アップルが、今秋に正式リリースする「iPadOS 15」のパブリックベータテストを7月から開始しました。iPadOS 15の多彩な新機能のなかから、多くのiPadユーザーの方々に即戦力として役立ちそうな7つをピックアップしてみたいと思います。

  • iPadOS 15のパブリックベータをiPad Proに投入。気になる新機能を試しました

なお、アップルの最新OSのパブリックベータ版の画面を公開することは禁じられていますが、今回の記事では取材に基づく特別な許可を得て掲載しています。

最新のiPad Proから2014年発売のiPad Air 2まで広範な機種に対応

秋にiPadOS 15を導入できるiPadの対応機種を確認しておきましょう。iPadOS 14と同じく、2014年に発売されたiPad Air 2、2015年発売のiPad mini 4まで広く対応しています。iPadOS 15のパブリックベータも、有効なApple IDを用意したあと、以下の機種・世代のiPadで試せます。

  • iPad Pro 12.9インチ(第1~第5世代)
  • iPad Pro 11インチ(第1~第3世代)
  • iPad Pro 10.5インチ
  • iPad Pro 9.7インチ
  • iPad Air(第3・第4世代)
  • iPad Air 2
  • iPad(第5~第8世代)
  • iPad mini(第5世代)/iPad mini 4

【その1】画面分割が簡単に! マルチタスキングメニューを新設

iPadで普通にアプリを開くと、画面のワークスペースをひとつのアプリが占有するシングルタスキングになります。現在のiPadOSでは「Slide Over」や「Split View」といった機能を使って画面を分割表示にし、同時に2つのアプリを動かしながらのマルチタスキングができます。ただ、「先に開いたアプリの画面上に、Dockから2つめのアプリを選択して、ドラッグ&ドロップする」という操作がうまくできないので、あまり使っていない…というiPadユーザーもいるようです。筆者の家族もそうです。

iPadOS 15では、マルチタスキング画面への切り替えがとても簡単になります。画面の上部に3個の「…」が並ぶ「マルチタスキングメニュー」のアイコンをタップすると、画面表示をシングルタスクのほかにSplit View、Slide Overから素速く切り替えられます。例えば、Split Viewを選択すると、最初に起動したアプリの画面がいったん右側に隠れ、同時に作業したい2つめのアプリをDockから選ぶと、2件のアプリが左右に並ぶ画面表示になります。画面の分割位置は1対1、2対1に切り替えられます。

  • アプリを開くと、画面の上部に「マルチタスキングメニュー」のアイコンが表示されます

  • Split Viewへのスムーズな切り替えに対応

  • iPadOSの画面下部の中央を下から上にスワイプすると表示されるAppスイッチャー上で、任意のアプリを選んで別のアプリの上にドラッグ&ドロップする操作からSplit Viewを作ることも可能です

メールとメモのアプリについては、マルチタスキング中にメッセージを長押しして「新規ウインドウで開く」をタップすると該当のメッセージやメモを画面の真ん中に表示する「センターウインドウ」が使えます。

  • メールアプリで、マルチタスキング中にメッセージを長押しして「新規ウインドウで開く」を選択すると…

  • 画面の中央にメッセージが展開されました

iPadOS 15ではマルチタスキングメニューだけでなく、従来と同じDockからのドラッグ&ドロップ操作によるマルチタスキングへの切り替えも併用できます。Safariで調べ物をしながらレポートを書いたり、マップで調べた待ち合わせの場所をメッセージに添付して送るといった操作がとてもシンプルにできるので、この機会にぜひマルチタスキングの操作をマスターしてみてはいかがでしょうか。

【その2】Apple Pencilによるスクリブルが日本語対応になった

「スクリブル」は、iPadの画面に表示されるすべてのテキストボックスに、Apple Pencilで手書きした文字をデジタルタイピングに素速く変換してくれる便利な機能です。昨年秋に正式リリースされたスクリブルは、しばらくのあいだ英語と中国語(繁体字・繁体字)、あるいは英語・中国語を混ぜた手書きテキストだけが使える機能でした。iPadOS 15では、いよいよ日本語に対応します。

日本語は、漢字・ひらがな・カタカナという3種類の文字が併用される世界でも珍しい言語です。ゆえに、スクリブルの手書き文字認識も相当困難だったはずですが、それぞれの文字に加えてアルファベットや記号をミックスしたテキストも、かなり正確に意図したデジタルタイピングに変換してくれます。

ただ、当然かもしれませんが、あまりにも雑な手書き文字や漢字の書き間違いは誤認識のもとになります。スクリブルを使う時には、Apple Pencilでなるべく丁寧に文字を書くことをおすすめします。

  • 日本語入力にスクリブルが対応

  • アルファベットよりも少し丁寧に書くようにすると、正確に日本語を認識します

Apple Musicでアーティストを検索する場合、アーティストの愛称が検索ワードとして登録されていればこれもヒットします。例えば「Official髭男dism」を一字一句正しく手書きできなくても、“ヒゲダン”でもアーティスト検索や主要な楽曲リストがヒットしました。

【その3】FaceTimeによるビデオ会議やコンテンツ共有がますます便利に

ビデオ付き音声通話に対応するアップル純正のコミュニケーションアプリ、FaceTimeの機能が強化されます。数多くの新機能から「空間オーディオ」と「SharePlay」を試してみました。

iPadやiPhone、Macなど、アップルのデバイスで楽しめる没入型のサウンド体験が空間オーディオと呼ばれるものです。iPadの場合、A12 Bionic以降を搭載する機種にiPadOS 15を導入すると、FaceTimeアプリによるビデオ通話の際に空間オーディオが使えるようになります。

今回は編集部の協力を得ながら、iPad Proの内蔵スピーカーで通話音声の変化を確かめてみました。2021年モデルのiPad Pro 12.9インチによる内蔵スピーカーの音声を試聴しています。FaceTimeの通話音声が空間オーディオ対応になると、通話相手の声が少し前方向に迫り出してくるような立体的なリスニング感になります。通話相手と向かい合って話しているような自然な音の聞こえ方が好印象です。長時間の会議やミーティングの際も疲れを感じにくくなりそうです。複数のメンバーが参加するビデオミーティングなどの場合、話者のビデオ映像が画面に表示される位置から音声が聞こえてくるそうです。新機能の本領がよりいっそう強く発揮されるのではないでしょうか。

SharePlayは、始める前にFaceTimeアプリの設定をオンにします。アプリを立ち上げたあと、画面に表示されるSharePlay開始のアイコンをタップすると、コンテンツを共有できるモードに切り替わります。SharePlayを楽しむためには、通話に参加する両者が対応するOSを投入したデバイスを使う必要があります。

  • FaceTimeアプリの設定から「SharePlay」をオンにします

  • FaceTimeを立ち上げてから黄色く囲ったSharePlayアイコンをタップすると、Apple MusicやApple TV+のコンテンツがシェアできます

音楽や動画を再生しながら、通話相手と一緒に盛り上がれる楽しい機能です。Apple Musicの場合、FaceTime通話の声が聞こえると自動的に音楽再生のボリュームが下がり、通話音声を聞きやすくします。自分と相手が交互にお気に入りの楽曲をかけあいながらパーティー的に盛り上がれます。SharePlayの機能は、アップル純正以外のエンターテインメントアプリにも開放されます。筆者がよく活用しているNetflixやAmazonプライム・ビデオ、そしてぜひYouTubeにも対応してほしいですね。

  • Apple Musicの楽曲を選択すると、SharePlayでの再生を選択するかを問うダイアローグがポップアップします

  • SharePlayを上手に使いこなすと、友人とおすすめの音楽を紹介しあったり、コンテンツシェアが楽しくなります

【その4】クイックメモでApple Pencilの活用頻度がますます高くなる

iPadで調べ物をしている最中、即座にメモを取りたい時には、iPadOS 15で新設される「クイックメモ」が便利です。

画面下部の右端を斜め上に向かってスワイプすると、クイックメモがポップアップします。ここにApple Pencilで任意の文字などを書き込むと、ファイルはメモアプリに保存されます。筆者は、NetflixやApple TV+で海外ドラマを見ながら、役に立ちそうな英語のフレーズが出てきたときにクイックメモで書き取る使い方が便利だと思いました。

クイックメモを立ち上げてからWebのリンクをドラッグ&ドロップすると、該当ページへのリンクが保存されます。または、ページ内の気になるテキストをハイライトし、ハイライト箇所をタップして表示するメニューから「クイックメモに追加」もできます。該当ページのリンクごとメモに保存できます。

  • 画面の右下を斜め上にスワイプアップするとクイックメモが開きます

メモに「#」(シャープ)記号と任意のキーワードを組み合わせた「タグ」を書き込んでおけば、あとからメモの検索機能を使ってタグをもとに探し出せます。Apple Pencilを使って手書きした「#とキーワード」の組み合わせによるタグも認識対象となります。日常的にタグを書き込むクセをつけておけば、クイックメモがいっそう便利に感じられそうです。

  • 「#キーワード」を入力しておけば、あとでメモの検索に役立ちます

【その5】ウィジェットとAppライブラリ

iPhone向けのiOSでは一足早く実現していたホーム画面上のウィジェット配置が、いよいよiPadOSでもできるようになります。代わりに、iPadOS 13から採用された、ホーム画面の左端に「今日」のウィジェットを表示する機能が役目を終えます。

ウィジェットはサイズの大小が選べるだけでなく、スマートスタック機能を使えば上下スワイプによりウィジェットの情報が切り替えられるので、ホーム画面のスペースがより有効に使えます。

  • ウィジェットをiPadOSのホーム画面にダイレクトに配置できるようになります

  • 大型のウィジェットが置けるのもiPadOSの魅力

筆者は、iPad Proの画面にさまざまなドローイングアプリや音楽プレーヤーアプリ、取材でテストしたアプリをすぐに散らかしてしまいます。数が増えてきたらフォルダにグルーピングしてまとめるように心がけているものの、今度はフォルダが無限に増えていきます。この悪循環を断ち切るためにも、iOSで先に実現したAppライブラリが有効です。新規にインストールしたアプリが「ゲーム」や「ユーティリティ」などカテゴリに分類されてAppライブラリに保存されます。新規にダウンロードしたアプリはホーム画面に置かず、Appライブラリだけで管理するように設定できるので、ホーム画面がすっきりとします。

iPadOS 15の場合は、DockにAppライブラリを配置できるので、新規にダウンロードしたアプリを頻繁にAppライブラリでチェックできると思います。

  • iPadOSでは、Appライブラリの良さが活きてきます

【その6】Safariのタブブラウジングの快適さが向上

OS標準のWebブラウザであるSafariも使いやすくなります。アプリ画面の上図スペースにタブバーがコンパクトに収まり、訪問しているWebサイトの背景色に合わせて透過表示になるので、画面いっぱいに広々とページが表示されるような見え方になります。

  • タブブラウジングがよりいっそう軽快になったSafari

Web検索をしながら原稿を書き進めていると、知らない間にSafariのタブが増殖していることがあります。左上に表示されるSafariのメニューアイコンをタップして「タブグループ」を作ると、現在開いているタブがグルーピングできます。次回、同じテーマで調べ物をする際にも、繰り返し同じタブにアクセスできるので便利です。作業を始める前に空の新規タブグループを作ると、効率よく作業が進められるかもしれません。

Safariの背景がプリセットされている背景テーマや画像を写真フォルダから選択してカスタマイズしやすくなりました。Safariにますます愛着がわきそうです。

  • macOSと同様に、スタート画面の背景を自由にカスタマイズできます

【その7】地球儀表示にも対応!マップのディティールが豊かになる

アップル純正の「マップ」アプリは、地球儀のようなグローバル地図の表示が可能になり、一段と楽しくなります。山脈や砂漠の起伏、海溝の深さまでが分かるディティールの情報量がとにかく豊富なマップは、いつまで眺めていても飽きません。

  • 地球儀表示ができるようになったアップルのマップアプリ

シティマップは標高差を正確に再現したり、ランドマークになる建物は形や色までをリアルに再現する3D表示が可能になります。リアルな3Dマップは、当初サンフランシスコなどアメリカの大都市から対応が始まります。マップアプリで旅気分が満喫できるように、日本の街もぜひ早く対応してほしいと思います。

  • サンフランシスコの街のマップ。標高差もマップ上に再現されます

  • ランドマークとなる建物は、形状や色を正確に3Dオブジェクトとして表示します

Apple IDと対応するiPadがあれば、iPadOS 15のパブリックベータは誰でも無料で試せますが、いくつかの注意点もあります。

Apple Beta Software Programの規約に同意・登録したあと、必ずiPadのバックアップを取ることをおすすめします。パブリックベータは正式版のOSではないため、インストールした端末に不具合が発生する場合も考えられます。そのため、今メインとして使っているiPadにではなく、できれば現役としての活躍を終えてサブとして保管しているiPadなどに導入する方が気兼ねなく楽しめると思います。