)、F値: f/2.4、ISO感度: 206、測光方式: Center weight

  • 4800万画素標準カメラで撮影 イメージ情報: 9,216×5,184ドット (JPEG,YUV420,sRGB)、焦点距離: 3.93mm、シャッタースピード: 0.000480s (1/2083)、F値: f/2.8、ISO感度: 79、測光方式: Center weight

  • 4800万画素標準カメラで撮影 イメージ情報: 9,216×5,184ドット (JPEG,YUV420,sRGB)、焦点距離: 3.93mm、シャッタースピード: 0.000313s (1/3195)、F値: f/2.8、ISO感度: 80、測光方式: Center weight

  • 4800万画素標準カメラで撮影 イメージ情報: 9,216×5,184ドット (JPEG,YUV420,sRGB)、焦点距離: 3.93mm、シャッタースピード: 0.000511s (1/1957)、F値: f/2.8、ISO感度: 80、測光方式: Center weight

携帯性で敵なしの高コスパスマートフォン

本製品のボディーサイズは、各社の現行スマートフォンでは競合が存在しません。しかも、22,000円という高コスパを実現しています。おサイフケータイ非対応な点だけが個人的には非常に残念です。しかし、バーコード決済を主に使っている方なら話は別。携帯性において敵なしのメイン端末として大活躍してくれること間違いなしの一台といえるでしょう。