山本氏が選出した4位以下のトピックについては、AV関連のジャンルを主に取材している編集記者・RSが簡単に紹介していきます。

4位:ソニーやLGが8Kテレビ発売。でも8Kが「来なかった」

2020年は、ソニーやLGから8K液晶テレビが発売されましたが、東京オリンピック・パラリンピックが2021年開催に延期されたことで、目玉コンテンツとなるはずだった8K中継がなくなりました。NHKはBS8K放送の効率的な番組制作や設備投資の抑制を徹底し、「東京オリンピック・パラリンピック後に、在り方に関する検討を進める」としており、8Kの今後が気になります。

5位:有機ELテレビで最小サイズの48V型が各社から。シャープ初の有機ELテレビも話題

有機ELテレビが市場に出回り始めた頃は55V型が最小サイズでしたが、2020年はひとまわり小さな48V型モデルが各社から登場。選べるサイズのバリエーションが増えました。また、「AQUOS」ブランドで液晶テレビを展開してきたシャープが初の有機ELテレビを投入したことも注目を集めました。

6位:ネット動画端末に注目、新ChromecastやFire TV UI刷新。Apple TVはどうなる?

Googleから新しいユーザーインタフェース(UI)「Google TV」を採用した「Chromecast with Google TV」が発売され、Amazonの「Fire TV Stick(第3世代)」も大型アップデートで新UIが利用可能になるなど、ネット動画端末にさまざまな動きがありました。Amazonは、クラウドゲームサービス「Luna」を海外で提供することも明らかにしています。

一方、Appleは「Apple TV 4K」(2017年発売)以来、新モデルを出していませんが、「Apple TV」アプリがスマホだけでなく新ChromecastやFire TVシリーズ、PS5などでも利用できるようになり、じっくり裾野を広げています。

7位:巣ごもりでTV・ネット動画視聴増。放送同時配信「NHKプラス」開始

テレビ離れが進んでいると言われて久しい中、自宅で過ごす期間が長くなったことが影響したのか、テレビの視聴率や映像配信サービスへの加入数が上がっているそうです。NHKが「NHKプラス」でネットでの放送同時配信を本格的にスタートしたのも記憶に新しいところ。放送と配信の今後の動向に注目です。

8位:オーディオ展示会がほぼオンライン化、それでも意欲的な製品多数

「ヘッドフォン祭」や「ポタフェス」、「OTOTEN(音展)」など、オーディオ関連の展示・試聴会は、コロナ禍により軒並みオンラインイベントに移行し、オーディオ好きにとっては寂しい1年に。しかし、その中でもAstell&Kernから「2つの心臓」(AKM&ESSのDACチップ)を持つポータブルプレーヤー「A&futura SE200」や、気合いの入った設計に注目のソニー製超ド級パワードスピーカー「SA-Z1」など、意欲的な製品が多数登場しました。

9位:ノイキャン搭載の完全ワイヤレス続々。骨伝導イヤホンにも注目

イヤホン関連では、2020年1月の「CES 2020」でお披露目されたオーディオテクニカ「ATH-ANC300TW」を皮切りに、ノイズキャンセリング機能を搭載した完全ワイヤレス製品が各社から続々登場。低価格化も進みました。一方で、在宅勤務やWeb会議などでイヤホンを長時間付けていると外耳炎にかかるおそれもあることから、耳をふさがない骨伝導イヤホンに注目が集まりました。

10位:スマートスピーカー刷新、1万円台が勝負ゾーン

2020年はスマートスピーカーの新モデルが相次いで登場。Amazonからは球体デザインになったEchoシリーズが投入されました。Googleの「Nest Audio」、Appleの「HomePod mini」は両社にとって久しぶりのスマートスピーカー新製品です。いずれも1万円台前半と買いやすい価格になっていることも注目ポイント。

番外編:家電メーカー各社がコロナ禍でマスク生産・販売に乗り出す

山本氏は、新型コロナウイルス感染症の影響でシャープやアイリスオーヤマ、フィリップスなどの家電メーカーがマスクの生産・販売に乗り出したことにも注目。AVジャンルからは逸れますが、2020年を象徴する話題であり、弊誌でも「生活家電」あるいは「ガジェット」というくくりの製品として度々ニュースやレポートで取り上げました。来る2021年は、マスクを常用せずにすむ年にしたいものです。