市場調査会社の台TrendForceは、NANDの契約価格は2021年第1四半期は前四半期比5~10%減と下落するが、2021年第2四半期は同3~8%増と上昇に転じるとの予測を発表した。

この背景には、PCメーカーや中国を中心としたスマートフォン(スマホ)サプライヤ、データセンター分野などからの調達活動が活発化していることがあり、NANDサプライヤ各社は2021年第2四半期を通じて、生産能力の拡大に向けた取り組みを継続する見通しで、その間、NANDのビット出荷数量は前四半期比で約10%伸びる可能性があるという。

また、NANDコントローラICの生産を行っていた、米国テキサス州オースチンのSamsungのファウンドリラインが停電で停止したことなどもあり、今後の供給に不透明感がでており、代理店などはSSDやeMMCなどの完成品の買いだめを積極的に行っていることも要因に挙げられるとしている。

NAND搭載アプリケーション別に見ると、クライアントSSDは2021年下期に需要が高まる可能性があるという。そのため、PCメーカー各社はクライアントSSDの在庫を積み増しているとされるが、NANDコントローラIC不足に伴い、一部のクライアントSSDに対する注文を2021年第2四半期中に応じることが難しくなることが考えられ、結果として、SSDの供給がひっ迫し、契約価格が同3~8%ほど上昇する可能性があるという。

また、エンタープライズSSDに関しては、主にデータセンター業界の在庫調整期間が終わり、調達活動を活発化させる動きが見えてきたことから、需要の回復が期待されている。一方のNANDサプライヤ側もクライアントSSDの高い需要のおかげで在庫を適正レベルに維持できているため、エンタープライズSSDの契約価格も安定することが期待されることから、同四半期の契約価格は同0~5%程度の上昇となると見込まれるという。

Chromebookからの高い需要が続いているeMMCは、家電メーカーなどからの引き合いもあり、さらにコントローラIC不足も重なることから、その契約価格は同3~8%の上昇が予測されるとTrendForceでは指摘している。

このほかUFSについては、中国スマホサプライヤであるOPPO、Vivo、Xiaomiなどが2020年第4四半期以降、積極的に調達を図っており、コントローラICが今後不足するであろうという予想のもと、さらなる在庫の積み増しを行う動きを見せているという。そのため、その契約価格は前四半期比0〜5%の上昇と予想されるという。

なお、NANDウェハ市場について、TrendForceでは、SSD、メモリカード、USBフラッシュドライブなどの最終製品市場の改善を観察できてはいないとする一方で、NANDサプライヤ各社がコントローラIC不足のため、顧客に対する予定納期を設定できなかったことから、モジュールメーカーはこの動きを利用して顧客からより多くの注文を取得し、NANDウェハの需要を押し上げる可能性があるという。ただし、実際の調達は、コントローラICの供給不足を緩和できるかどうかによって変わってくるが、その契約価格について同5〜10%の上昇との予想をしている。