日本HPから、クリエイター向けノートPC「ENVY 15」が登場。第10世代Intel CoreプロセッサにNVIDIA製ディスクリートGPUを搭載することで、クリエイター向けPCとして納得の優れた性能を発揮するのはもちろん、スタイリッシュなボディも魅力。今回は、ENVY 15の最上位モデルとなる「ENVY 15 15-ep0003TX」のハード面を中心に紹介する。

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    日本HPのクリエイター向け15.6型ノートPC「ENVY 15」

高級感あふれるスタイリッシュなボディ

日本HPの個人向けノートPCでプレミアムラインとなる「ENVY」シリーズ。従来のENVYシリーズはプレミアムモバイルPCという位置付けだったが、新しく登場したENVY 15はクリエイター向けの高性能ノートPCとして一新された。

近年は、個人でも写真や動画を趣味としたり、YouTubeなどで動画配信を行うユーザーが増えており、個人向けPCでも映像を快適に扱える優れたスペックの製品ニーズが高まっている。そこで日本HPは、ENVYシリーズを写真や動画を扱うハイアマチュアやプロのクリエイター向けの製品へとリニューアルし、新たに15.6型ディスプレイ搭載のクラムシェルモデル「ENVY 15」を投入した。

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    シンプルかつスタイリッシュなデザインが特徴。ディスプレイが狭額ベゼル仕様で本体の小型化に貢献している

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    天板。フラットかつシンプルなデザインながら、アルミニウム合金ボディで高級感がある。中央のHPプレミアムロゴもシンプルで好印象

もともとENVYシリーズは、プレミアムラインとして性能だけでなくスタイリッシュなボディにもこだわっていたが、その点はENVY 15も受け継いでいる。ENVY 15はアルミニウム合金のボディを採用し、全体的にシンプルではあるが、細部まで気品を感じる仕上がりだ。天板にはHPのプレミアムロゴがあるが、そちらも目立つものではなく、モノとしてのデザインも重視するクリエイターも納得のボディではないだろうか。

本体サイズはW358×D237×H18mmと、15.6型ノートPCとしてまずまずコンパクト。これは、ディスプレイ周囲が狭額ベゼル仕様であることが大きい。重さは約2.15kgとやや重いものの、クリエイター向けの高性能ノートPCと考えれば十分に納得できる範囲だ。

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    本体正面

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    左側面。後方がやや高くなっているが、本体の高さは突起部を除いて18mmとまずまずの薄さ

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    背面もシンプル

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    右側面

クリエイターも納得の高性能スペック

ENVY 15は、もちろんスペックも充実している。今回試用したENVY 15の最上位モデル「ENVY 15 15-ep0003TX」のスペックは以下にまとめたとおりだ。

CPUにはCore i9-10885H、ディスクリートGPUにはGeForce RTX 2060 with Max-Q Designを採用。CPUは8コア16スレッド処理に対応するなど、強力な処理能力を持つ。ディスクリートGPUはクリエイター向けながらQuadroシリーズではないが、ハイアマチュアや映像系クリエイターが利用するアプリケーションではGeForceシリーズによるアクセラレーションが有効となるものが多い。ENVY 15自体も個人ユーザーをターゲットとしていることから、GeForce RTX 2060 with Max-Q Designの採用は理にかなっているといえる。

メモリが標準で32GBと余裕の容量なのも非常にありがたい部分。写真や映像の編集などはメモリ容量が快適さに直結するため、標準で大容量のメモリを搭載している点は大きな魅力となる。

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    底面。フットプリントはW358×D237mmと、15.6型ノートPCとしては比較的コンパクト

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    重さ公称で約2.15kg、実測では2,054gと公称より100gほど軽かった

内蔵ストレージも注目すべき部分。ストレージがSSDなのは最近では基本だが、ENVY 15は容量1TBのPCIe/NVMe SSDを2基搭載し、さらにRAID 0構成とすることで大容量と超高速アクセスを実現。そのため、ストレージの一部をキャッシュとして利用しなければならないほどメモリを消費したとしても、極点に大きな性能低下を起こさず快適に使い続けられる。もちろん容量も余裕があるため、大容量となりがちな4K動画も(限度はあるが)気兼ねなく扱えるだろう。

  • ■「ENVY 15 15-ep0003TX」の主なスペック
  • CPU:Core i9-10885H(2.4/5.3GHz)
  • メモリ:DDR4-2933 32GB
  • 内蔵ストレージ:PCIe SSD 2TB(1TB SSD×2、RAID 0)
  • ディスクリートGPU:GeForce RTX 2060 with Max-Q Design(VRAM 6GB)
  • 光学ドライブ:なし
  • ディスプレイ:15.6型有機EL(3,840×2,160ドット)、タッチ対応
  • ネットワーク:IEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax準拠無線LAN、Bluetooth 5.0
  • 本体サイズ/重さ:W358×D237×H18mm、約2.15kg
  • OS:Windows 10 Home 64bit

広色域表示対応の15.6型4K有機ELパネル

ENVY 15は15.6型のタッチ対応ディスプレイを搭載しているが、今回試用した最上位モデルを含め、上位モデルでは液晶ではなく有機ELパネルを採用している。有機ELパネルは液晶に比べて発色性能やコントラスト比に優れ、クリエイターをターゲットとしているENVY 15 15-ep0003TXにとっても最適のディスプレイといえる。そして、有機ELパネルだけでなく、細かな部分もしっかりクリエイター向けらしい仕様だ。

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    ディスプレイは4K対応の有機ELパネル。DCI-P3カバー率100%の広色域表示に対応し、とても鮮やかな発色はさすがの一言

表示解像度は4K(3,840×2,160ドット)で、4Kコンテンツにも問題なく対応できる。ディスプレイは出荷前に全個体でキャリブレーションを実施し、ばらつきのない発色を実現するとともに、DCI-P3カバー率100%の広色域表示に対応。プロの映像クリエイターも制作に使える広色域だ。実際に写真や動画を表示してみても、非常に鮮やかな発色や、明るい場所から暗い場所までメリハリ強く表示できる点は、さすが有機ELパネルだと感じる。

専用ツール「HP Display Control」を使うと、表示モードをsRGB、Adobe RGB、DCI-P3へと瞬時に切り替えられ、コンテンツに応じて最適な色空間で作業が行える。こういった配慮もクリエイターにとってうれしい機能だろう。

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    専用ツール「HP Display Control」を利用して、画面の表示モードをsRGB、Adobe RGB、DCI-P3に変更できる

そのほか、ディスプレイは10点マルチのタッチ操作に対応している。クラムシェルPCということで、ペンへの対応はうたわれていないが、タッチ対応で操作性を高めているのもポイントが高い。

気になる点があるとすれば、15.6型で4K表示ということで、等倍表示にすると文字の視認性が大きく低下するといったことぐらいだ。そちらも表示倍率を調節することで改善可能なので、大きな問題とはならないだろう。オフィスや自宅での作業なら、より大画面の外部ディスプレイを使うことでもカバーできる。

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    ディスプレイは約135度まで開く

テンキーレスのゆったり配列キーボードで入力も軽快

キーボードはアイソレーションタイプ。キーボード面がボディ一体型となっているためすっきりとした印象で、このあたりも高級感を高めている。また、標準でキーボードバックライトも内蔵しているので、薄暗い場所での利用も安心だ。

15.6型ノートPCではテンキーを搭載する製品も多く、そうするとキーボードはやや窮屈になりがちだが、ENVY 15はテンキーレスのためゆったりしている。もちろん主要キーのキーピッチは約19mmのフルピッチとなっており、Enterキー付近まで均一なピッチを確保しているので、タッチタイプにもまったく問題ない。また、しっかりとしたクリック感と適度な深さのストロークがあるため、全体的に軽快な打ち心地という印象だった。

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    テンキーレスのアイソレーションキーボードを搭載。キーボード面一体型ですっきりとしている

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    主要キーは19mmフルピッチ

ただ、気になる点もある。例えば、Enterキーの右に一部キーを配置している点。慣れの問題や気にならない(むしろ独立キーが多いのは◎)という人もいるが、やはりEnterキーの右に間隔を置かずにキーを配置するのは、筆者としてはどうしても気になってしまう。

BackSpaceキーのすぐ上が電源ボタンなのも気になった。BackSpaceキーは頻繁に使うこともあって、間違って電源ボタンを押してしまうかもしれない。電源ボタンは少し離れた場所に配置してもらいたかった。

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    Enterキー付近も含めてほぼ均一のピッチを確保しており、タッチタイプも余裕だ

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    キーボードバックライト搭載で暗い場所での利用も快適

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    Enterキー右にキーを配置している点と、BackSpaceキーのすぐ上に電源ボタンを配置している点は残念

ポインティングデバイスは、クリックボタン一体型のタッチパッド。キーボード手前の一般的な場所で、パッドの面積が十分に広い。ガラス素材による滑らかな指触りと相まって、扱いやすさは申し分ない。おそらく通常はマウスを使うことが多いと思うが、例えばモバイルユースなど、タッチパッドを使う場面でもストレスなく操舵できるだろう。しかもENVY 15はディスプレイにもタッチパネルを搭載しているため、画面のタッチ操作も加えると、どういった場面でも思い通りの操作ができそうだ。

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    タッチパッドは面積が広く、ガラス素材によって利用で滑らかな指触り

外部インタフェース類とBang & Olufsen監修の高音質スピーカー

本体側面のポート類は、左側面に電源ポートとUSB 3.0×1、HDMI 2.0×1、Thunderbolt 3×2(USB Type-C端子)、microSDカードスロット。右側面には、USB 3.0×1とオーディオジャックを用意している。Thunderbolt 3のUSB Type-C端子×2基は、USB Power Delivery(USB PD)、DisplayPort 1.4 Alternate Modeに対応しているため、映像出力とENVY 15への電力供給をUSB Type-Cケーブル1本で行える。

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    左側面には電源ポートとUSB 3.0×1、HDMI 2.0×1、Thunderbolt 3×2、microSDカードスロット

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    右側面にはUSB 3.0×1とオーディオジャック

ただし、CPUやディスクリートGPUをフルパワーで利用する場合には、200Wという高出力の付属ACアダプターの利用が基本。この付属ACアダプターは高出力ということもあって、大きく重い。ENVY 15はモバイル向きというわけではないため、それほど大きな問題ではないはずだ。

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    付属ACアダプターは200Wと高出力のためかなり大きい

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    ACアダプターの重さは、付属の電源ケーブル込みで実測645.5gと重い

無線機能は、IEEE 802.11ax(Wi-Fi 6)準拠の無線LANとBluetooth 5.0を標準搭載。生体認証機能はWindows Hello対応の指紋認証センサーだ。指紋認証センサーはキーボードのカーソルキー横に配置している。

そのほかの特徴としては、高音質スピーカーの搭載だろう。本体下部の左右側面付近にステレオスピーカーを搭載しているが、これはオーディオブランドのBang & Olufsen監修の高音質スピーカーとなっている。実際の音も非常にクリアで、ボリュームを大きくしても音が割れることなく、ノートPCとしてもトップクラスの高音質スピーカーと感じた。特に映像を扱う場合には音も重要な要素となることを考えると、この点はうれしい。

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    Windows Hello対応の指紋認証センサーをキーボードのカーソルキー横に

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    ディスプレイ上部には約92万画素のWebカメラ

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    底面の前方左右にBang & Olufsen監修の高音質ステレオスピーカーを搭載。ノートPCの内蔵スピーカーとしてはトップクラスの音質

スマホと連携してファイル転送を楽に行える

ENVY 15にはオリジナルアプリ「HP QuickDrop」がプリインストールされており、ENVY 15とスマホと連携して簡単にファイルをやりとりできる。HP QuickDropは、iOS・Androidに対応し、スマホにHP QuickDropアプリをインストールしてENVY 15とペアリングさせと、双方の間で簡単にファイル転送が可能となる。

実際に利用してみたが、ペアリングもPCに表示されているQRコードをスマホ側のアプリで読み取るだけと手軽だ。写真や動画の転送はWi-Fi経由のため高速など、かなり便利に使える。

最近はスマホで撮影した動画をSNSに投稿する機会が多いと思うが、HP QuickDropを利用してENVY 15に転送して編集することで、より凝ったコンテンツを制作できるようになる。そういった意味でも、HP QuickDropの存在はENVY 15を活用する幅を広げてくれる。

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    ENVY 15に付属しているスマホ連携アプリ「HP QuickDrop」

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    スマホで撮影した写真や動画を、ENVY 15から選択して簡単かつ高速に転送。もちろんENVY 15からスマホへの転送も同様だ

ほか、ENVY 15のアプリまわりの特徴となるのが、Adobe Creative Cloudを3カ月間無料で使えるキャンペーンが行われている点。2020年12月31日までの期間限定だが、これからクリエイティブな作業をPCで始めたいと考えている人にとって、手軽にAdobe製アプリを利用できるという意味で、うれしい特典だろう。

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    Adobe Creative Cloudが3カ月間無料となるキャンペーンも大きな魅力

納得のパワーで重い動画編集も軽快

では、ベンチマークテストの結果を紹介していこう。ENVY 15はCPUやディスクリートGPUの動作モードを専用ツール「HP Command Center」で変更できるが、今回は最も高い性能を発揮する「パフォーマンスモード」に設定してテストを行っている。

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    専用ツール「HP Command Center」にて、動作モードを「パフォーマンスモード」に設定してテスト

まずはPCMark 10の結果だが、高いスコアはさすがハイエンドモデル。これだけの性能が発揮されるなら、画像や動画の編集作業も軽快に行えるはずだ。

結果スコアの下には、テスト実行中のCPU動作クロックの推移を示すグラフで表示されているが、そちらを見ても安定して高クロックで動作していることがわかる。これは、CPUやディスクリートGPUの冷却がしっかり行われているからだ。

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    PCMark 10の結果。クリエイター向けノートPCとして納得の高いスコア。CPUの動作クロックも終始、高クロックで安定している点も特徴だ

ENVY 15では、ベイパーチャンバーと大型空冷ファン×2基を組み合わせた、ゲーミングPCに匹敵する冷却システムを採用。CPUやディスクリートGPUの熱を、効率的に冷却できるようになっている。ベンチマークテストの結果からも、冷却システムがしっかり働いているといっていいだろう。

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    ENVY 15はゲーミングPCと同等の高性能冷却システムを搭載しており、安定してCPUやディスクリートGPUのパフォーマンスが引き出せる

次にCPUの処理能力を計測するCINEBENCH R20の結果だが、非常に優れたスコアとなった。「CPU」のスコアが「3358」、「CPU(Single Core)」のスコアが「503」だ。搭載CPUのCore i9-10885Hは8コア16スレッド処理に対応しており、マルチスレッド処理時には圧倒的な性能を発揮。これなら動画編集も高速に処理できるだろう。

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    CINEBENCH R20の結果。Core i9-10885Hの高い処理能力がスコアに表れている

続いて3DMarkの結果だが、こちらも納得の好結果。ゲーミングPCとしても十分活用できそうだ。

なお、高負荷時の冷却システムは動作音がそれなりに大きい。本体の右側面に排気口があるため、高負荷時に本体右側でマウスを操作する場合、排熱が気になるかもしれない。

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    3DMarkの結果。いずれも申し分ないスコアで、クリエイティブアプリはもちろんゲームも快適に動作するだろう

最後に、内蔵ストレージの速度をCrystalDiskMarkでチェックしてみた。結果を見ると、シーケンシャルアクセスでリード、ライトともに3400MB/sを超えるなど、非常に高速だ。ENVY 15は先に紹介しているように、PCIe/NVMe SSD×2基を搭載してRAID 0構成とすることで、容量と速度を両立。テストからも納得の速度が確認できた。これなら大容量データも短時間でコピーでき、作業効率を高めてくれるはずだ。

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    CrystalDiskMarkの結果。内蔵ストレージは非常に高速で、大容量データも短時間でコピーでき作業効率を高められる

ENVY 15は、従来モデルまでのENVYシリーズの立ち位置であるプレミアムモバイルPCから大きく方向性を変え、クリエイターをターゲットとしたノートPCへと変貌。クリエイター向けPCでは必然的にパワーが必要となり、ENVYシリーズのプレミアムラインということでデザイン性も追求する必要があるなかで、ENVY 15は双方とも妥協なく実現しているという印象で、完成度は非常に高い。

近年、クリエイターやハイエンドアマチュア層が利用するPCとしてゲーミングPCを選択する例も増えているが、ゲーミングPCでは派手な装飾やイルミネーションなどが盛り込まれるため、どうしてもそれらがジャマに感じられる場面もある。しかし、ENVY 15ならそういった心配も無用。オフィスで使う場面でもデザイン的に浮くことがないし、デザイン性にこだわる人でも安心できるはずだ。クリエイティブ用途に活用する高性能ノートPCを探している人にとって、とても魅力的な選択肢になるだろう。