Optaneメモリの性能はどの程度か

次のグラフはランダムな読み出しを行った場合のレーテンシを示すもので、左端は通常のNAND SSD、中央はIntelのOptane SSD、右端はOptaneメモリを使った場合のレーテンシで、青の部分はハードウェア自体のレーテンシで、茶色の部分はソフトウェアのレーテンシである。

通常のSSDはデータの読み出しに80μsあまり掛かるが、Optane SSDは記憶素子が高速なので、10μs程度で読み出すことができる。右端のOptaneメモリは~100nsから~340nsでアクセスでき、DRAMと比べると多少遅いものの、普通のSSDより高速のOptane SSDと比べても30倍以上速い。

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    通常SSDとOptane SSD、Optaneメモリのランダム読み出しのレーテンシの比較。通常SSDは80μs以上、Optane SSDは10μs程度、Optaneメモリは~100nsから~340μs

次の図はIntelの通常のSSD、Optane SSD、Optaneメモリの読み書きのバンド幅と読み出しレーテンシの関係を示すグラフである。ここで書いた順にレーテンシが短く、読み書きできるバンド幅も大きくなっている。読み出しのレーテンシであるが、Optaneメモリは通常のSSDと比べると最大1000倍も速い。

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    横軸は読み書きのバンド幅、縦軸は平均の読み出しバンド幅である。3本のグラフは上から順に通常のSSD、Optane SSD、Optaneメモリの性能を表している。Optaneメモリは5GB/sのバンド幅でも1μs以下のレーテンシを保っている

NAND Flashは電荷を保持する薄いゲート絶縁膜の劣化という問題があり、書き込み寿命が短い。しかし、Optaneメモリは動作原理が全く異なり、カルコゲナイドというバルク物質の相変化で情報を記憶しており、NAND Flashに比べて各段に書き込み耐性が高い。

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    NAND Flashは書き込み寿命が短いが、Optaneメモリは数百PBの書き込み寿命があり、製品には5年間の保証が付いている

次の図の縦軸はメモリバンド幅、横軸はDRAMキャッシュのヒット率である。3本のグラフは、上から最大負荷の状態、33GB/sという中負荷、13GB/sの低負荷の状態を表している。低負荷、中負荷では、 DRAMキャッシュのミス率が40%まで上がっても読み書きのバンド幅には影響はでていない。最大バンド幅を使っている場合はキャッシュミスが増えると使えるメモリバンド幅が減っていく。しかし、40%のキャッシュミス率であれば40GB/sは維持している。

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    縦軸はメモリアクセスのバンド幅で、3つのグラフは、上から順に、最大バンド幅、33GB/sの中負荷、13GB/sの低負荷のグラフである

DRAMとNAND Flashメモリを使うSSDの間のアクセス速度とビット単価のギャップは大きく、大量のデータを扱うデータセンターサーバーでは、このギャップのために効率的なメモリ階層が作れないという問題があった。しかし、IntelのOptaneメモリとOptane SSDを使うことによって、このギャップを埋めることができるようになった。

パソコンを使っている場合でも、大きな配列を定義したりすると、仮想記憶が動いて、DRAMを溢れたデータをSSDやHDDと出し入れして処理を行うようになる。仮想記憶を使い始めるとパソコンの処理速度がドラマチックに遅くなることを経験された読者はOptaneのような記憶階層の重要性を理解して頂けると思う。

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    DRAMとHDDのギャップに、Optaneメモリ、Optane SSDとIntelの3D NAND SSDを入れると大量データを扱うことができるようになる