アダマンド並木精密宝石は9月9日、新原理のダイヤモンド結晶成長方法を用いることで、半導体デバイスで求められる品質を実現した2インチダイヤモンドウェハの量産技術を開発したことを発表した。

同社と佐賀大学理工学部の嘉数誠 教授は、これまで共同研究として、ダイヤモンド層の結晶成長の途中で、数μm径で数十μmの長さのダイヤモンドの針(ニードル)を十μm間隔で縦横に並べた層構造を作製することができる独自手法「マイクロニードル法」を開発。1インチダイヤモンドウェハ(商品名:KENZAN Diamond)を製造し、同ウェハ上に、新たな動作原理に基づくダイヤモンド半導体パワーデバイスを作製し、高出力電力特性が得られたことを2021年4月に報告していた。

しかし同手法では、産業応用に必要とされる2インチには届かないことや、マイクロニードル法の製造工程が複雑であるため、製造コストが高くなってしまうことが課題であったという。

そこで今回、アダマンド並木精密宝石では、従来の結晶面方位からやや傾斜させたサファイア基板を用いてダイヤモンドの結晶成長を行うことでダイヤモンド膜の応力が低減することを見出すことに成功。この技術を活用することで、マイクロニードルを用いずに、大口径化を果たせることを確認し、2インチのダイヤモンドウェハ成長に成功したという。

実際に2インチダイヤモンドウェハから作製されたパワー半導体デバイスの特性を測定したところ、345MW/cm2の出力電力を出せることが確認されたとしている。

なお、同社ではこの研究成果について9月13日に開催される「第82回応用物理学会秋季学術講演会」にて「ステップフロー成長を用いたヘテロエピタキシャルダイヤモンドの高品質化」という題で発表する予定としているほか、今後は2022年の製品化を目指し、研究を継続していくとしている。

  • ダイアモンドウェハ

    右が今回開発された2インチ超えのダイヤモンド結晶。左は4mm角のダイヤモンド結晶