制約の中、東京ビッグサイトで開催

Maker Faire Tokyoは例年8月に開催され、多くの参加者でにぎわう「作りたい人(Maker:メイカー)のお祭り」です。2020年は東京オリンピックに伴う東京ビッグサイトの利用不可によって、10月に延期されていました。ところが、新型コロナウイルスの影響によって東京オリンピックは延期、5月に予定されていたMaker Faire Kyoto(京都)は中止となってしまいました。

東京はどうなる? と思っていたのですが、色々と制約があったものの、10月3日・4日の2日間、無事に開催されました。ただしコロナ禍が続く中でのMaker Faire Tokyo 2020なので、色々な制約がありました。「密」を避ける意味で各種ワークショップはなし、人気のプログラミングカフェやミニチュアカーを作る大人気企画の「Nerdy Derby」がなくなってしまいました。

一般来場も当日券なしで前売り券のみ。前売り券も入場時間制限あり。事前に「氏名、携帯電話番号、メールアドレスの登録」が必須(登録終了画面をスタッフに見せる必要があります)。そして入場時に検温もあります。会場はソーシャルディスタンスに配慮してスペースを広めに確保。来場者数は例年より大幅に減っていると思いますが、それでも開催にこぎつけるまでには多くの苦労があったことでしょう。

  • 前売り券のみで当日券なし。東京ビッグサイトの会議棟にローソンがあるので、売り切れでない限り、東京ビッグサイトに到着してから前売り券を買えました。入場前に名前、携帯電話番号、メールアドレスを登録し、入場時に検温する必要があります

  • 10月3日15時ごろの会場内。例年からするとゆったりしています

CPUを作る!

以前から、リレーやダイオードでプロセッサを作った人はいましたが、LSIを発注して作っちゃいましたというのが「MakeLSI」です。RISC-VというCPUの縮小版を設計して、外部発注とはいえ作ってもらったというチップを展示、LEDを点滅させる「Lチカ」を実演していました(Lチカはテストの定番です)。

聞いたところ、トランジスタ数は3,000くらいとのこと。世界初のマイクロプロセッサ(i4004)よりも大規模です。ちょっと驚いたのは「10日ほど前にチップが届いたので、急ぎ手作業でチップからワイヤー配線をした」そうです。

  • 自作LSIの設計図。0.6umルールで作成し、チップサイズは1.49×1.24mmだそうです

  • 届いたLSIを基板上に取り付けて、LEDを点滅させる「Lチカ」を実行。基板とチップの接続は手作業!

ミニアーケードゲーム機は「裏」で合法性をアピール

「古いゲームを昔のゲーム機風にする」という試みは以前からされていましたが、どうしてもエミュレーター実行になってしまい、著作権法上グレーなものでした(エミュレーターは問題ないとしても、ゲームのコピー問題が発生し、個人では解決が困難)。これを見事に解決したのが「mono2qryの部屋」です。

表から見ると普通のミニアーケード風筺体ですが、裏に回るとメガドライブやPlayStation Classicが張り付いています。つまり、これらの正当なゲーム機を改造して卓上ゲーム機に仕立て上げているわけです。

  • ずらりと並ぶ卓上ゲーム機。この類は著作権法上いろいろとグレーなところがあるのですが……

  • 裏を見ると家庭用ゲーム機が! ディスプレイと公認製品を一体化することで解決しています

隣の「自宅ゲーセンプロジェクトミニ」では、卓上小型筺体のゲーム機が展示されていました。テーブルサイズは小型ですが、コントローラーは普通の大きさですし、ゲームの説明シートも入っており、かつてゲーセンに並んでいた往年のテーブル型筐体の雰囲気がすごく出ています(スリットの入れ方や鍵もいい雰囲気)。サイドを見るとJAMMA標準のコネクタらしきものも出ており、担当者が離席中で詳しい話は聞けなかったのですが、中身も業務用基板っぽいです。

  • こちらは往年のテーブル型筐体を卓上サイズにしたもの。テーブル筺体で遊んだことがあるオジサンの目で見ても、かなり見事に再現しています

  • 横から見ると、テーブルの厚みやサイドにあるヒューズボックス、鍵といったように、かなりのこだわりを感じます