半導体市場動向調査会社である台湾TrendForceは、2020年第3四半期のNANDフラッシュメモリ価格について、契約交渉が現在進行中だが、市場全体としては受給バランスのとれた状態となり、前四半期並みかあるいはわずかな低下に留まるとの予測を公開した。

2020年上半期は、新型コロナウイルスのパンデミックの影響により、家電およびスマートフォンの需要が減少した一方、クラウドサービスと遠隔教育による需要の増加、ならびにサプライチェーン寸断の可能性を懸念した一部のクライアントによる在庫積み増しのおかげで供給不足状態となった。また、第3四半期については、新型ゲーム機が年末に発売される予定に変更がないことから、それらに向けたSSDの在庫積み増しがピークを迎えるほか、日本のGIGAスクール構想の推進と欧米からの注文の増加によるChromebookの需要が堅調である一方、エンタープライズSSDの需要がピークアウトするなど全体的な供給ビット数量の増加は限定的なものとなると同社では指摘しており、価格に敏感なNANDフラッシュウェハ市場については、モジュールメーカーからの需要低下により、価格が月ごとに下がっていく可能性があるともしている。

  • NAND価格

    NANDフラッシュメモリの四半期ごとの平均販売価格予測 (出所:TrendForce、2020年6月末時点)

なお、第4四半期の需給に関してTrendForceは、Chromebookと新型ゲーム機に関連するコンポーネントの在庫がピークから減少へと転じると予測しているほか、ビジネスノートPC需要もさらに弱まると予想していることに加え、サーバOEMとクラウドサービスプロバイダも在庫調整を行うと見られ、頼みの綱はそれまで抑えられてきたスマートフォンとストレージ製品の需要増加程度で、全体的なSSD需要の減少を補うことは難しいとTrendForceでは見ている。そのため、NANDの契約価格は2020年第4四半期も下落し続け、多くのタイプのNAND製品の価格もそれに併せて下落していくものと見ている。