iPhoneやApple Watchで使える、「Apple PayのPASMO」が10月6日から利用できるようになりました。すでにSuicaを登録している人も、PASMOをApple Payに追加で登録できます。筆者も家でサクッと移してみました。
PASMOカードとモバイルSuicaの両方を使っていたワケ
普段筆者は、東京メトロの路線を利用する時はPASMOのカードを使い、それ以外の路線ではモバイルSuicaを使っています。なぜこんな面倒なことをするかというと、それぞれの乗車ポイントを貯めているから。
東京メトロでは平日に(事前登録した)PASMOを使って乗車すると3ポイント、土日祝ならさらに4ポイントが上乗せされ、合計7ポイントの「メトロポイント(メトポ)」が貯まります。そしてJR東日本の在来線を「JRE POINT」サイトに登録したモバイルSuicaで乗車すると、電車賃50円ごとに1ポイントの「JRE POINT」が貯まるのです。
いずれも定期券区間外の利用に限りますが、もともと筆者は定期券を持っていません。しかも仕事柄、いろいろな場所に行くので、この地道なポイント獲得が意外に侮れないのです。コロナ以前は毎月、合計して150円相当の乗車ポイントが貯まっていました。使い分けはやや面倒ですが、年間2,000円相当のポイントが電車に乗るだけで貯まるのなら、筆者的には全然アリです。
ただ、PASMOはプラスチックカードで持っていたので、残高がなくなったら券売機でチャージしなくてはいけません。それが面倒で多めにチャージしていたものの、そろそろチャージがなくなりそうというタイミングから、使う機会が減ったこともあり利用できずにいました。
オートチャージできるクレジットカードに加入する方法もあるのですが、メイン利用はモバイルSuicaなのでちょっとためらいが……。2020年3月18日からAndroid向けの「モバイルPASMO」が始まりましたが、筆者のAndroidスマホはモバイルPASMO・モバイルSuicaどちらか1枚のみ対応で、モバイルPASMOも使えずにいました。
といったところに「Apple PayのPASMO」の登場です。対象端末の1つであるiPhone 8は持っていたので、早速、取り込もうと思ったのですが、iOSがアップデートされていなくて、最初はスタート地点でつまづき。ちなみにiOSのバージョンは、「設定」→「一般」→「情報」で確認できます。バージョンアップしたい場合は、「設定」→「一般」→「ソフトウェア・アップデート」→「ダウンロードしてインストール」と操作します。
「Apple PayのPASMO」の対象端末 |
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iOS14.0以降がインストールされた、iPhone 8以降のiPhone。Apple Watchで利用する場合はSeries 3以降で、「watchOS7.0」がインストールされているもの |
PASMOカードをApple Payにサクッと取り込み
iOSのバージョンを14.0.1にアップデートすると、「Wallet」アプリの「+」をタップして「続ける」を選択。すると、Apple Payに追加するカードの種類に、PASMOの項目が追加されています。
PASMOを選ぶとチャージ画面に。筆者の場合は手持ちのカードからの乗り換えになるので、「お手持ちの交通系ICカードを追加」を選んで進みます。
PASMO ID番号と生年月日を設定し、取り扱い規則に同意したら、いよいよ残高の取り込みです。PASMOカードの上にiPhoneを載せるだけで、簡単に登録できました。
アクティベートする時間がややあって、残高520円のPASMOカードがApple Payに取り込まれました。この残高にはPASMOカードを利用し始めた時に支払った500円のデポジットも含まれています。しばらく使っていなかったので残高が心配でしたが、結局20円しかなかったことがわかりました。
すでにSuicaが入っていてもPASMOを登録可能
チャージは100円以上であれば1円単位で可能。これで残高の心配をすることなく、手元でPASMOチャージができます。筆者は記名PASMOを利用していましたが、無記名PASMOやPASMO定期券も取り込みができます(※注:クレジットカード一体型PASMOなど、一部移行できないPASMOカードもあります)。なお、取り込んだPASMOカードはもう利用できないので、破棄することになります。
PASMOを新規で発行する場合は、Apple Payに追加するカードでPASMOを選んだ後、チャージする金額を入力します。この場合、1,000円以上からになり、1円単位でチャージが可能です。Apple Payに登録できるカードはiPhone 8 やiPhone 8 Plus以降、Apple Watch Series 3 以降では12枚まで。それ以前でも8枚まで追加できます。
もちろん、すでにSuicaが入っていても登録でき、PASMOを2枚登録して、仕事用とプライベート用に使い分けることも可能です。
オートチャージの設定もiPhoneでできる
通常、Apple Payで支払う場合、利用するカードをタップしたあと、Touch IDやFace IDでの認証が必要。でも乗車時にスムーズに利用したいなら、「エクスプレスカード設定」することができます。
「エクスプレスカード設定」をするには、登録したいPASMOを開き、右上のメニューをタップ。「エクスプレスカード設定」で、PASMOを選びます。エクスプレスカードに設定すれば、「Wallet」アプリを立ち上げなくても、改札でiPhoneをタッチするだけで通過できます。これは店舗で利用する場合も同様。
また、PASMOへのオートチャージができるクレジットカードをApple Payに登録すれば、いくら以下になったらいくらチャージすると、自分で設定できます。
1台でSuica / PASMOが使い分けられ、「メトポ」も対応
かくして俄然、便利になった筆者のPASMO。今度からは東京メトロ沿線ではPASMOが入ったiPhoneをかざし、それ以外ではSuicaが入ったAndroidスマホを利用しようと思います。
そのほか、Suicaをエクスプレスカードに設定して、東京メトロの路線では、Apple PayでPASMOを支払える状態にして改札を通るようにすれば、iPhoneだけでPASMOとSuicaを使い分けることもできそうです。筆者はApple PayにSuicaとチャージ用のビューカードを登録しているので、オートチャージも可能です。
ただ、「JRE POINT」サイトには最大20枚までSuicaを登録できるものの、モバイルSuicaとして登録できるのは1枚だけ。つまり、Androidスマホか、Apple Payか、楽天ペイのSuicaのうち、乗車ポイントを付けられるのは1枚だけということ。筆者の場合はメイン端末がAndroidだけに、やはりスマホ2台でSuicaとPASMOを使い分けするのが良さそうですが、iPhoneユーザーの人ならぜひ1台でSuicaとPASMOの使い分けを試してみて欲しいです。
なお、「メトポ」サイトに登録できるPASMOは1枚だけで、筆者の場合はApple Payへの移行で特に番号の変更をする必要はありませんでした。「マイナポイント」の場合、すでに「マイナポイント」にPASMOを登録している人は同じPASMO ID番号のPASMOを利用しないと、ポイントが付かなくなるのでご注意を。Apple PayにPASMOを登録したときは、ID番号を必ずチェックしてみてください。
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