iPad向けに用意されているApple純正キーボードには、「Magic Keyboard」「Smart Keyboard Folio」「Smart Keyboard」があります。これら3モデルに共通する純正品ならではのメリットは「iPadとの接続のしやすさ」で、Appleの独自規格である「Smart Connector」を使ってマグネットでくっつけるだけで接続できます。一般的なBluetooth接続のキーボードと違って、ペアリングの必要も、キーボードの電源を入れる必要もなく、磁力で取り付けるだけでタイピングを開始できます。

また、キーボードを折り畳むことでスタンドとなり、iPadを立てかけてノートブックを使うときのような姿勢で利用できるほか、使い終わったら折り畳むことでカバーとなり、iPadを保護してくれます。Apple純正品とあってデザインや品質が高く、iPadとぴったりとフィットするのもいいところです。

  • iPad向けのApple純正キーボードには、Magic Keyboard、Smart Keyboard Folio、Smart Keyboardがあり、それぞれ対応するiPadの機種が異なります

  • 磁力で吸着する3つの小さな丸い端子がSmart Connectorです。iPad Pro 11インチ (第1/第2世代) またはiPad Pro 12.9インチ (第3/第4世代) 、iPad Air(第4世代)は背面に、iPad(第7/第8世代)は側面にあります

  • キーボード側にあるSmart Connector接合部を近づけるだけで簡単に取り付けられます。あとはiPadを起動すれば、すぐにタイピングを行えます

Folioのほうがちょい良し

では、3つのモデルで何が異なるのか。まず非常に似通っているのが、Smart Keyboard FolioとSmart Keyboardです。現行モデルでいえばiPad Air、iPad Pro 12.9インチ/11インチ用が前者、iPad用が後者となります。キーボードの仕様やサイズはほぼ同じ(Folioのほうが若干横幅が短い)で、バタフライ式のキーの打鍵感も変わりません。素材はポリウレタンとマイクロファイバーで、キーの間に隙間がないので耐水性にも優れます。両モデルで異なるのは、Smart Keyboard Folioのみ、
・カバーとして使う際にiPadの背面も覆うことができる
・キーボードを使う際にカバーの折り畳みを広げる必要がない
・スタンドの角度を2段階に変えられる
の3点です。Smart Keyboard Folioのほうが世代的には新しいため、iPad用のFolioが今後登場する可能性もあるでしょう。

  • Smart Keyboard Folio(写真)とSmart Keyboardはともにフルサイズのキーボードで、キー配列やキーピッチ、打鍵感などに違いはありません。[英数][かな]で入力を切り替えるられるなど、Macのキーボードと似通っています

  • 折り畳んだ際、Smart Keyboard Folio(写真左)はiPad背面もカバーで覆われる一方、Smart Keyboard(写真右)はSmart Connectorが側面にあり、ディスプレイ部分しかカバーでは覆われません

  • iPadを立てかける際、Smart Keyboard Folio(写真左)は2段階で角度調整が可能(キーボード上部に溝が2箇所あり、立てかける位置を選べる)のに対し、Smart Keyboard(写真右)は1段階でしか利用できません

Magic Keyboardは別格 

 一方でやや世界観を別にするのが、Magic Keyboardです。現行のiPad Air、iPad Pro 12.9インチ/11インチ向けに2020年4月発売開始された最上位モデルで、Smart Keyboardシリーズにも、多くのサードパーティ製品にもない特徴があります。それは、
・キーボードはシザー式でバックライトを搭載
・iPadが浮いているような形で固定でき、角度の調整が柔軟に行える
・マルチタッチジェスチャに対応したトラックパッド搭載
・電源供給用のUSB-Cのコネクタを搭載し、iPad本体の充電に利用できる
の4つです。シザー式を採用したことによる打鍵感の向上は多くのユーザから支持されていますし、何よりもiPadの角度を自由に調整できるので入力時の快適さがアップします。 さらに、それ以上に大きく「体験」を変えるのがトラックパッドの搭載です。Macのトラックパッド同様にクリックや複数の指を使ったジェスチャ操作などができるため、別途マウスを利用することなくiPadを操作することができます。iPadとMagic Keyboardの組み合わせれば、見た目も、操作もノートブックと大きく変わることはないのです。そのうえ、Magic KeyboardのUSB-Cポートに電源ケーブルをつなげることでiPad本体を充電できますから、家にいるときはノートブックとして、外出するときはキーボードから取り外してタブレットとして使えるのも魅力です。

  • Magic Keyboardのキーボードはシザー式で、キーの深さ(ストローク)は1mmとなっています。キーボードの下にはトラックパッドがあり、iPadOS上のカーソルを動かしたり、マルチタッチジェスチャで操作できます。パームレストもあり、MacBookシリーズのキーボードと同じような感覚で使えます

  • iPadが浮いているかのようにマグネットで固定でき、画面の角度を自由に調整できます。ヒンジ部分にはUSB-Cポートがあり、USB-Cケーブルを接続することでiPad本体の充電が行えます。iPad側のUSB-Cポートが空くので、周辺機器などを接続しておくことができます

  • Magic Keyboardも、Smart Keyboard Folio同様に折り畳むことができ、iPadの前面と背面をカバーします

さて、どっちにする?

とはいえ、Magic Keyboardは3万1,800円(11インチ)/3万7,800円(12.9インチ)と高価で、本体と一緒に購入するとMacBook Airと同等か、それ以上になってしまいます。現行のiPadはSmart Keyboardしか選べないので問題にはなりませんが、現行のiPad AirやiPad Proシリーズをお持ちの方はSmart Keyboard Folioとどちらにするか迷うでしょう。Smart Keyboard Folioのほうが安価で、薄く・軽い点も見逃せませんし(Magic KeyboardのiPad Pro 11インチ用は約600g、12.9インチ用は約700g。一方、Smart Keyboard Folioは約300g)、キーのまわりに隙間がなくゴミが侵入しにくいことや、カバーをiPadの背面側に360度裏返して使えることもメリットと言えます。

  • Apple Pencilを使うときに、Smart Keyboard Folioはくるりと裏返すことができて便利。Magic Keyboardはそれができないため、iPadをキーボードから取り外す必要があります

どちらを購入するかは人それぞれですが、「iPadパソコン化」を目的にiPadをメインのマシンとして活用したいならば、Magic Keyboardの購入をおすすめします。Magic KeyboardはiPadを従来のパソコンのように使うためにリリースされたキーボードといっても過言ではなく、これまで説明したように、単なる文字入力だけに留まらない快適さを得られるからです。もし重量が気になるようであれば、別途Smart Keyboard Folioも購入して持ち運び時にだけ使うということも可能でしょう。

ただし、iPadをパソコンライクに使えるかどうか試してみたい、または当面はサブ機として使いたい、といった目的で予算に限りもあるならば、Smart Keyboard Folioを選び、後々Magic Keyboardにステップアップするという選択もありでしょう。もちろん、より安価におさえたいならば、Smart Keyboard Folioではなく、サードパーティ製のキーボードも視野に入れて検討しましょう。