半導体材料市場調査およびコンサルティング会社である米Techcetは、2020年の半導体製造用シリコン(Si)ウェハの需要は、新型コロナの感染拡大と米中貿易戦争の中、前年比1.5%増となるとの見通しを発表した。

それによると、300mmならびに200mm以下、そしてSOIを含む2020年のSiウェハ市場規模は前年比ほぼ横ばいの約120億ドルで、2024年までの年平均成長率(CAGR)は約5%ほどとしている。

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    SOIを含むSiウェハ市場推移 (出所:Techcet)

同社シニアアナリストであるDan Tracy氏(前SEMI米国本部市場調査ディレクタ)は「今後数年間で予想されるSiウェハに対する需要をけん引するのはSOIをベースとしたRF通信、ハイエンドロジックデバイス、高信頼性車載機器などといったアプリケーションであり、Techcetでは2021年には300mmのエピウェハの供給は厳しくなるものの、全体的には健全な需給バランスが続く」との見方をしめしている。

また、新型コロナウイルスによるSiサプライチェーンの混乱は、2020年8月時点でほぼ収まっているとしており、これまでの主な影響としては、製造装置メーカーの社員が出張制限によって設置先の工場での作業に支障をきたし、計画されていたウェハ生産能力の増強の速度が鈍化したことであるとも指摘している。

なお、現在出荷されているSiウェハの大部分は300mmウェハであるが、200mmおよび150mmのウェハも過去、一度大きく落ち込んだが、現在では安定した市場規模を形成しており、Techcetでは今後数年間の見通しとして、150mmウェハの需要は1%弱減少するものの、200mmウェハの需要は1%以上高まりを見せると予測している。