シヤチハタは11月16日、出社せずに文書の申請・承認が簡単にできる電子決裁サービス「パソコン決裁Cloud」の機能を拡張し、取引先との書類のやり取りでも安心して使える「Shachihata Cloud Business(シヤチハタクラウド ビジネス)」を同24日から提供を開始すると発表した。なお、これに伴いサービスの名称を従来の「パソコン決裁 Cloud」から「Shachihata Cloud」に変更する。

重要な書類のやりとりも安心して使える新サービス

Shachihata Cloud Businessは、電子印鑑の持つ可視性はそのままに、サービスの機能強化を図るため、セキュリティ面の見直しを行い「ユーザ認証の強化」と「書類の原本性確保」を強化。社内だけでなく取引先と交わす書類についても利用範囲を拡大できるほか、新たに社内のみで見せる書類・申請ルートと、社外に送る文書をシステムの中で識別できる機能を実装した。

  • 「パソコン決裁Cloud」を刷新して「Shachihata Cloud Business」を提供開始

    「パソコン決裁Cloud」を刷新して「Shachihata Cloud Business」を提供開始

シヤチハタ 代表取締役社長の舟橋正剛氏は、新サービスについて「これまでは会社内の決済・承認で利用されていたパソコン決済Cloudだが、新サービスは新しいエディションとしてセキュリティを強化し、電子署名やタイムスタンプ機能が加わり、会社間の契約、見積もりをはじめとした重要な書類のやりとりも安心して使える」と説明した。

  • シヤチハタ 代表取締役社長の舟橋正剛氏

    シヤチハタ 代表取締役社長の舟橋正剛氏

同社では、1995年にデジタルシフトに対応するためパソコン決済を発売し、その後もバージョンアップを重ねながら、2012年からクラウドを利用したサービスを開始したが、当時はクラウドは受け入れられず、2015年に米Boxのクラウド上で利用できるサービスを提供し、2015年には企業が連携しながらビジネス展開を進めるエコシステムとして米Docusignと業務提携している。

そして、2017年からは捺印・回覧ができるクラウド電子決済「パソコン決済Cloud」を提供し、同サービスは新型コロナウイルスに伴う在宅勤務の増加により、無料開放したところ電子印鑑の申込数が1万5000件(3月末時点)から27万件(6月末時点)に急増したという。

  • 現在ではBox、Docusignと連携している

    現在ではBox、Docusignと連携している

ハンコの不便な面は運用を見直すべき

舟橋氏は「ハンコは文化として根付いているため良い部分は残し、不便な面は運用を見直すべきだ。ハンコの印影には本人確認と意思確認の意味があり、行政手続きにおけるハンコは本人確認のための押印の見直しだが、慣習や慣れで行われていた本当に必要ではない押印は見直し、少しでも利用者が便利に生活できるようにしなければならない。あくまでも押印は手段であり、目的は生産性の向上につながる仕組みを作ることだ。昨今ではデジタルシフトが急速に進み、紙での業務が見直されていることから、われわれは今後について非常に危機感を持っている」との認識を示した。

価格(注文単位は10ユーザー単位、最低契約期間は1年間)は、パソコン決済Cloud Corporateの後継となる「Standard」が1印鑑あたり月額100円、Standardの「Business」が同300円。今後、同社ではクラウド決済サービスをベースにビジネスで活用できる多様なソリューションに取り組み、創業100周年となる2025年度には50憶円の売り上げを目指す。

  • 「Standard」「Business」の価格と主な機能

    「Standard」「Business」の価格と主な機能