コロナ禍の中、わが家のテレビシアターで映画やドラマを見て過ごす時間が増えている方も多いようです。インターネット接続に対応する最新の4Kテレビは、2021年後半以降も、国内外で開催されるスポーツイベントの4K生中継や、音楽コンサートのライブストリーミング配信が楽しめることをご存じでしょうか。

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    ソニー4K BRAVIA史上最大となる、83V型有機ELテレビ「XRJ-83A90J」

2021年の夏を迎え、ソニーの4K BRAVIA最新機種がいよいよ出そろいます。今回、筆者は4K BRAVIAの最新モデルを展示する東京・銀座の「ソニー ショールーム/ソニーストア 銀座」を訪ねて、最新モデルの特徴をソニーマーケティングの齋藤圭介氏、田中慎治氏に聞いてきました。

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    ソニーマーケティング プロダクツビジネス本部 ホームエンタテインメントプロダクツビジネス部 ディスプレイMK課 マーケティングプランナーの齋藤圭介氏(右)、田中慎治氏(左)に、最新の4K BRAVIAの特徴を聞いてきた

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    ソニー ショールーム/ソニーストア 銀座が入っている、銀座4丁目交差点角の複合商業施設「GINZA PLACE」

人が心地よく感じる映像と音を再現する「BRAVIA XR」

2021年夏、ソニーは4K BRAVIAを6シリーズ・22機種展開します。

頂点に立つのは、新開発の認知特性プロセッサー「XR」を搭載する4K有機ELテレビの「A90J」、「A80J」と、4K液晶テレビ「X95J」、「X90J」の全4シリーズ・13機種。「BRAVIA XR」シリーズとしてプレミアムクラスのモデルに位置付けられます。このうち、4K有機ELテレビのA90Jは「MASTER Series」として君臨するフラグシップシリーズです。

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    BRAVIA XRのラインナップ

BRAVIA XRシリーズが搭載する認知特性プロセッサー「XR」とは、映像と音の高精度な信号処理を可能にするテレビの心臓部です。名称に“認知特性”と付く理由は、人間が目でものを見たり、耳で音を聴いて認知するプロセスをこの新開発のプロセッサーが採り入れているからです。

例えば、映像処理技術の「XR Picture」は、映像の被写体となる人物や明るく色鮮やかな部分など、人が映像を「注視する点」を検出しながら色や精細感、コントラストなどの要素を引き立てます。その結果、目で見る情景に近いナチュラルな映像美が再現されます。

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認知特性プロセッサー「XR」はBRAVIAの“音”も高品位にします。各シリーズには、それぞれの設計に最適化したオーディオシステムが組み込まれています。XRでは、それぞれのモデルが搭載するスピーカーやアンプに合わせて、自然な音の定位と臨場感を引き出す「XR Sound」の技術を実現。スリムな大画面テレビの音は高精細な映像に比べて貧弱なイメージがつきまとうものですが、BRAVIA XRシリーズは単体で力強く明瞭なサウンドを鳴らせるテレビです。

さらに。テレビで楽しむさまざまなコンテンツのステレオ音源を5.1.2ch(サラウンドスピーカー5基、サブウーファー1基、ハイトスピーカー2基の構成に相当)にアップコンバートして立体的に再現する「3Dサラウンド アップスケーリング」も、BRAVIA XRリーズではじめて搭載する新機能です。

BRAVIA XRシリーズの4K有機ELテレビは、上位のA90Jに映像のコントラスト性能をさらに高めたパネルと、その性能を引き出す数々の独自技術が載っています。そして4K液晶テレビは、上位のX95Jが明るい環境下で映像を見やすくする低反射パネルを搭載。高画質と広視野角を両立させる「X-Wide Angle」もX95Jの特徴です。

2021年夏の4K BRAVIAは、Google TVを全機種で搭載

新しい4K BRAVIA(2021年夏モデル)は、Googleによるスマートテレビ向け最新OS「Google TV」を搭載しました。ホーム画面の使いやすさがアップし、スマホ連携による「見たいものリスト」に対応するなど、前世代のAndroid TVから進化したポイントについては、Googleのメディアストリーミング端末「Chromecast with Google TV」とほぼ共通しています。

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    Google TVのホーム画面 ※画像はイメージです

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    手持ちのスマートフォンと連携する「見たいものリスト」に対応 ※画像はイメージです

ほかにも、2021年モデルの4K BRAVIAは全機種で外付けUSB HDDへのテレビ番組録画に対応。トリプルチューナー搭載なので、1基のチューナーで4K/2K放送を問わず自由に選局しながら生放送を視聴して、同時に2つの番組をUSB HDDに録画できます。

サウンド面では、すべての機種がDolby Atmosによる立体音楽体験に対応しています。例えば、NetflixのDolby Atmos音声を収録した動画コンテンツは、サウンドバーやサラウンド対応のAVアンプを組み合わせなくても、テレビ単体で迫力あふれるサウンドが楽しめます。Apple TV 4KをHDMIケーブルで接続すれば、Apple TV+やApple MusicのDolby Atmosによる空間オーディオコンテンツを再生したときに、立体サウンドに包まれる体験が得られます。

映像配信「BRAVIA CORE」や4K放送のスポーツ番組を視聴した

筆者は今回、ソニー ショールーム/ソニーストア 銀座で、7月10日に発売されたばかりの4K有機ELテレビ「A90J」の83V型モデル(XRJ-83A90J、実売110万円前後)を視聴しました。

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    シアタールームで83V型4K有機ELテレビ「XRJ-83A90J」を体験した

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    XRJ-83A90J。本体下部のスタンドの取り付け方は、外側、内側、サウンドバーを置くためにテレビの高さを持ち上げるスタイルの3種類から選べる。さらに、壁掛け設置にも対応する

筆者が訪問したソニーストア 銀座のシアタールームは、事前に予約すれば最新のBRAVIAシリーズをはじめ、ソニーの製品をゆっくりと体験できるスペースです。ソニーの商品を購入しなくても、予約は誰でも自由に申し込むことができ、利用料金もかかりません。

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    ソニーストア 銀座のシアタールームで、BRAVIA XR「A90J」の83V型モデルを体験できる予約制イベントが7月31日まで開催中

BRAVIA XRシリーズには購入者特典として「BRAVIA CORE」が付いてきます。ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントの最新映画を含む100以上のコンテンツが4Kの高画質で楽しめる、独自の映像配信サービスです。BRAVIA COREのカタログに並ぶ『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』を再生すると、認知特性プロセッサー「XR」の効果によるものなのか、注視点として認識された人物や背景の被写体がとても精細にかつ色鮮やかに再現され、思わず息を吞んでしまいます。83V型の大画面テレビで視聴するとその効果がよくわかるでしょう。映画の舞台の中に引き込まれそうなほどビビッドな力強さに圧倒されました。

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    BRAVIA XRシリーズの購入者だけが利用できる映像配信サービス「BRAVIA CORE」 ※画像はイメージです

BRAVIA XRシリーズはUltra HD Blu-ray(UHD BD)の作品や新4K衛星放送の番組など、4K画質で制作されているネイティブコンテンツとの相性が抜群に良いテレビだと感じました。今後はスポーツの大きなイベントが4K放送などで見られる機会が増えると思います。3Dサラウンド アップスケーリングの高音質化機能と合わせて、まるでスタジアムで試合を観戦しているような臨場感を肌に感じながら充実したシアター時間が過ごせそうです。

地デジのバラエティやドラマも高画質

2K画質の地上デジタル放送のバラエティ、ドラマなどの番組も「A90J」の83V型モデルで視聴してみました。大きな画面に映し出される映像の情報量がとても豊かなので、画面ににじり寄って人物のディティールに目をこらしても、肌のきめ細かな質感がリアルに感じられます。

十年一昔と言いますが、地上デジタルテレビ放送への完全移行が行われた2011年当時のデジタルテレビに比べると、現在の4Kテレビの画質は本当に見事な進化を遂げています。当時購入したデジタルテレビを自宅で使っている方は、最新4Kテレビの映像の豊富な情報量、ノイズの少なさなどにぜひ注目してみてください。

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    XRJ-83A90Jでデモ映像を再生しているところ

BRAVIA XRシリーズは映像の被写体をオブジェクトとして認識しながら、それぞれにリアルな質感を加えてディスプレイに再現する「XR 4Kアップスケーリング」技術を搭載しています。この技術が効果的に働くことにより、元のソースが4K解像度に満たない地デジ放送やブルーレイ、動画配信サービスのコンテンツを、見応えあふれる映像にアップスケーリングします。

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    画面の縁(ベゼル)などを極力見えないようにし、”画面しかないテレビ”を意識したデザインを採り入れた

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    ソニーストア 銀座では最新のBRAVIA XRシリーズをじっくり体験できる

オーディオについてはBRAVIA XRシリーズの有機ELテレビ、液晶テレビがどれも音質にこだわった設計を採用しているため、実際に聴き比べるといずれのモデルも甲乙付けがたい魅力があります。A90Jシリーズはテレビの画面を振動させて音を鳴らす「アコースティック サーフェス オーディオ プラス」を搭載しています。切れ味鋭いダイアローグ(人の声)に加えて、背面に搭載する大型サブウーファーにより肉厚な低音域をテレビ単体で鳴らし切ります。

液晶テレビのX95Jは、最大50W出力のマルチアンプに、両サイドのツイーターと前向きのフルレンジスピーカー、背面のサブウーファーを組み合わせたパワフルなサウンドシステムを内蔵しています。画面下部に配置するフルレンジスピーカーは、音の出口となるスリットが正面に向いており、空間再現に富むA90Jのサウンドに対して、X95Jのサウンドはストレートで伸びやかな印象を受けました。

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    BRAVIA XR 液晶モデル「X95J」の85V型(XRJ-85X95J)の背面。サブウーファーを中央上部に内蔵している

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    X95Jの両サイドには、音の定位と音場再現性を高める「サウンドポジショニング トゥイーター」を内蔵する

PS5ゲームを楽しむのにオススメのBRAVIAは?

4K液晶テレビの「X85J」、「X80J」の2シリーズも忘れてはならない、コストパフォーマンスに優れるスタンダードモデルです(「XR」プロセッサーではなく、4K高画質プロセッサー「HDR X1」を搭載)。両方のシリーズを合わせると、画面サイズは43V型(実売92,000円前後)から75V型(同33万円前後)まで5種類、全9モデルの幅広いラインナップがそろっています。

PlayStation 5(PS5)などゲームを本格的に楽しむのであれば、2021年夏モデルの中ではどのBRAVIAが最適なのでしょうか。齋藤氏は「X85Jを含む上位のラインナップがおすすめ」だと話しています。

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    PlayStation 5

その理由は、最新規格のHDMI 2.1に対応するHDMI端子を搭載しており、PS5とHDMIケーブルでつなげば最高4K/120fpsのハイフレームレート入力や、入力操作に対する映像の遅延を良しとしない格闘ゲームやFPSゲームをプレイするときに大きなメリットになるALLM(Auto Low Latency Mode:自動低レイテンシーモード)に対応するからです。シャキッとした精細感あふれるゲーム映像の表示を可能にするVRR(Variable Refresh Rate:可変リフレッシュレート)にも、後日のソフトウェアアップデートによる対応が予定されています。

※編注:X80JシリーズのHDMI端子は、HDMI2.1に規定される機能としてはeARC(Enhanced Audio Return Channel)のみをサポート。4K/120fps、VRR、ALLMは非対応となる。

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    2021年夏モデルのBRAVIAのHDMI端子(右)は、4K/120fpsのハイフレームレート入力に対応する(X80Jシリーズを除く)

画面サイズが比較的コンパクトで、なおかつ有機ELならではのハイコントラストで明暗の再現力にも富む映像が楽しめる48V型の「BRAVIA A9S」(KJ-48A9S)は、2020年夏の発売以降に好評が続いていることから、2021年も販売を継続することになりました。齋藤氏はA9Sについて、コンパクトかつ高画質なゲーミング用モニターとして期待する声も多く寄せられていると話していました。

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    2020年発売の48V型「BRAVIA A9S」は、2021年も引き続き販売される

2021年夏の4K BRAVIAは、全機種がヘッドホンやスピーカーなどBluetoothに対応するワイヤレスオーディオ機器とアダプターを介さずに接続できる、BluetoothのA2DPプロファイルに対応します。ソニーが7月に発表した、首にかけて使うワイヤレススピーカー「SRS-NB10」と組み合わせれば、夜間のコンテンツ鑑賞時にも快適なリスニングが楽しめそうです。

4Kテレビの高画質化技術が成熟するほど、画素の粗さが目立たず、迫力あふれる映像が楽しめる大画面テレビが注目されるようになりました。以前に比べてテレビのデザインが薄くスリムであることから、省スペース設置が容易になったとも言われていますが、やはり現在の生活スペースに大画面テレビを導入するためには超えなければならない壁もあります。

ソニーストア 銀座では、ユーザーが必要とする機能や使い方に答え、BRAVIAのスマートな設置方法についても相談に乗ってくれるそうです。この時期にテレビの買い換えを検討している方は、一度訪れてみてはいかがでしょうか。

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