前回、そして前々回の記事では、iPad向けのApple純正キーボードやサードパーティー製キーボードに関して説明しました。気に入った製品は見つかりましたか?

外部キーボードを接続すればソフトウェアキーボードと比べて格段に楽にテキスト入力が行えますので、iPadをよりパソコンライクに使えるでしょう。しかし、単にキーを叩くだけではいけません。iPadをよりパソコン化するには、iPadOSの設定を見直したり、iPadならではの入力テクニックを知って、テキスト入力やiPadの操作をさらに快適にしていきましょう。

基本のキーボード設定

まず最初に行ってほしいのが、キーボードの設定です。「設定」アプリの[一般]→[キーボード]と辿っていくと、さまざまな設定を自分好みに変更できます。ソフトウェアキーボードを利用するときと同じような項目が並んでいるように見えますが、外部キーボードを接続したときだけに現れる[ハードウェアキーボード]という項目は要チェック。外部キーボードを使って、日本語や英語を入力する際の設定を行うことが可能です。[自動大文字入力][自動修正][ピリオドの簡易入力]の3つの設定は、英字を主に入力する際にかかわるものなので、たいていはオフにしておいても問題ないでしょう。そのほか、ライブ変換や絵文字の表示方法、Caps Lockを使用して入力モードを切り替えなどが設定できます。

  • テキスト入力すると自動的に漢字やカタカタへ変換してくれる「ライブ変換」は好みに応じてオン/オフしましょう。[Control]キー+[Space]キーで入力モードを切り替えるだけでなく、Caps Lockを押すことで切り替えるなら[Caps Lockを使用して言語を切り替え]をオンにします

  • iPadOS 13.4から可能になった[修飾キー]はややわかりにくいかもしれません。これは、修飾キーである[Caps Lock][Control][Option][Command][地球儀キー]の割り当てを変更したり、押しても動作しないよう選ぶことができる設定です

iPadでもショートカット操作

外部キーボードの基本的な設定をカスタマイズしたら、次はキーボードショートカットをマスターしましょう。iPadでは[Control]+[Space]キーで入力モードを切り替える以外に、[Command](⌘)キーと一緒に別のキーを押すことで、さまざまな操作が可能です。たとえば[Command]+[C]キーではコピー、[Command]+[Shift]+[3]キーではスクリーンショットを撮影するなど、Macと共通のショートカットが多く存在します。ただし、ショートカット操作はアプリによって異なりますし、iPad特有のショートカットは覚えるまでに時間がかかる場合もあるでしょう。そんなときは、”[Command]キーを長押し”だけを覚えておけば大丈夫です。特定のアプリを起動した状態で[Command]キーを長押しするとショートカット一覧が表示されますので、すぐに画面で確認することができます。

iPadで可能なキーボードカットショートカットのうち、基本的なものを下に一覧にしました。特に、[Command]+[H]キー(ホームに戻る)、[Command]+[Tab]キー(アプリの切り替え)を覚えるだけでも、作業効率はずいぶんと高まるはずです。

iPadの主なキーボードショートカット一覧
[Command]+[H] ホーム画面を表示
[Command]+スペースバー 検索フィールドの表示/非表示の切り替え
[Command]+[tab] 最近使った順番で次にあたるアプリに切り替え
[Command]+[shift]+[3] スクリーンショットを撮影
[Command]+[shift]+[4] スクリーンショットを撮影後、編集画面を表示
[Command]+[option]+[D] Dockの表示/非表示を切り替え
[Command]+[X] 切り取り(カット)
[Command]+[C] コピー
[Command]+[V] 貼り付け(ペースト)
[Command]+[Z] 取り消し(最後のアクションを一つ前に戻す)
[Command]+[A] 全選択
[Command]+[delete] カーソルまでの1行をまとめて削除
そのほか[Command]キー+矢印キーを使えば「設定」アプリで項目を移動したり、テキスト入力時にカーソルを文章の先頭や末尾に移動させることができます
  • ショートカット操作でできることはアプリによって異なります。標準搭載されているアプリの多くはショートカット操作に対応していますが、サードパーティ製アプリの対応はアプリによってまちまちです。どのようなショートカットが使えるかわからない場合は、[Command]キーを長押しすることですぐに確認できます

  • ホーム画面に戻るCommand+[H]キーは比較的頻繁に使うショートカット。また、[Command]+[Tab]キーも覚えておくと、素早くアプリを切り替えられて便利です

気づきにくい場所にも設定あり

さて、最後にさらに詳細な設定について見ていきましょう。実は、キーボードに関する設定は「設定」アプリの[アクセシビリティ]にもあるのです。この[アクセシビリティ]は聴覚や視覚、操作が不自由な人に向けたものですが、ユニバーサルアクセスの考え方に基づいており、万人に役立つものです。

中でも、設定しておくと便利なのが、[キーボード]→[キーのリピート]です。キーボードを使っていてなんだかキーの反応が悪い…と感じたら、ここからキーの反応時間を変えてみましょう。[キーのリピート感覚]と[リピート入力認識までの時間]の2つの値を最小にすると、キーを押し続けたときに連続して入力される速度が速くなります。好みによりますが、矢印キーなどでカーソルを移動させたりするときに高速になりますのでおすすめです。

  • [アクセシビリティ]→[キーボード]から、外部キーボード使用時のキー入力をカスタマイズできます

  • [キーのリピート]をオンにしているときの[キーののリピート感覚]と[リピート入力認識までの時間]を調整できます

  • [複合キー]を有効にすると、修飾キーを押すだけで押したままの状態にできたり、[Shift]キーを5回押すことで複合キーのオン/オフを切り替えられます

  • [スローキー]をオンにすると、キーを押してから入力が認識されるまでの時間を調整できます

また、同じく[アクセシビリティ]にある[フルキーボードアクセス]も利用することでさらに操作感をアップすることができます。この設定は標準ではオフになっていますが、有効にするとキーボードの矢印キーや[Tab]キーで画面上のアイコンやメニュー、リンクなどを選択できるようになり、[Space]キーを押すことで選択した項目をタップできます。

さらに、たとえば[Tab]+[H]でヘルプを表示したり、[Tab]+Nで通知センターを表示したりなど、使えるキーボードショートカットも増えます。つまり、iPadの画面を指でタップしたり、別途マウスを接続して操作したりすることなく、”外部キーボードだけで”ほとんどすべての操作を行うことができるようになるのです。より複雑なキーボード操作を覚える必要がありますし、最初は操作に慣れが必要であるため、無理して利用することはありませんが、一度試してみる価値はあるでしょう。

  • [フルキーボードアクセス]をオンにすると、図のように画面に青い枠が表示されます。矢印キーや[Tab]キーを押すと画面内のメニューやアイコンなどに青い枠が移動し、[Space]キーを押すことでタップできます

  • [Tab]+Nで通知センターを表示できるようになるなど、利用可能なキーボードショートカットが増えます。図では、スクリーンタイムの通知が青い枠で囲まれているので、ここで[Space]キーを押すと、スクリーンタイムのレポートが確認できます

  • [フルキーボードアクセス]をオンにすることで、アプリによっては入力する内容とキーボードショートカットがバッティングしてしまうことがあります。その場合は、[フルキーボードアクセス]→[コマンド]からキーコンビネーションをカスタマイズしましょう