半導体市場動向調査会社の米IC Insightsは8月11日(米国時間)、2020年上半期の半導体企業売上高ランキングトップ10を発表した。同社のランキングは、ICのほかオプトエレクトロニクスデバイス、センサ、ディスクリートデバイスを含んだものとなっている。

トップ10社の本社別内訳は6社が米国、2社が韓国、台湾と中国が1社ずつという構成になっており、業務形態別内訳はIDM5社、ピュアファウンドリ1社(TSMC)、ファブレス4社となっている。

  • IC Insights

    2020年上半期の半導体企業売上高ランキングトップ10 (出所:IC Insights)

業界全体の成長率よりも高い伸びを示すトップ10社

2020年上半期の半導体業界全体の成長率は前年同期比5%増であったが、トップ10社の売上高合計額に限れば同17%増と、全体の3倍を超える勢いで成長した。中でもTSMC、NVIDIA、HiSiliconの3社が前年同期比で40%を超す成長率を見せていること注目に値する。

順位別に見ると1位のIntelから7位のQualcommまでは前年同期の順位から変化はないが8位に、前年同期10位のNVIDIAがランクアップ。代わりに9位に同8位であったTexas Instruments(TI)が下がった。

そしてもっとも注目すべきは、10位にHiSilicon(Huaweiの半導体ファブレス設計子会社)がランクインしたことだろう。同社は前年同期では16位であったが、2020年上半期は前年同期比49%増という躍進を遂げ10位まで順位をあげてきた。その結果、前年同期10位であったInfineon Technologiesは11位(ランク外)と順位を下げる結果となった。

HiSiliconの売上高の90%以上が親会社であるHuaweiに向けた販売によるもので、Huaweiの成長とともにHiSiliconも成長し、今や中国半導体企業の躍進のシンボルともなっている。しかし、米国は半導体製造メーカーが、米国製の半導体製造装置を用いてHuaweiおよびHiSiliconの半導体を受託製造することを禁止する制裁措置を5月に発表。TSMCをはじめとするファウンドリには仕掛分への対応として120日間の猶予が与えられ、9月11日までの納品は認めているものの、その後の納品を禁じており、下半期の業績に大きな影響を与える可能性が高い。Huaweiのコンシューマ製品部門のプレジデントであるRichard Yu氏は先日、中国内のイベントで「2020年はHuaweiの先進的なスマートフォンにハイエンドKirinチップが搭載される最後の年になってしまいそうだ。このままでは、スマートフォンを生産しようにもチップが入手できなくなり、供給もできない」と述べたと伝えられている。

なおIC Insightsのランキングには、他の市場調査会社のランキングとは異なり専業ファウンドリであるTSMCが含まれているが、これについて同社は、ランキングを各社の市場シェアを示すものではなく、トップサプライヤリストを調査レポートのクライアントに提供すれためのものとしている。この結果、半導体売上高については、ファウンドリと製造委託先の半導体企業とで2重にカウントされ、水増しされることになることに注意する必要がある。