見た目と打鍵感は同じ、でも中身は大きく変わった

初代TTPKとTTPK IIを比べるとサイズはほぼ同じ。だが、重さは初代の460グラムから516グラムとTTPK IIが重くなっている。これは、TTPK IIのボディ底面に金属製のパネルを搭載したためだ。

  • 上野氏が示したTTPK IIに内蔵した鉄製パネル

初代でも鉄製パネルを内蔵していたがサイズが小さく、ユーザーからは剛性を増す要望が多く寄せられたという。TTPK IIではその要望に応えるべく、鉄製パネルのサイズを増やして(上の写真で底面右側に設置されたパネルのサイズは76.72×72ミリ、重さ約50グラム。左側パネルのサイズは106.5×72ミリ、重さ約72グラム)、重くなるけれど剛性を高めることを優先した。

他にもデザインと機能面のアップデートとして、ファンクションキーレイアウトで4つずつのグループ化にしたこととHomeキーの搭載、CapsLockとFnLockにLEDインジケータの用意、トップカバーのワンピース化、トラックポイントボタンの形状変化、キートップ質感の変更を挙げている。いずれも現行ThinkPadと意匠をそろえるための変更だ。ただし、現行ThinkPadで搭載するマイクとスピーカーにオンオフを示すLEDについて、TTPK IIでは用意していない。その理由について上野氏は「電力消費を抑えるため」と説明している。なお、バッテリー残量を示すLEDについては、(アイコンがなくて分かりにくいが)キーボード右上に用意したLEDの点滅パターンと色で示すようにしている。

改良はまだあり、Bluetoothのペアリングでは、MicrosoftのSwift Pairに対応したことで、デバイスのディスプレイに表示されるコードナンバーを入力するだけでペアリングが完了できたり、バッテリー駆動時間が初代の1カ月から2カ月に向上したりしている(バッテリー容量は500mAh。バッテリーライフのテスト条件は1日あたりキーボード入力3時間、アイドルモード5時間、1週間5日使用)。バッテリー駆動時間の延長は、キーボードを1秒使用しないとアイドルモードに移行し、6時間操作しないとスリープモードに移行することで電力消費を抑えるなどした成果だ。なお、このバッテリーの動作モード移行についてはユーザーが変更できない。

TTPK IIでは、電源スイッチを右側面奥に、Bluetooth/2.4GHzワイヤレス接続の切り替えスイッチとWindows/Androidモード切り替えスイッチを背面に配置している。このデザインは、レノボ・ジャパン大和研究所に所属するデザイナーの「ユーザーが使用する機会が少ないスイッチはユーザーに見えない背面に配置する」という考えに基づいて決定している。電源スイッチが初代のスプリング式スライドボタンからオンオフが明確に切り替えられるスイッチに変更したのも、カバンに入れて移動しているときに勝手に電源が入ってしまうことを防ぐためという。なお、キーボード本体にUSB接続ワイヤレスモジュールを収納できるホルダーを用意した理由について上田氏は、モジュールの紛失防止のためと説明する。

  • 主要なスイッチ類は背面に配置してユーザーからは見えないようにした

TTPK IIではAndroidに正式対応したことで、F9からF12にかけてAndroidの機能ボタンと検索ボタンの機能を割り当てている。ただ、この配列が標準のAndroidデバイスと異なっている。左から「戻る」「ホーム」「検索」「タスク」となっており、通常の「ホーム」「タスク」の間に「検索」ボタンが割り込んでいる並びだ。このようにした理由について、レノボ・ジャパンは「ユーザーテストを実施したUIテストとベンチマークテストの結果に基づいて決定した」とだけ説明している。

  • Android対応によって「戻る」「ホーム」「検索」「タスク」といった機能ボタンをファンクションキーに割り当てた

ThinkPadの名を冠する外付けキーボードだけあって、耐久テストも工場出荷時に実施している。振動テスト、防塵テストとともに、キーボードでは気になる防滴テストでは水や炭酸飲料(コーラなどの砂糖を含む飲料)20ccをこぼして5分間放置した後、水分をふき取った状態での動作を確認している。ThinkPadというと、以前はドレインホールを用意して排水することもあったが、TTPK IIはバスタブ構造を採用して内部に浸水させないようにしている。

なお、トラックポイントにおいて「トラックポイントを使っていると、力を抜いた後もマウスカーソルがずるずると動いてしまう」という意見を聞くことがある。これについて上野氏に確認してみると、TTPK IIだけでなくThinkPad搭載トラックポイントでも、環境によっては同様の現象が発生するケースがあることを確認しているという。この症状はトラックポイントが登場した当初から起きていて、筆者も以前は悩まされていたが最近のモデルでは経験することがなく、改善によって問題が解消したと考えていた。

しかし、上野氏によると、この現象については根本的な改善はされていないと回答している。公式見解としては、力を抜いた後もマウスカーソルが動く現象が発生する理由として、「トラックポイントの制御は物理的な抵抗により操作しており、その抵抗の度合いについては、環境や温度の影響を受ける場合や、トラックポイント(のゴムパーツ)自体が元の形状に復元しようとする場合、大きな力がかかった後に発生する場合がある」としている。その上で、「ドリフト(力を抜いた後もマウスカーソルが動く現象をこう呼ぶようだ)が以下の状況で1~3秒程度発生することを通常の仕様環境として想定をしている。ThinkPad起動時。ThinkPadをしばらく操作していない状況で通常の操作に戻った場合。TrackPointを長い時間押していた場合。温度変化があった場合」という要因を挙げている。