米Amazonが9月25日(日本時間)、スマートスピーカーの「Echo」をはじめとした新製品を発表しました。音声アシスタントAlexaの進化やFire TVに加え、ゲームプラットフォームの「Luna」、自宅や車のセキュリティ製品「Ring」シリーズなど、幅広い製品・サービスが発表されており、一部は米国から順次展開ですが、日本でも9月30日のFire TV Stickを皮切りに、Echoシリーズも順次発売されます。

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    球形になったスマートスピーカー「Echo」など、さまざまなAmazon新製品が登場

球形で音質もアップした「Echo」、人を追尾して動く「Echo Show 10」

「完全に再設計した」したという新世代のEchoは球体型のデザインを採用。前面にはファブリック素材を採用して、3色のカラーバリエーションを用意しています。スマートホームハブ機能として近距離無線通信規格のZigbeeに対応。対応のスマートホーム製品をコントロールできます。BLE(Bluetooth Low Energy)も搭載するほか、対応機器のセットアップを簡単に行える「Amazon Sidewalk」にも対応しています。

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    新Echo。Alexaの反応を示すLEDは底部にある

スピーカー性能も向上させており、3インチのウーファーと2つのツイーターを内蔵し、ドルビーのステレオサウンドを楽しめるようになっています。既存のHi-Fiスマートスピーカーの「Echo Studio」にも搭載されていた、設置した空間の音響特性を感知して最適な音質で再生するよう微調整する機能も備えました。

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    新Echoは2つのツイーターなどを搭載し、音質も向上

新たに、Amazonが開発した機械学習を高速化するSoCとして、第1世代の「AZ1ニューラル・エッジ・プロセッサ」を搭載。20倍の低消費電力化を実現し、言語処理は2倍高速化、メモリ使用量は85%削減したとしています。

ローカルで自然言語処理を行うため、より高速にAlexaが反応するようになったそうです。例えばAlexaに照明を付けてもらおうとすると、実際に照明が付くまで間があり、ユーザーの不満に繋がっていたと言います。これを「数百ミリ秒削減した」とのことです。

ただし、この高速言語処理はまず米国からのスタート。日本語対応も計画されていますが、提供開始時期は未定とされています。

Echoシリーズではさらに「Echo Dot」「Echo Dot with clock」も発表。どちらもEchoと同じく球体のデザインを採用しており、手のひらに収まるコンパクトサイズながら、パワフルな音質を実現したと言います。with clockは、LEDによる時計表示に対応しています。

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    Echo dotも球形デザインになった

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    LEDで時計などを表示してくれるEcho Dot with clock

米国では「Echo Dot Kids Edition」も用意。外観は同じ球体ですが、パンダと虎の絵柄が描かれたかわいらしいデザインを採用しており、子供の声を認識すると子供向けの設定に自動的に切り替え、ペアレンタルコントロールが適用されます。子供の学習に役立つ機能を備え、子供と一緒に読書を音読する「Reading Sidekick」などを搭載します。こうした機能は今後数カ月で展開されますが、現時点で日本での発売はアナウンスされていません。

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    パンダと虎のイラストが描写されたEcho Dot Kids Edition。残念ながら日本での発売はアナウンスされていない

ほかにも、10型のディスプレイを搭載した「Echo Show 10」が登場。ディスプレイ前面に内蔵した1,300万画素カメラが人物を認識し、ディスプレイをその方向に自動回転してくれるため、常に正面からディスプレイを見られるそうです。ブラシレスモーターで回転音も静か。ビデオ通話時も、自動フレーミング機能で被写体を追尾してくれます。

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    10型ディスプレイを搭載したEcho Show 10

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    カメラを搭載し、ビデオ通話も可能。移動しても顔を追尾してくれる

2つのツイーターとウーファーを内蔵し、Echoと同様に設置場所の音響特性に応じたサウンドを提供。クックパッドのレシピを見たり、NHKのフラッシュニュースを見たり、もちろんAmazon Primeビデオの映像視聴も可能です。今後Netflixにも対応するそうです。

外出先からカメラにアクセスして見守りカメラとしての利用もできます。Zigbee対応スマートホーム製品のコントロール機能も搭載しています。

Echo製品はKids Editionを除いて日本でも発売されます。

Alexaはさらに自然な会話が可能に

Alexaでは、「自然な対話」が強化されました。普通、人間の会話ではニュアンスが異なった場合に質問をして会話を修正します。Alexaも同様に「自己学習」を行います。例えばAlexaが反応を間違えた際に、「Alexa、止めて」「Alexa、それは違う」などと伝えると、その情報を蓄積していきます。これをさらに強化し、Alexaが理解できない場合に質問する機能が追加されました。

例えば、「Alexa、エアコンを夏の快適な温度にして」と言った場合、Alexaは「夏の快適な温度とはどういう意味ですか?」と聞き返します。それに対して「26度」と教えると、Alexaがそれを学習し、次からは希望通りに設定してくれます。

こうしたAlexaの強化は、さらにウェイクワードなしで複数の人とAlexaが会話することを可能にします。最初に「Alexa、会話に参加して」というと、それ以降は「Alexa」というウェイクワードなしで、Alexaとの会話が継続します。

「Mikeのピザ屋のスペシャルピザが食べたいんだけど」
「今日のスペシャルピザには次のピザがあります。チーズ乗せ、肉好き、ベジタブル……」
「それがいい」
「OK、サイズは?」
「ミディアム」
「OK、ではスペシャルピザのベジタブル、Mサイズを注文します」
「ミディアムで十分かな?」
「私は空腹」
「私もかなり空腹」
「やっぱりラージに変更して」
「OK。18ドルです。注文しますか?」
「お願い」
「待っている間、映画を観ない?」
「いいね。オススメの映画はある?」
「お勧めの映画は……」

たとえば上記のような会話があったとします。どれがAlexaの返答か分かるでしょうか。返答の途中で「それ」と指示したり、2人が会話した結果でサイズ変更を求めても全てAlexaは認識しています。

これを実現するためには「いくつかのチャレンジがあった」と言います。人間が会話する際には、お互いで話しているのか、Alexaに向けて話しかけたのか判断する必要があります。音響学、言語学などを駆使してAlexaは自身に向けられた言葉かどうかを判断し、全体の会話を考慮して最適な反応を返すようにするそうです。

こうしたAlexaの自然な対話が日本語で可能になるかどうかは現時点で明らかにされていません。