スポンサー企業あれこれ

Maker Faire Tokyo 2020を支えているのはスポンサー企業です。Maker Faire Tokyoは、個人・グループのMakerで物販を行わなければ出展料は不要ですが、企業出展や物販出展の場合は費用がかかります。

大きなブースを設置できるスポンサー企業として出展するには一層の費用が必要。その出展料が、個人やグループのMaker出展や、Maker Faireの運営と発展につながっているのです。スポンサー企業は単に自社の製品をアピールするだけでなく、Makerの取り組みを手伝うような製品やサービスの紹介、特価販売も行っているので見逃せません。

2019年からプラチナスポンサーのベネッセは2020年も同様に、入場口から一番近いスペースにコンテストで選ばれた学校の展示発表スペースを設置。新型コロナウイルス感染症の拡大を予防する観点から、説明員の学生はすべてオンラインでした。

  • 事前コンテストによって選ばれた6校が会場で展示する「School Maker Faire」

  • 2020年は「全国の学校でがんばっている“意欲的な中高生Maker”と会場をオンラインでつなぐ」ということで、リモートプレゼン・Q&Aが随時可能になっていました

  • オンラインの説明員(学生)にはもちろん休憩時間も。ポスター展示だけでも楽しめました

そんなスポンサー企業、太陽インキ製造はMID(立体成型基板)のサンプルを展示。通常プリント基板は平面、フレキシブル基板でも曲げて利用する程度ですが、MIDは立体構造の基板に直接パターンを作る技術です。例として、ミニチュアカーとクリスマスツリーキットを展示しており、車の形をした樹脂に直接部品が載って動くというもの。MIDそのものは以前から提唱されていたのですが、現物を見たのは初めてでした。

  • 立体造形された樹脂の上にメッキを行うことで、基板にもなるというMID。ミニチュアカーの基板ができるまでの工程とともに、実際に動かしていました

  • 上の基板を組み立てて電池を入れると、光るツリーに

セメダインはMaker向けに接着剤をアピール。製作に欠かせない3Dプリンタは、本体の大きさによって作れる物のサイズが限定されますが、写真のバス模型は卓上の3Dプリンタでは作れない大きさ。セメダインは、分割して造形したものを接着剤で貼り合わせるといいとアピールしていました。

  • Makerがよく使うであろう樹脂に対して、最適な接着剤を紹介。写真の素材見本と小冊子を配布していました

  • 2020年は海洋堂が協力して大きな作品見本を展示。卓上の3Dプリンタ(大きなものが作れない)でも、複数の部品に分けて作って、接着剤で1つにして塗装したものです

Seeedは製品展示のに加えてガチャを実施。1から100の番号を付けた「Wio Terminal」のボタンを押すと、商品の画像が表示されるというもの。初日は一人2個まででしたが、1時間もたたずに完売。2日目は一人1個にして、20個ずつ時間限定で行っていましたが、かなりの人気を博していました。

ガチャに使ったWio Terminalは、いわゆる小型コンピュータの一種。小さな本体に2.4GHz帯と5GHz帯の無線LAN、ディスプレイを備えており、Raspberry Piほどのパワーはいらないけど、無乱LANと表示装置が欲しいという人にぴったり。Maker Faire Tokyo 2020でもこれを使った作品を展示しているところがありました。

  • Seeedガチャ。100個のWio Terminalが表示している番号(写真は朝イチに撮ったので全部選べる状態)を伝えると、スタッフがターミナルのボタンを押して、景品の写真が表示されます

  • 筆者の戦利品。Seeeduino XIAO(Arduino互換ボード)とWio Terminalという、いい感じのものが出てきました。作る時間が欲しい……目指せMaker Faire Tokyo出展!

以下、そのほかのスポンサー企業を写真で1枚ずつ紹介します。

  • アソビズムは開発用の教育ロボット「omochim」の体験会を実施。正面にカメラが付いており、マーカーの認識もできるという高機能

  • サイボウズは体験型の展示(居合切りとエンピツバトル)に加えて、さりげなくkintoneの知名度調査を実施中。アンケートはフットスイッチを踏むだけ

  • マクニカはSTEAM教育キットの紹介ですが、会場に説明員がおらず、オンラインで対応していました

  • ソニーはMESHの展示。新製品として充電台が出ていました。2020年の一般ブースではMESHよりもtoioのほうが人気のようでした

  • パナソニックのデザインスタジオ「FUTURE LIFE FACTORY」は、市販の電子部品や身の回りの素材で作れるデバイスのレシピ、「D+IO Product」を紹介。レシピはGitHubで公開されています

  • obnizは無線LANが入っており、インターネットと連携する「make」がしやすいCPUボード。使い方によっては乾電池で1年間動くという、「obniz Board 1Y」が新しく出ているので……買ってしまいました

  • スイッチサイエンスは物販を行っていましたが、説明ボードから用紙を取って精算するスタイルで「モノが目の前にある魔力」がやや薄かったのが残念。せめてパネルに現物が張り付けられていたらよかったのにと思います

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ということで、Maker Faire Tokyo 2020は無事終了しました。2021年も東京オリンピックの関係で8月には開催できないと思いますが、現在、Maker Faire Tokyo 2021の開催日は発表されていません。

日本では、次のMaker Faireは「Ogaki Mini Maker Faire 2020」です(12月5日・6日の2日間、ソフトピアジャパン・センタービルで開催予定)。岐阜県大垣市で隔年開催されており、前回は140組以上のMakerが出展しています。今回は30組の出展に限定し、来場者も1時間ごとの入場指定というように、今回のMaker Faire Tokyo 2020以上の制限になるようです。