電通は11月2日、量子コンピュータを活用したテレビ広告プランニングに向け、エー・スター・クォンタム(AQ)と業務提携契約を締結したこと、ならびにAQは併せてAbies Ventures、電通グループ、NECキャピタルソリューション等が運営する価値共創ベンチャー2号有限責任事業組合、三菱UFJキャピタル7号投資事業有限責任組合、NBCエンジェルファンド2号投資事業有限責任組合、Plug and Play JapanおよびPlug and Play Tech Centerを引受先とする第三者割当増資によってシリーズA総額3億円の資金調達を行ったことを発表した。

AQは2018年に創業したベンチャーで、方式の違う2つの量子コンピュータで起動するソフトウェア開発によって顧客企業の目的に沿った開発・実装を目指し、主に物流分野、広告分野の組み合わせ最適化問題を解くための研究開発を中心に事業を展開してきた。

一方の電通は、テレビ広告の価値向上を目指し、多様なマーケティングデータを活用することで、広告主が購入した広告枠を最適運用する仕組みを開発してきたが、従来の計算プログラムでは、数週間から数カ月にわたるキャンペーン広告枠の膨大な組み合わせパターンの中から最適な組み合わせを探索するには、膨大な計算時間がかかることが課題となっていた。

なお、今回の業務提携は、共同で量子コンピューターを使ったテレビ広告枠の組み合わせ最適解を導き出すソフトウェアの開発を行うことで、複数キャンペーンの広告枠の膨大な組み合わせパターンの中から、より効率的なパターンを高速で導き出すことを目指すものとなる。

電通では、これが実現されれば、工数の圧縮が可能となるため、日ごと変化するマーケティング指標やターゲット予測視聴率に合わせた、より効率的な広告枠運用が可能になると期待を示しているほか、将来的にはテレビ広告枠運用のみならず、広告主のさまざまな課題解決に向けた新たなマーケティングソリューションの開発にもつなげていきたいとしている。