米国市場調査会社であるCoherent Marketing Insights (CMI)によると、半導体知的財産(IP)市場は2019年には41億ドルであったが、2020年から2027年にかけて年平均成長率8.9%で成長し、2027年には71億ドルに達するという。

SoCやASIC設計に不可欠な半導体IP

代表的な半導体IPベンダとしては、Arm Holdings、Synopsys、Cadence Design Systems、Mentor(Siemens EDA)などがあげられるが、そうした企業の提供するIPがSoCやASICに組み込まれ活用される。

さまざまな機器にインテリジェンス性が必要とされるようになっており、半導体の需要、特にSoCやASICの需要が後押しされており、半導体市場の成長にあわせて、半導体IP市場も成長すると予想されている。

半導体IPの中におけるプロセッサIPは、市場全体の多くを占める規模を有しているが、2027年に至ってもその状況に変わりはないとCoherentは予想している。これは、これまで以上に多くの機器がスマート化(インテリジェンス化)するためであるとする。

こうした動きは自動車の分野でも例外ではなく、自動運転の実現には必要不可欠な役割を担うこととなる。自動車産業における半導体IPの成長は、マイコン、マイクロプロセッサ(MPU)、センサ、インタフェース、アナログIC、および自律型およびプレミアムカーにおけるメモリの増加によるもので、センサやカメラ、先進運転支援システム(ADAS)を中心とした車両の安全コンポーネントに活用されている。

また、民生分野でもさまざまな機器がスマート化しようとしている。特に家電のスマート化により、より多くのICやSoCが活用されるようになるため、半導体IPも必然的に活用されるようになるとする。

世界の半導体IP市場の動向

国・地域別に見た2019年の半導体IP市場のトップはアジア・太平洋地域で、これは予測期間(2020-2027年)を通じても変わることがないとされている。これは、中国とインドの消費者1人当たりの所得の増加に起因しており、所得増加に伴う電子機器への購入意欲の増加が後押ししているという。

また、北米はファブレスの存在感が高いため、予測期間中に高い成長が期待されるという。同社の調べでは、北米には500を超すファブレス半導体関連企業があるという。さらに、北米の主要ベンダは、顧客基盤の強化に向けた戦略的買収にも注力しており、その影響力を強めている。

なお、同社によると半導体IP市場の成長を阻害する主な要因は、偽造品の増加だという。サプライチェーンの慣行が不十分であり、低品質の製品を最小限のコストで購入しているため、偽造品が急増しているとのことで、偽造品を買わない唯一の方法は、認可された供給元から独占的に購入することであるとしている。