大日本印刷(DNP)は1月6日、空中に画像を浮かべて表示し、指で触れて操作できる「DNP非接触ホロタッチパネル(ホロタッチ)」を開発したと発表。2021年度の製品化を目指す。

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    DNP非接触ホロタッチパネルのイメージ。ホログラムに描画された操作ボタンなどが空間上に浮かび上がっている

「ホロタッチ」は、操作ボタンなどを描画したリップマンホログラムのフィルムと、赤外線などで空中の位置を検出するセンサーを組み合わせたDNP独自のシステム。ホログラムフィルムとセンサーのみの軽量コンパクトな構成で、既存の情報端末などに後付けで取り付けてタッチレス化できる。

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    ホログラムフィルムとセンサーのみのシンプルな構成

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    厚さ0.1~0.2mmのフィルムを使用

ウイルス感染の防止などの観点から非接触のニーズが高まるなか、具体的な活用例として、銀行や店舗のATM、レジといった既存のタッチ式ディスプレイ端末に後付けでフィルムを貼ることで、空中で操作できるようにすることを提案している。

リップマンホログラムは3次元画像の表現に優れ、画像を記録したフィルムに一定の角度からLEDなどの点光源の光を当てることで、フィルムから離れた空中に画像を浮かび上がらせる仕組み。浮遊距離は約50mmまで調整できる。

ホロタッチでは、ホログラムフィルムに記録した2次元の柄(細かい線・点や図版等)を、センサーの検出面と同じ空中の位置に浮遊させて表示。手指が触れると反応する柄を目視でき、空中での指操作をしやすくした。

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    フィルムから離れた空中(赤い点線の位置)に画像を浮かび上がらせ、指で操作するイメージ

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テンキーや矢印キー、決定キー、キャンセルキーといった汎用的な入力ボタンにすることで、利用者の直感的な操作を可能にするという。

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フィルムの厚さは0.1~0.2mm(センサーユニット含まず)で、最大で紙のA4判(210×297mm)程度のサイズまで対応可能。LEDなどの点光源の光を当てて利用できるため、プロジェクターなどの投影装置が不要なのも特徴で、大型設備を導入する必要がなく、低コストで導入できるとする。

DNPは日本で唯一、リップマンホログラムのフィルムを量産できる技術を持っているとアピール。コロナ禍の非接触ニーズの高まりに対し、店頭受付端末やレジ、券売機といった既存の入力端末に後付けで利用する企業・団体や、端末・センサーのメーカーなどにホロタッチを提供する。これにより、2022年度に関連サービス等も含めて30億円の売上を目指す。

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    既存機器への設置イメージ