PTCは6月9日、同社が初めて開催したオンラインイベント「LiveWorx 20 Virtual」において、同社のPLMソフトウェア「Windchill」の最新版となる「Windchill 12」を発表した。

Windchill 12は、WebベースのPLMとしてさまざまな機能強化が施されたという。例えばSilicon ExpertやIHSなどとの連携を可能とする拡張機能により、より高度な部品調達、部品選定、リスク評価が可能になったとするほか、設計、製造、サプライチェーン、フィールドサービスにクローズループを構築することで設計上の問題を早期に発見することが可能となり、品質問題に関わるコストの低減、市場投入期間の短縮、顧客満足度の向上などを図ることが可能になったとする。

また、設計から工場の現場までをデジタルスレッドでつなげることで、製造側のエンジニアが上流の変更をすばやく確認し、下流の製造BOMや工場別BOMに反映させることを可能にするBOM変換機能も活用できるようになったという。

さらに、ODATA標準に基づく機能強化を通じてマルチシステム連携とPTCと他社アプリケーションの互換性を実現したほか、管理者によるバージョンアップの計画および実施のための追加機能を実装したことで、バージョンアップを効率化し、最新のWindchillプラットフォームですばやく価値を生み出すことを可能にしたとする。

なお、同社社長兼CEOのジム・ヘプルマン(James E. Heppelmann)氏は、「現在のサプライチェーンは、情報をやり取りするために、同じソフトウェアかつ同じバージョンを必要し、アップグレードを行う際もサプライチェーン全体で進める必要がある。そのため複数のツールを保有することは維持コストが膨大になるが、(買収した)OnShapeの技術を活用することで、いつでも最新バージョンのツールにすばやくアクセスし、最新のデータを活用できるようになったため、サプライチェーンの柔軟性を高めることができるようになった」とLiveWorx 20の基調講演で述べており、新型コロナウイルスの感染拡大が世界中で広がる中でも、企業間コラボが推進され、製品開発が加速できることを確認したという。例えば、エルサルバドルのフランシスコガヴィディア大学(Universidad Francisco Gavidia)では、現地企業と協力して、人工呼吸器「VEMPU」の開発を短期間で成し遂げたとしている。

  • Windchill 12

    Windchill 12の活用イメージ (出所:PTC Webサイト)