米NVIDIAは9月1日(現地時間)、新世代のデスクトップPC向けGPU「GeForce RTX 30シリーズ」を発表した。8nmプロセス(Samsung 8Nカスタム)で製造されるAmpereアーキテクチャをベースとしたGPUで、トランジスタ数は280億個。ラインナップはGeForce RTX 3090、GeForce RTX 3080、GeForce RTX 3070の計3モデル。まずは9月17日にRTX 3080からリリースする。
性能と価格で前世代を圧倒するRTX 3080とRTX 3070
GeForce RTX 30シリーズの最初の製品としてリリースされるのがGeForce RTX 3080だ。北米市場での参考価格は699ドルで発売日は9月17日。CUDAコア数は8704基で、動作クロックはブースト1.71GHz、TDPは320W、PCI Express 4.0をサポートし、グラフィックスメモリには10GBのGDDR6Xを採用した。前世代のGeForce RTX 2080と比較すると、浮動小数点演算性能で2倍、かつ消費電力あたりの性能でも1.9倍、レイトレーシング処理やAI処理でも2倍のスループットを実現しているという。
GeForce RTX 3070は499ドルで10月に発売。CUDAコア数は5888基で、動作クロックはブースト1.73GHz、TDPは220W、PCI Express 4.0をサポートし、グラフィックスメモリに8GBのGDDR6を採用している。こちらも性能向上が著しく、この価格で前世代のGeForce RTX 2080 Tiと同等以上の性能を発揮するとしている。
RTX 3090は8K60fpsでレイトレゲームが楽しめる化け物GPU
そして軒並み前世代を凌駕するGeForce RTX 30シリーズの中にあっても、段違いの存在感を示していたのがGeForce RTX 3090だ。物理的な大きさから段違いで、大型冷却ユニットを備える3スロット厚のグラフィックスカードは圧巻。CUDAコア数は10496基で、動作クロックはブースト1.70GHz、TDPは350W、PCI Express 4.0をサポートし、グラフィックスメモリは24GBのGDDR6X。性能についてはTITAN RTXの1.5倍とされ、8K解像度にてリアルタイムレイトレーシングとDLSSを有効にして60fpsでゲームをプレイできる水準としており、だいぶ突き抜けた感がある。北米市場では9月24日に発売。性能が性能だけに価格も1499ドルと突き抜けてはいるが、TITAN RTXを考えると常識的な価格にも見える。
■GeForce RTX 30シリーズの主なスペック | |||
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モデル | RTX 3090 | RTX 3080 | RTX 3070 |
CUDAコア数 | 10496基 | 8704基 | 5888基 |
ブーストクロック | 1.70GHz | 1.71GHz | 1.73GHz |
メモリタイプ | GDDR6X | GDDR6X | GDDR6 |
メモリ容量 | 24GB | 10GB | 8GB |
消費電力 | 350W | 320W | 220W |
ほか、今回のGeForce RTX 30シリーズの発表にあわせて、今後使えるようになる新技術・機能もいくつか公開された。ディスプレイのG-SYNCと組み合わせることもできる描画ラグ軽減技術「NVIDIA Reflex」や、AIも活用したゲームプレイ動画の配信機能「NVIDIA Broadcast」、既存ゲームエンジンを使って個人でオリジナルストーリーの映像作品をつくる(海外ではそういったニーズが割とあるらしい)ための「NVIDIA Omniverse Machinima」などだ。
注目したいのは「NVIDIA RTX IO」技術。ハイクオリティなオープンワールドゲームなどをはじめ、大容量のゲームデータを読み込まねばならないゲームは多いが、たとえ最新の高速SSDや多コアCPUを使ったとしても、現状ではロードとゲームアセットの解凍における「途切れのないゲーム体験」で、SSDとCPUがボトルネックになってしまうのは仕方のないことだった。このNVIDIA RTX IOでは、ロード画面でアイドル状態のGPUを使い、CPUの処理を肩代わりする。CPUの負荷は減り、I/Oパフォーマンスが向上、データの高速なロードと解凍を実現する。この技術はMicrosoftの次期DirectStorage APIと組み合わせることで使えるようになるとしていた。