Samsung Electronicsは、SEMI Europeが9月1日~3日にかけて開催したバーチャルイベント「SEMI Connecting Heterogeneous Systems Summit,3D&Systems Summit, and MEMS& Image Sensors Summit」において、同社の車載センサ担当シニアVPであるHaechang Lee氏が「イメージセンサの旅 - 人間の目を超えて」と題した基調講演に登壇し、2025年までに5億7600万画素の車載向けイメージセンサを発売する計画であることを明らかにした。

  • Samsungのイメージセンサの画素数と画素サイズの推移

    図1 Samsungのイメージセンサの画素数と画素サイズの推移。2021年に>108Mpとなっているのは 200Mpイメージセンサの発表が行われたのは9月2日で、講演が9月1日に行われたためであると思われる (出所:Samsung、2021年9月1日)

Samsungのイメージセンサは、2000年に30万画素(画素サイズ5.6μm)からスタートし、2013年に独自技術であるISOCELLを導入。2019年に1億800万画素のモバイル向けイメージセンサを発売した後、2021年9月2日付で2億画素のモバイル向けイメージセンサ「ISOCELL HP1」を発表するなど、画素数の向上を積極的に進めてきたが、その当面の最終目標が2025年の6億画素のイメージセンサということということが示された格好である。

人間の目の解像度である5億画素を超すイメージセンサ

Haechang Lee氏の直属の上司にあたるSamsungのエグゼクティブシニアVPでありSystem LSI事業部門センサビジネスチームの統括責任者であるYongin Park氏は、2020年にSamsungのWebサイト上に「[Editorial] Rivalling the Human Eye: How Samsung is Opening Up the Possibilities for Image Sensor Technology」と題する記事を寄稿しており、その中で「人間の目は、約5億画素(500Mp)の解像度と言われている。現在のスマートフォンに搭載されるイメージセンサは、人間の知覚能力に匹敵するまでにはまだ長い道のりがある」と述べていた一方で、「これまでイメージセンサの主な用途はスマートフォンだったが、今後は自動運転車、IoT、ドローンなどの他の分野に急速に拡大することが見込まれている。Samsungは、今後もピクセルサイズの小型化と高解像度化のトレンドをリードすることで、技術革新の波に乗り、人間の目よりも高解像度な600Mpのイメージセンサを提供する技術開発を推進していくことを決意している」と、人間の目を超える6億画素レベルのイメージセンサを開発する決意を述べていた。それが、今回のSEMI Europe主催イベントでの具体的な計画の公開で、その具体的な時期が示されたこととなる。

なお、イメージセンサ市場のトップシェアであるソニーは、同社の最大顧客であるAppleとともに、いたずらに画素数の向上を追わず、画素サイズを大きくとる形で画質を重視する戦略をとってきたが、今回のSamsungの方向性の提示により、今後どのように、その挑戦を受けて立つかが注目される。