今年も大量の新サービスが発表される、AWS (Amazon Web Services)の」年次イベント「AWS re:Invent 2020」が始まった。例年であればラスベガスで開催される大規模なイベントだが、新型コロナウイルスインシデントの影響で物理的なイベントの開催が困難な今年は、オンラインで3週間という長期にわたって開催されるバーチャル会議となった。

早くも多くの新サービスが発表されているのだが、今回、データベース担当のVice PresidentであるShawn Bice氏に話を聞く機会を得たので、注目すべき4つの新サービスについてお届けしたい。

  • 発表されたデータベース関連の新サービスについて説明するShawn Bice氏(Vice President、Database、DBS Leadership、AWS)

    Amazon Web Services Vice President, Database, DBS Leadership Shawn Bice氏

re:Invent 2020注目の新データベースサービスはこの4つ

re:Invent 2020で発表された、注目すべきデータベース関連の新サービスは次の4つだ。

  • Amazon Aurora Serverless v2
  • Babelfish for Aurora PostgreSQL
  • Babelfish for PostgreSQL
  • AWS Glue Elastic Views

Amazon Aurora Serverless v2はスケーラビリティが向上し、数秒から数十秒で数十万トランザクションをさばくところまでスケールアップできるようになった。さらに容量管理が細かく行えるようになっており、基本的には使った分だけの料金を支払えばよい。データ容量が少ない用途から、大規模データを扱うプロジェクト、または運用に合わせて随時データが増加していくタイプ、あらゆるユースケースに料金を適合させた形だ。

Babelfish for Aurora PostgreSQLはMicrosoft SQL ServerアプリケーションをAurora PostgreSQLで動作させるためのトレスレーション機能だ。Microsoft SQL ServerユーザーをAWSに移行させる取り組みと言える。

Babelfish for PostgreSQLもこれに関連した新サービスというか、新しいオープンソースプロジェクトだ。Microsoft SQL Server互換のエンドポイントをPostgreSQLに追加するというもので、PostgreSQLがSQL Serverコマンドを理解できるようになる。2021年にGitHub.comで公開される見通し。

AWS Glue Elastic ViewsはRedshiftやDynamoDB、RDS、Auroraといった複数のデータソースを使って仮想テーブルを作成する機能だ。データはターゲットストアにコピーされ自動的に同期が行われる。

サーバレスとスケーラビリティ

前述したサービスの中でも特に注目しておきたいのが「Amazon Aurora Serverless v2」だ。スケーラビリティが強化された点を押さえておきたい。サーバレスサービスを使ったシステム開発は今後さらに採用シーンの増加が見込まれている。この時、問題となる課題のひとつにスケーラビリティがある。サーバレスサービスではスケーラビリティが期待値に達しないことがあるわけだ。

「Amazon Aurora Serverless v2」はその点が改良されており、数秒から数十秒で数十万のトランザクションまでスケールアップが可能とされている。大規模なシステムでも使用可能なレベルまでサービスが強化された。

さらに、押さえておきたいのは容量管理だ。Amazon Aurora Serverless v2では基本的に使用した容量分だけ料金が発生する。このため、扱うデータが少ないプロジェクトから、大規模なデータを扱うプロジェクト、または、プロジェクトの進行に合わせて扱うデータが増加したり減少したりするケースでも、Amazon Aurora Serverless v2であれば無駄な運用コストを抑えることができる。

クラウドサービスの利用量の見積もりは難しい。最初から多めに見積もれば過大なコストを支払うことになるし、足りなければそもそもそサービスが成り立たなくなる。Amazon Aurora Serverless v2であればそうした懸念から解消されることになる。

Microsoft SQL Serverからの移行促進

次は、「Babelfish for Aurora PostgreSQL」と「Babelfish for PostgreSQL」について見てみよう。前者はトランスレーション機能であり、後者はSQL Serverコマンドを理解するためのコードをオープンソースソフトウェアとして公開するプロジェクトだが、いずれもMicrosoft SQL ServerからAWSへの移行を促すための取り組みとなっている。

これらが登場した背景には、「データベースのライセンスやデータベースの移行などに悩まされるのはもう止めて、使用した分だけ支払うというシンプルなモデルのもとで機能を使っていこう」というAWSの考え方がある。

「Babelfish for Aurora PostgreSQL」を使えば、すべてそのままとは言えないが、軽量な変更でAuroraへの移行が可能になるとされている(場合によっては、書き換えが発生しないものもある)。「Babelfish for PostgreSQL」に関してはGitHub.comに公開されてみないとなんとも言えないが、同じくMicrosoft SQL Serverの代わりにPostgreSQLを使うというユーザのニーズをつかむ可能性がある。

人気の高いデータベーストップ3はOracle、MySQL、Microsoft SQL Serverだ。PostgreSQLは第4位とされている(DB-Enginesランキング)。「Babelfish for PostgreSQL」や「Babelfish for Aurora PostgreSQL」の登場でPostgreSQLのシェアが増える可能性があり、今後の動向が注目される。