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    2号機イザナミの振動試験モデルを囲んで。左が中島浩二さん、右がオガワ機工の伊藤慎二副社長

九州の企業群が日本初の小型SAR衛星を開発

2019年12月11日、インドから日本初の小型SAR衛星が打ち上げられた。その名は「イザナギ」。福岡のスタートアップQPS研究所と北部九州の企業約20社が二人三脚で開発した衛星だ。今後4年間で合計36機を打ち上げ、昼夜天候問わず24時間、世界中を観測し「リアルタイム観測マップ」の実現を目指す。

この「九州産」衛星を全力で応援する男がいる。福岡を中心とする九州全域で「ナカジー」という愛称で呼ばれ、抜群の人気を誇る中島浩二さんだ。FM FUKUOKA「モーニングジャム」では毎朝旬な情報を伝え、TVQ九州放送「ぐっ!ジョブ」では独自の技術等をもつ九州の企業を取材。その他TVやラジオで長年、数々のレギュラー番組をもつ。「毎日、ナカジーさんの声を聴かない日はない」と博多っ子が言うほど、親しまれる存在なのだ。

中島さんは、宇宙が大好き。私は「モーニングジャム」に電話で時々生出演させて頂いているが(2013年11月には、若田飛行士の打ち上げ取材中のカザフスタンのバイコヌール宇宙基地からお話したことも)、中島さんとのトークはいつも超盛り上がる。それは中島さんが心底宇宙が好きで、その魅力を多くの人に知って欲しいという熱い思いがあるからに他ならない。

そんな中島さんと2019年11月、QPS研究所の衛星開発現場を訪ねた。九州産の衛星なら、九州を代表するインフルエンサー、中島さんと一緒に取材したいとお誘いしたのである。中島さんはご快諾下さり、「モーニングジャム」放送用の収録を敢行。取材の様子、中島さんへのインタビューをお届けする。

約20社と二人三脚で作り出した九州産衛星

11月某日。二つのレギュラー番組の間のすき間時間に、中島さんは福岡から車を約1時間飛ばし、久留米市にある「オガワ機工」に駆けつけて下さった。挨拶もそこそこにすぐ、収録が始まった。台本なしのほとんどアドリブ。さすがプロ!

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    右端が中島浩二さん、真ん中がディレクターの新田太郎さん、左端がQPS研究所広報の有吉由妃さん

まずQPS研究所の広報担当、有吉由妃さんに衛星の概要についてマイクを向ける。「これまで打ちあがっている衛星の多くはカメラを使って観測しています。光(可視光)で観測するので昼しか観測できないし、地上に雲があると見えません。でもレーダを使えば昼夜問わず観測できます。36機で観測すれば地球上ほぼどこでも、平均10分に1回はデータをとることができます」

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    QPS研究所のSAR衛星のイメージイラスト。宇宙で大きく開いたアンテナから地上にレーダーを送信、反射したレーダーを受信することで24時間天候問わず観測可能 (提供:QPS研究所)

すかさず中島さんは「Googleマップはずいぶん前に撮られた画像が使われていますが、(QPS研究所の衛星群なら)10分前のものが見られると。かなりの精度だと聞きました」と解説を加えながら質問を重ねる。「車が認識できる1mの分解能です」(有吉さん)

今回、訪れたオガワ機工とは、いったいどんな会社なのか。「私達QPS研究所は20社ほどの企業さんとパートナーを組ませて頂き、設計の段階から密にやり取りをして衛星を開発しています。そうした協力会社の一つです」(有吉さん)

「せっかく九州で衛星を作るなら、九州の素晴らしい技術がある様々な企業とパートナーを組んでやっていこうというわけですね」と中島さんはオガワ機工の伊藤慎二副社長を紹介。オガワ機工は、重工業からお菓子屋さんまで、様々なお客さんの要望に合わせて、物を運ぶ機械をゼロから作り上げる会社だという。今回の衛星プロジェクトでは、機械設計と組み立てのとりまとめを担当、つまり中心的役割を担っている企業だ。

「これから2号機の振動試験モデルをお見せします」という伊藤副社長の言葉に一同、期待が高まる。いざ、工場の中へ!