半導体市場調査会社TrendForceによると、2020年第4四半期のNAND市場は、前四半期比2.9%減の141億ドルとなったという。

同四半期の平均販売価格は前四半期比で9%下落した一方、総ビット出荷数量は同9%近く増加したこともあり、価格下落を数でカバーする形となったという。

好調に転じる2021年第1四半期

業界トップのSamsung Electronicsの2020年第4四半期のNAND売上高は、前四半期比3.4%減の46億4400万ドルだったという。出荷数量が増加した一方で、平均販売価格が大きく下落した結果、売上高も減少となったという。

また、生産関連については、中国西安の生産能力の拡大に加え、韓国平沢のP2に新たな3D NANDのラインを設置する予定だという。さらに、現行の第5世代V-NAND(92層)プロセスではなく第6世代(128層)の出荷割合を引き上げることが予定されているという。

NAND売り上げ2位のキオクシアの同四半期の売上高は、ビット出荷数量はわずかに増加したものの、平均販売価格が下落した結果、同11.4%減の27億4900万ドルにとどまった。

また、生産関連については、北上市のK1ラインの生産能力を拡大していくほか、2021年第1四半期に四日市に第7製造棟(Y7棟)の建設を開始。北上市の第2製造棟についても建設に向けて動き出しており、2022年以降の稼働を目指している。技術としては今後、112層BiCS 5プロセスの割合を増やしていく予定としている。

キオクシアのパートナーであるWestern Digitalの2020年第4四半期売上高はPC向け需要などによるビット出荷数量の伸びが、平均販売価格の下落を相殺する形で前四半期比2.1%減の20億3400万ドルとなった。

生産に関してはキオクシアとの協力で進める予定で、プロセスとしては2021年第2四半期から第3四半期にかけて112層BiCS 5プロセスを用いたTLCならびにQLC製品のサンプル提供を開始するほか、2022年にはBiCS 6プロセスでの生産を進める計画としている。

SK Hynixの2020年第4四半期の売り上げは、ビット出荷数量の伸びが平均販売価格の減少を相殺する形となり、前四半期比0.2%減の16億3900万ドルとなった。

生産技術としては、ビット出荷数量に占める128層品の割合を高めており、2020年末段階で約30%にまで到達したほか、2021年後半には176層製品も発売する予定としている。また、IntelのNAND事業買収については、2021年末までに完了する予定だという。

そしてMicron Technologyの2020年第4四半期の売上高は、ビット出荷数量の伸びが平均販売価格の下落を上回ったことから、前四半期比2.9%増の15億7400万ドルとなったという。

技術面では、同社は176層品の出荷を同四半期に開始。顧客企業各社は、2021年第2四半期までにサンプルを受け取る見通し。セルタイプに関しては、QLC製品の出荷シェアを引き上げている。

なお、TrendForceによると、2021年第1四半期におけるNANDのビット出荷数量は2つの要因により伸びる見通しであるという。1つはSamsungと中国の新興サプライヤであるYMTCが積極的に生産能力の拡充を進めている点。もう1つは各NAND各社ともにより高層の3D NANDへの移行を熱心に進めている点だという。

  • NAND市場

    2020年第4四半期の自社ブランドNANDメーカー売上高ランキング (出所:TrendForce)