AIなどの最新技術を搭載した斬新なIoT調理家電や、本物の肉以上に食欲を満たせ健康にもよい植物性代替肉など、“食”の分野に最新テクノロジーを持ち込む「フードテック」が海外を中心に話題になっています。世界のスタートアップ企業が考案したフードテック関連の最新機器や食材、サービスをいち早く製品化して日本でも導入すべく、日本の大手食品メーカーやスタートアップ支援企業が立ち上がりました。

  • フードテックのスタートアップを支援する取り組み「Food Tech Studio - Bites!」がスタート。イラストに描かれているようなIoT調理家電がお目見えする可能性は高い

スタートアップ企業の支援を手がけるスクラムベンチャーズが9月30日に発表した「Food Tech Studio - Bites!」は、世界中のフードテック関連のスタートアップ企業を募り、日本の食品メーカーと協業して製品化につなげるプログラム。日本からは、日清食品やニチレイ、伊藤園、ユーハイム、不二製油、大塚ホールディングスなど、食品製造で独自の技術を持つ大手食品メーカーが参加します。

  • 国内の食品会社などが集結し、世界中のフードテックのスタートアップをサポートする

プログラムでは、フードテック技術を持つスタートアップ企業を2020年11月まで世界から募り、選考で選ばれたスタートアップ企業は前述の食品メーカーや国内外の識者と協力し、製品化を進めることになります。

日本ではあまり知られていませんが、米国などの海外では「インポッシブルバーガー」や「ビヨンドザミート」など、大豆などの植物性素材のみを用いた植物性代替肉が若年層を中心にヒットしています。焼き色などの見た目、香り、味は本物の肉とそん色ないにもかかわらず、動物由来の肉や脂は一切用いていないのでコレステロールがなく、大豆などを用いているので栄養価が高いのがポイント。家畜を育てるよりも環境負荷が低く抑えられることからも、地球に優しい食材としても注目されています。

  • 米国で若年層を中心に支持を得ている植物性代替肉「インポッシブルバーガー」。写真は生の状態だが、普通の肉と見た目もほとんど変わらない

  • インポッシブルバーガー(左)と和牛ハンバーグ(右)。焼くごとに色が変化して焦げ目が付く様子は、本物の肉そのもの

  • インポッシブルバーガー(左)と和牛ハンバーグ(右)。味、食感も本物の肉とほとんど変わらないが、インポッシブルバーガーは肉を超えるべく進化を続けており、これで完成ではないのがポイント

このような人間にも地球にも理想的な食材だけでなく、ITの力で失敗せずに理想的な調理ができる家電など、これまでにない食材や家電、サービスが登場することが期待できます。人間の生活に欠かせない“食”がどのような変化や進化を見せるか、楽しみにしていましょう。